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夕刊フジ連載『激動する世界と日本』連載5日目「中国牽制で日米ロが連携!北方領土問題は棚上げか」
8月13日から開始の夕刊フジ新連載【激動する世界と日本】の5日目(シリーズ最終回)記事が掲載されました。
又、2012年8月19日に、NET版ZAKZAKでも公開されました。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20120819/frn1208190724002-n1.htm
【激動する世界と日本(5)】中国牽制で日米ロが連携!北方領土問題は棚上げか
5月7日、プーチン氏がロシア大統領に復帰し、第2次プーチン政権が始まった。
7月3日には、メドベージェフ首相が北方領土・国後島を訪問し、領土問題では相変わらず、日本に対する強硬姿勢を示した。
一方、ロシアは中国の覇権拡大阻止を最重要の課題としている。
6月上旬の上海協力機構首脳会議では、ロシアの対中警戒感がハッキリと現れていた。
そのため、対中牽制のためには、米国や日本ともある程度まで柔軟に提携しようという態度も見せている。
例えば、日米ロ3カ国の枠組みで、安全保障問題を話し合う初めての官民合同の協議体が、早ければ来年半ばにもスタートする。
年1回の定期開催が予定され、将来は正式な政府間協議への格上げを目指している。
具体的には、海上安全保障や安定的なエネルギー供給、北朝鮮問題などが、議題にのぼっている。
軍事と経済の両面で、覇権拡張を進める中国を牽制する思惑では、日米ロは一致している。
ロシアは8月22日に世界貿易機構(WTO)への正式加盟が決定している。
9月上旬にはウラジオストクでAPEC(アジア太平洋経済協力)会議が開かれる。これはロシアで初の開催である。
プーチン大統領のグランド・ストラテジー(大戦略)では、西アジアにおけるシリアやイランの問題では米国と鋭く対立しても、東アジアにおける問題では対中牽制を優先させ、米国や日本と比較的協調的な外交を行うつもりなのだろう。
北方領土ではロシア化が着々と進行中であり、面倒なことに択捉島の港湾工事では韓国の下請け企業が参加している。
ロシア側としては、領土問題を棚上げした形で、経済交流だけ進めていきたいのが本音のようだ。
ロシア経済は必ずしも順調ではない。
プーチン大統領は選挙公約で公務員の給与引き上げや、海外からの投資増大、軍の近代化など、大胆な公約を発表し、明るい未来を約束した。
しかし、主要輸出品である原油や天然ガスの価格は下落しており、国内のインフラは老朽化している。
プーチン大統領は就任直後、中長期国家経済政策を発表し、2020年までに国際競争力のある産業分野で、2500万人分の雇用を創出し、18年までにGDPに占めるハイテク製品の比率を1・3倍に押し上げるなどの目標を掲げている。
設備投資の原資はエネルギー輸出で賄うしかない。
東シベリアや極東のエネルギー資源に関しては、中国を牽制する以上、日本と東南アジア諸国に輸出するのが最も望ましい。
経済問題での協力により、どこまで領土問題を勝ち得るかが日本の大きな課題である。
(シリーズ=おわり)