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夕刊フジ連載『激動する世界と日本』8月13日から5日連続開始
【激動する世界と日本】と題したシリーズが、5回にわたって夕刊フジで、本日13日(月)から連載されます。
その新連載1回目は、
米国発エネルギー革命が「原動力」
というタイトルで、5面下段に、載っています。
ZAKZAK版も、翌日14日にNET公開されました。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120814/plt1208140718003-n1.htm
【激動する世界と日本】“エネルギー革命”で復活するアメリカ
★(1)
2012年夏、世界は激動している。既存の秩序が崩れ、世界地図はまさに書き換えられつつあるのだ。その変貌の実体を、5回にわたって概観してみよう。
第1回は、エネルギー革命で復活するアメリカである。米国では「シェールガス」「シェールオイル(別名・タイトオイル)」という全く新しい天然ガスと石油が大量に発見されて、大量生産が軌道に乗っている。
シェールガスの生産が先行し、その新技術を応用して、掘削されるシェールオイルの生産も、08年以来、急増している=グラフ参照。
(↑シェールガス革命、シェールオイル革命で増加基調に転じた米国の原油・ガス生産量)
11年末の米国の原油生産量は、日量784万バレルだったが、20年にはこれが日量1560万バレルと、ほぼ倍増すると予測されている。
シェールガスとシェールオイルによるエネルギー革命が、長期的にアメリカ経済復活に大きく寄与することは間違いない。米経済が現在、低インフレを維持できているのも、このエネルギー革命のおかげである。米国内のエネルギー生産増加は20年の時点で、米国経済成長率を2%から3%押し上げ、経常赤字を対GDP比で1・2?2・4%押し下げる見込みである。
これが意味するのは、「米国経済復活」と「基軸通貨ドルの延命」である。短期的に見れば、米FRBは、恐らく量的緩和第3弾(QE3)を実施するところから、さらなる円高ドル安が進むだろうが、中長期的に見れば、ドルはユーロにも円にも、強い通貨として復活するであろう。
好調な経済成長は、財政赤字を減らすだけではない。国内エネルギー生産の増加は、中東の安全保障に関する米国のコミットメントが小さくなり、国防費の大幅削減につながることを意味する。これが米国の財政赤字削減に貢献することは言うまでもない。
米国は、戦略の中心を、東アジア、特に中国の軍事膨張主義を牽制することに置き始めた。米国内のエネルギー革命が、中東から足を洗い、対中戦略にシフトさせることも可能にしている。米国発のエネルギー革命は、世界秩序全体の再構築の大きな原動力となっているのだ。
日本もこのエネルギー革命の恩恵を大いに享受する側の国である。11年の日本の原油輸入額は11兆円、天然ガス輸入額は5兆円だったが、近い将来、大幅に減少するだろう。輸入総額が半減すれば、GDPを2%押し上げる力がある。
そればかりではない。秋田県でシェールオイル油田が複数箇所発見されているのだ。これも日本経済の押し上げ効果になることは間違いない。