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夕刊フジ連載コラム「日本はどうなる?オバマ米国の大豹変」第1回


夕刊フジ連載コラム「日本はどうなる?オバマ米国の大豹変」第1回

本日、2月9日より、3日間連続で、藤井厳喜のアメリカ・ウォッチングの連載シリーズ『オバマ米国の大豹変』が開始しました。

第1回目は「“クリントン時代”の再来か」です。

 日本はどうなる?オバマ米国の大豹変!
 藤井厳喜のアメリカ・ウォッチング連載原稿 第1回 「オバマ・新ITバブルを画策」

  昨年の秋以来、アメリカの政治・経済で新しいトレンドが起きて来ている。
日本にも重大な影響を及ぼすこの新潮流について、3回に分けてお伝えしたい。

  昨年11月の中間選挙で史上最大の大敗を喫したオバマ政権は、大きく方向転換せざるを得なくなった。
今やオバマ大統領は、かつての支持者の中心だった貧困層を切り捨て、2012年11月の大統領再選の為に、金融業界へすり寄り、ITバブルの再来を画策している。
謂わば、クリントン時代のITバブルの再来を狙っているのである。
2008年9月のリーマンショックの処理を一応終わったアメリカでは、シリコン・バレー(IT業界)とウォール・ストリート(金融業界)とワシントン(政界)の間で新しいコネクションが既に形成されており、2012年の次の大統領選挙では、この新トライアングル・コネクションが大きな政治力を発揮するだろう。

 1月に発表されたオバマ政権の新人事では、新ITバブルを推進するような人材の起用が目立つ。
 第一のキーパーソンは、新たに国家経済会議委員長に指名されたジーン・スパーリングである。同氏はかつてクリントン政権でNEC委員長を務め、金融業界の規制緩和を大胆に進めた人物である。ホワイトハウスに復帰する前は、米金融業界で活躍し、ゴールドマン・サックスにも籍のあった金融行政の専門家である。
 第二のキーマンは、ホワイトハウスの首席補佐官に就任したビル・デイリーである。同氏はクリントン時代の商務長官で、NAFTA(北米自由貿易協定)の推進に力を発揮し、その後、JPモルガン・チェースの米中西部の事業責任者を務めていた。
 
 政権発足当初、バブルへの反省から金融規制強化に向かったオバマであったが、金融業界の圧力で、規制強化法案(ボルカー・ルール)は完全に骨抜きにされてしまった。
スパーリングは、クリントン時代のITバブルを創り出した人間の一人であり、彼の旧職への復帰はオバマが金融業界に擦り寄った事を明確に物語っている。

 新しいITバブルの中心は、Facebook等のソーシャル・ネットワーク関連分野である。
世界のインターネット人口は20億人だが、現在Facebookの利用者は既に6億人に達している。2012年4月までに上場予定のFacebookは、ゴールドマン・サックス等によれば、その企業価値を約4兆円と評価されている。Facebookの後発ライバル企業である米リンクトインは1月末に既にIPO申請を行なっている。

 シリコン・バレーでは、ソーシャル・ネットワーク関連の技術者の囲い込みが派手に始まっている。謂わば、IT業界の青田買いである。 新技術が生まれる一方、バブルを創り出すエネルギーである投資資金も十分に準備されている。Apple、マイクロソフト、Googleの3社だけでも1000億ドルのキャッシュが手元にあり、又、金融業界も潤沢な投資マネーを準備して新バブルを待ち受けている。

 1月25日、オバマは恒例の一般教書演説を行なった。この演説を注意深く聴くと、オバマは規制緩和とITの技術革新により、米経済は今後も大いに成長可能であると、楽観論を強調している。第2次ITバブルに乗り、来年秋に再選しようという意図は明確である。
 アメリカでバブルが発生すれば、日本のIT関連、特にデジタル・サイネージ分野(液晶パネル等)等には好影響をもたらすだろう。しかし、バブルの崩壊は早いので、要注意である。

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