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夕刊フジ連載コラム「日本はどうなる?オバマ米国の大豹変」第2回
【夕刊フジ連載2 日目】藤井厳喜のアメリカ・ウォッチング『オバマ米国の大豹変・ 中』、本日も5面に掲載です。
日本はどうなる?オバマ米国の大豹変!
藤井厳喜のアメリカ・ウォッチング連載原稿 第2回 「オバマ・米国の貧困化」
新しい貧困がアメリカを襲っている。
現在の米国では、国民の7人に1人が貧困層と分類されている。貧困層の定義は「両親と子供二人の標準家庭で、年収2万2000ドル以下の世帯」である。つまり4人家族で年収190万円以下であり、月収16万の家計という事になる。日本の標準から言ってもこれはかなりの貧困と言わざるを得ない。
アメリカには、貧困家庭向けにフード・スタンプ(政府の無料食糧配給券)という制度がある。この受給者数が4320万人以上となり、史上最高を記録してしまった。
2010年は米金融界の投資銀行部門は史上最高益を稼ぎ出し、大企業の収益は概ね好調であったが、人員削減と賃金圧縮により、一般大衆の生活は寧ろ悪化している。構造としては、首切りを断行し、経営合理化を進めた為に、好調な企業収益を確保する事が出来たが、これは謂わば、一般大衆を犠牲にしての企業の繁栄である。
この国民の貧困化が原因となり、全米の自治体財政は破綻に瀕しつつある。全米50州の内、47州の財政は破産寸前である。5年以内に全ての州や自治体の90%が財政破綻するであろうと専門家は警告している。
特に、危機的状況にあるのが、CINNsと呼ばれる4州である。これはカリフォルニア、イリノイ、ニューヨーク、ニュージャージーの4州の頭文字である。 全米で最も荒廃した都市の1つがかつての自動車産業の中心都市デトロイトである。同市の経済は、米自動車産業の衰退と共に、30年に渡って下降線を辿ってきたが、同市では遂に、今年、公立学校を一律半減しなければならない状態に陥ってしまった。公教育は殆ど崩壊状態にあると言ってもよい。 財政破綻に陥ったカリフォルニア州のいくつかの市では、自治体警察の全廃まで議論の対象となっている。
日本では未だに花形職業のイメージがある航空機パイロットだが、アメリカではパイロットはファースト・フードのアルバイター程度の給与しか手にできず、フード・スタンプを利用している者も多い。大卒パイロットの月給が日本で言えば、15万円以下というのもザラである。
米失業率は商務省発表によれば、9%代後半を持続しているが、就職を諦めた人や正規雇用から締め出され、非正規雇用(パート従業員等)になった人を含めると事実上、17%である。
OECD(経済協力開発機構)の発表によれば、アメリカは世界一の肥満国の座をメキシコに明け渡してしまった。元々、肥満の多いアメリカではあるが、経済状況の悪化からアメリカ人はもう太っている事も出来なくなってしまったのであろう。
2010年、米・個人破産申請件数は、前年比9%増の153万件となり、05年の破産法改正以降最高となった。
日本はと言えば、菅政権は、経済浮揚策は打ち出さず、増税論議を始める始末である。デフレは更に進行している。アメリカの後を追うような形で貧困と財政破綻が日本列島を襲おうとしている。これに加えてTPP等で民主党政権が移民受け入れを自由化すれば、失業率は一挙に上昇し、日本社会のデトロイト的荒廃は更に進む事だろう。