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夕刊フジ連載コラム「日本はどうなる?オバマ米国の大豹変」第3回


夕刊フジ連載コラム「日本はどうなる?オバマ米国の大豹変」第3回

夕刊フジ・コラム【藤井厳喜のアメリカ・ウォッチング】連載3日目
『オバマ米国の大豹変・下』本日最終回は「反グローバリズム 連合誕生」についてです。


 日本はどうなる?オバマ米国の大豹変!
  藤井厳喜のアメリカ・ウォッチング連載原稿 第3回 「反グローバリズム連合誕生」

  オバマ大統領は、下層中産階級と貧困層の期待を担って登場したが、彼らの経済状況を改善する事が全く出来なかった為に、昨年11月の中間選挙では大敗した。
 このままでは来年秋の大統領再選は難しいとみたオバマは、グローバル大企業、特に金融業界に擦り寄る形で第二次ITバブルの仕掛けに走っている。(連載第一回) グローバル大企業は儲かっているが、米国民一般の生活水準は低下し、今や7人に1人が貧困層となってしまった。(連載第二回)

 昨年アメリカの個人破産は153万件で史上最高となったが、破産原因の3分の2は病気と医療費であった。貧困層ではなく、中産階級の破産が増えている事も新しい特徴である。
 
 多国籍化したアメリカ大企業の利益と一般国民の利益が相反するようになり、両者が鋭く対立するようになったのが、最近のアメリカ政治の特徴である。
 こういった状況を背景として、極右と極左の著名なリーダーが、反グローバリズムの共闘を宣言し、注目を集めている。極右の代表は共和党のロン・ポール下院議員である。同議員は所謂、リバタリアンであり、政府の民間に対する介入を徹底的に嫌う極端な草の根保守派である。「FRB(連邦準備銀行)不要論」さえ唱える筋金入りの右派ではあるが、米軍の海外派兵に反対し、WTO(世界貿易機構)からの米国の脱退を訴える孤立主義者でもある。海外からの米軍の撤退を訴えるという点では、右派ではあるが、左派の平和主義とも共通する基盤に立っている。
 ロン・ポール下院議員と共闘を宣言した左派の代表が、ラルフ・ネーダー弁護士である。彼は70年代から、大企業の不正と闘う社会正義派の弁護士として著名な存在であり、アメリカ人なら知らない者はいない。

 某テレビ討論会に出席した二人は、反グローバル大企業、政府の過度の民間への介入阻止、9・11テロ以降に成立した愛国者法への反対、WTOからの脱退、米軍の海外派兵の中止等の点において大いに意気投合したという。
 共和党で極右と見られていたロン・ポール下院議員と、民主党の左派よりも更に左に属するラルフ・ネーダー弁護士との共闘は、従来なら考えられない事であった。しかしこれが今や新しい現実となっている。その基盤は、反グローバリズムであり、反多国籍企業である。

 アメリカにおける、この極右と極左の連携と呼応する形で、日本国内では反TPPの自然発生的な運動が拡がっている。これも右派左派とは関係のない生活防衛の必要に根ざした運動である。従来の政党の枠組みが時代遅れになっているとさえ言えるであろう。日本人は、アメリカは一丸となってグローバリズム推進と誤解しがちであるが、アメリカ国民の中から左右を問わず、強烈な反グローバリズムの運動のウネリが高まってきた。
 このトレンドを更に加速化させているのがソーシャル・ネットワークの力である。アメリカがもし、近未来において海外基地を全廃するとしたら、日本の防衛政策はどのように再編成すべきなのか。右派左派を問わず、真剣に選択肢を考えてみなければならない。
単純な反米論は益々非現実的になっている。

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