講演・公的スピーチ(2008年3月以降) | パブリシティ
CFG主催シンポジウム「2010年、民主党政権で劣化する日本―それにどう対処するか?」緊急開催
【プログラム・開催内容】
第一部:14時-15時 藤井厳喜基調講演
『民主党政権で日本はこうなる:民主党政権下の経済・政治・外交とポスト民主党の日本』
第二部:15時-15時半 特別ゲスト講演: 山村明義氏講演
『日本に新たな経済的保守思想は出現するのか?―民主党左翼リベラル政権の未来予測』
(途中休憩:約10-15分)
第三部:15時45分- 17時 特別ディスカッション(対談形式)
『民主党ブームは何故起きたか? ポスト民主党ブームは何か?』
質疑応答:17時- 17時半 17時半・終了予定。
今回の特別ゲストは、山村明義さんです。
今回のシンポジウムの目玉に、「無所属候補・城内実はどうやって民主党にうち勝ったのか ― ポスト民主党政治に残されるもの」というタイムリーな成功体験を特別にお聞かせ頂けます。
そこに我々は明日を築く可能性として、何を学ぶことが出来るか?
ジックリ検証し、学びたいと考えております。
山村氏は、8月の総選挙で全国の選挙区を幅広く取材された他、静岡7区の無所属候補・城内実さんのブレーンの一人として、知られています。
城内さんは民主党候補と自民党候補に大差をつけて勝たれました。
民主党ブームが全国を席巻した今回の総選挙で何故、第三の候補の城内氏だけが圧勝する事が出来たのか?選挙参謀としてその秘密を語ります。
私の長年の友人で、政党を問わず、政界に幅広い人脈を持っているジャーナリストで、いつも彼の鋭い分析と見通しには私も驚かされています。
今回は、特に第三部での山村さんとの対談で、今までにない面白い話が出てくるのではないかと期待しています。
民主党政権とマニフェストの経済効果とは?
民主党政権の左翼リベラル体質は日本に何をもたらすのか?
民主党政権と霞が関・マスコミのトライアングル関係はどうなる?
山村明義さんを招いての本日のシンポジウムは大成功であったと思う。
そこに低迷する現状を打ち破る新しい時代の息吹を確かに感じた。
民主党政権が長続きすればするほど、日本は不幸になるという事を様々な方面から山村さんも私も実証したようなシンポジウムだった。
先の総選挙で自民党公認で福岡第一区で惜敗した遠藤宣彦さんは山村さんの友人で、多忙にも関わらずこのシンポジウムに参加してくれた。
「第三部:対談」の時間の冒頭に民主党相手の選挙の苦労についても又、保守再生への確信についても語ってもらった。
遠藤さんの言葉としては、国民が個人主義的かつ唯物論的になり、自分が得られる経済価値のみを基準に民主党に投票した、という指摘が痛烈であり、また印象的であった。
自民党の中に、シナや朝鮮から金をもらっている政治家が現実にいる、という遠藤さんの発言は、現場を知っている政界人の発言なだけに非常に重みがあった。
私は、民主党統治下の日本の経済・政治・外交について、現実的な予測をした。
特に、読者に訴えたいのは、選挙前の私の経済予測では、民主党がばら撒き型の経済政策を行なうので、少なくとも2010年はGDPも順調に成長し、日本国民は一息つくのではないか。
しかしそれ以降、また景気が悪化し、2011年以降、経済成長は著しく失速するであろう、と予測していた。
だが、9月26日現在の経済的現実を見ると、ばら蒔き経済政策による、一次的な景気上昇すら非現実的な希望的観測で、円高不況により、日本経済は著しく追い込まれてゆくであろう、と考えている。
山村さんもこの件に関してはほぼ同意見であった。
会場に集まられた方々とは、第三部対談後の最後の質疑応答が盛り上がり、当初30分の予定が45分に延長された程であった。
参加者自身が、傍観者的態度には違和感を覚え、如何に主体的に日本の保守政治を再生させたいか、と強く願っている事がヒシヒシと感じられた。
電話で、e-mailで、あるいはまた、日常の会話の中で、これらの人々は、正しいメッセージを周辺の人々に伝え、日本再生に主体的に参加しているに違いない。
次回は、11月下旬ないし、12月上旬に日本と台湾の関係について、今回同様のスリリングなシンポジウムを開催したいと思っている。
今回のシンポジウムで特に力を入れて私が論じたテーマは、「東アジア共同体」が如何に成立不可能であるか?という事であった。
鳩山首相はあたかもバナナの皮を剥くように簡単に「東アジア共同体」の成立が容易であるかの如く語っているが、これは完全なる幻想である。
また、広くテレビ、雑誌等を見渡しても、東アジア共同体が、そもそも成立し得るものであるか?
また、成立させる事が善であるかどうか?についての議論が一切、成されていない。
これは、誠に異常という他はないだろう。
東アジア共同体を構築するとすれば、それは日本外交の、というよりも、日本自身の運命を大きく転換する事を意味する。
民主党は、この事をマニフェストの前面に立てて選挙戦を戦わなかった。にも関わらず、この政策を実行しようとするのは、全くのマニフェスト違反である。
結論から言うならば、東アジア共同体に日本が入るとは、日本が独裁国家・シナの属国になる事を意味する。
それは、日本におけるデモクラシーの終焉と、日本文化の絶滅を意味する。
つまり、日本人が今日のチベット人やウイグル人の立場になる事を意味するのである。
東アジア共同体の成立が、如何に不可能であるかを昨日のシンポジウムでは論じたが、以下、それをごく簡単に復習してみたい。
第一に、ヨーロッパ共同体に参加した諸国は、全て民主国家である。
民主国家間でさえも、国家統合は極めて難しいことであった。
東アジアにおいては、最も危険な帝国主義国家であるシナは勿論、独裁国家である。
独裁国家と民主国家が国家統合し、1つの政治的実態を作る事は有り得ない。
もしあり得るとすれば、民主国家が滅ぼされ、独裁国家が民主国家を侵略するという状況しか考えられない。
第二に、ヨーロッパと東アジアでは、文面論的状況が全く異なる。
ヨーロッパ共同体を成立させた条件は、東アジアでは全く欠如している。
ヨーロッパ諸国は宗教的には皆、基本的にキリスト教圏に属し、人種的にも、ヨーロッパ人はほぼ皆、白人である。
つまり、国家は異なっても、白人キリスト教徒としてのアイデンティティーをヨーロッパ人は共有している訳である。
この共通基盤の上に、EUが初めて成立しえたのである。
歴史的に見ても、ヨーロッパは、過去の歴史を共有している。
かつてローマ帝国というヨーロッパのほぼ全域を覆う帝国が存在した。
この帝国が崩壊し、近代の諸国家、つまりイギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどが成立した。
今日もヨーロッパ人は、ローマ帝国を自分たちの共通の歴史の一部として認識している。
このような歴史観は、東アジアには全く存在しない。
東アジアでは、宗教は、儒教・道教から、キリスト教、ヒンズー教、イスラム教、その他数多くの土着的宗教が存在し、全く共通基盤は無い。
人種的にも全く均質性を欠いている。
更に、既述したような歴史の共有感覚も全く欠如している。
第三に、経済合理性から言っても、東アジア共同体は、全く不可能である。
EUに統合されている、国家間の賃金格差は、約10倍である。
バルト三国あたりの賃金が最も低く、この賃金の10倍を、デンマークの勤労者は享受している。
10倍の賃金格差のある国家間で、経済統合を行なう事は、至難の業であるが、既に述べたような様々な条件に支えられて、ヨーロッパ人は統合のコストを負担する事を決意した。
とは言いながら、いまだにヨーロッパでは、EU共同体の成立に反対する声は特に経済的に恵まれた先進国の間で根強いものとなっている。
例えば食品の衛生基準や、自動車の安全基準にしても、ヨーロッパの中ですら、大きな混乱がいまだに存在している。
まして、東アジアにおいては、日本と最も低賃金の国家の平均的労働者の収入は、50対1程にもなる。
更に、食品や工業製品の安全基準等を考えるならば、経済統合は全く不可能と断言しても良い。
万が一にも統合をすれば、全ての安全基準は最も低い基準に合わせざるを得ないであろう。
東アジア共同体構想を少し距離を置いて眺めてみると、日本人は全く矛盾した事を行なおうとしているように見える。
食品の安全基準に関しては、赤福や、北海道土産で有名な白い恋人達、こんにゃく畑の件であれほど、神経質に製造者に責任を追及して来た日本人が、今や、毒入り餃子を平気で製造する、シナとの経済統合を考えるというのは、全く信じられない事である。
また、中央集権を悪とし、地方分権を善とする道州制論者達は、国家主権の分割・分断こそ正義であると信じているはずであるが、その同じ人々が、国家を更に大きな政治的単位に統合し、超国家的な組織体を創る事を善と考えるのは、なんとも理解しがたい事である。
鳩山首相の主張する東アジア共同体構想は、実は1998年以来、独裁国家シナが主張し続けて来た構想であり、事実上民主国家日本が独裁国家シナに呑み込まれるという以外の何物でもない。
日本人は、何よりもまず、この単純な事実に気がつかなければならない。