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国内戦略拠点としての沖縄―何故、沖縄は反日になったのか?

投稿日:2010,02,06

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本日のメディア戦フォーラム・シンポジウムでは、特に新しい発見は、午後のパネルディスカッションの『沖縄から起こす日本再生運動』での、3人の沖縄県人の発言であった。

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私にとっての発見は、以下のような点であった。

1. 沖縄は、元々、左翼反日的であった訳ではまったくない。
 考えてみれば、激烈なアメリカ軍との戦闘を戦い抜いたのだから、日本の中でも愛国心の強い地域であったに違いない。
 これが、何故、いつどのようにして反日の拠点と化していったのか?
要は、日本本土の左翼が反米闘争と日本革命の拠点として沖縄を左翼の牙城に変えていったのである。
 祖国復帰運動は、そもそもは、日の丸を掲げた愛国者の運動であったが、本土の左翼が乗り込み、この運動を完全に換骨奪胎し、反日左翼運動として乗っ取ってしまった。
祖国復帰を果たした時には、左翼のオルグ活動は既に完成しており、沖縄は反日の砦と化してしまっていたのである。

2. 辺野古の問題に見られるような、反米軍基地闘争は住民の自発的な運動では全くない。
 この運動を支配しているのは、日米安保条約を廃棄させようとする反日的反米の左翼勢力である。
60年安保闘争、70年安保闘争に敗れた反日左翼は、しかしその後、沖縄を戦略拠点に選び、日米安保破棄の運動を着々と継続拡大してきた。
その彼らから見れば、「一大成果」が、名護市長選における反対派の勝利なのである。
名護の現地の人々に聞けば、如何に外人部隊がこの選挙で大きな役割を果たしたかは明瞭である。

3. 本土の左翼は、沖縄を日米安保を破棄する為の戦略拠点として選び、沖縄を着々と彼らの牙城とする事に成功してきた。
 しかし、日本本土の保守派(愛国者達)は、この事に全く気がついていなかった。
本土の保守派は、沖縄で左翼と戦う愛国者達を支援出来なかったのである。
 沖縄に愛国者がいない訳ではないが、彼らはあまりに孤立した闘いを強いられていた。
また、本土の保守派の視点からすれば、マスコミを通じて伝えられる沖縄の実情は、あまりに過激な反日勢力の活動ばかりであり、沖縄を助けよう等という気持ちはとても起こしようがなかったのである。

 以上の様な、3点を私は強調しておきたい。

今日のシンポジウムで、初めて私は沖縄の愛国者達と、心からの握手をする事ができた。

一部の人々は、既にこういった現状にも目を開いていただろうが、私にとっては正直、遅ればせながら衝撃的な新しい事実の発見であった。

沖縄を本来の愛国的な土地に変えない限り、日本本土は常に足元を掬われる。
まして、今日の現実においては、シナの脅威こそが、我々の眼前に迫っている。

シナの脅威の矢面に立っているのがオキナワである。
逆に言えば、シナは沖縄を攻略し、ここから米軍基地を追い出す事に力を尽くしている。

まだ私にはハッキリした事実は掴めていないが、シナ共産党の謀略が沖縄の反日活動の背後にあるという報告はしばしば耳にしている。

シナの無制限戦争の間接侵略の手は、本土のマスコミばかりではなく、沖縄全土に及んでいると考えなければならない。

 沖縄は対シナ無制限戦争の最前線の地である。
沖縄を失えば、本土の防衛は非常に難しくなる。

これは、情報戦争的な意味でも、地政学的な意味でも、正しい認識である。

我々が沖縄を正常化しなければならない理由は、まさにここにある。


本日の講演内容や、収録した動画は、後日、UPする予定である。

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言うまでもなく、田母神先生の講演も素晴らしいもので、会場を大いに沸かせました。
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お楽しみに。


「沖縄」と言えば、本日は、チャンネル桜さんが、沖縄現地取材特集の番組を放映されています。
此方もご紹介しますので是非、御覧ください。


1/5【沖縄スペシャル】普天間の真実Part2 [桜H22/2/6]



2/5【沖縄スペシャル】普天間の真実Part2 [桜H22/2/6]



3/5【沖縄スペシャル】普天間の真実Part2 [桜H22/2/6]



4/5【沖縄スペシャル】普天間の真実Part2 [桜H22/2/6]



5/5【沖縄スペシャル】普天間の真実Part2 [桜H22/2/6]




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チャンネル桜、出演と、英霊来世の斎藤さん達との打合せ

投稿日:2010,02,06

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本日は、チャンネル桜にキャスターとして出演する日で、そのビデオ撮りを終わって帰ってきた。







本日の「厳喜に訊け!」のコーナーでは、トヨタの問題を取り上げました。

【厳喜に訊け!】朝青龍、小沢一郎、トヨタ自動車、責任の取り方[桜H22/2/5]


朝青龍と小沢一郎、角界と政界2人のヒールの去就に注目しながら、トヨタ自動車のリコール問題や千葉景子法務大臣に関してお話しさせて頂きます。


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帰宅後、経済関係のミーティングとCFGのFAXニュースを配信後、今夜は英霊来世の斎藤“七生報国”俊介さん、山崎剛史さん達と、明日の打合せ。




偶然ではあるが、斎藤さんは私が住んでいる小岩の隣駅の新小岩に住んでいる。

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今日は、2月2日の慰労会と明日のシンポジウムの打合せを兼ねて、楽しく小岩で大いに語り、そして共に呑んだ。

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私の過去につくった詩の何篇かを斎藤さんに贈った。

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楽しいコラボレーションが出来そうで、大いに期待している。


【明日はいよいよ、中野ZEROホールでの、シンポジウム開催!】

直接参加、飛び入り、途中参加もOKです!!
 今回は広い会場ですので、まだ、申し込み可能です。
名前が「小ホール」ですが、500人以上入れるようなホールですので大丈夫です!
是非、当日、急に参加可能になったという方も、「途中参加なら可能」という方も、ご参加くださいませ。


 2010年2月6日  メディア戦フォーラム・シンポジウム
 「日米同盟の危機」とChinaのマスコミ侵略 アジアを滅亡に導く無制限戦争

  日時 : 2月6日(土) 11時00分から (10時半会場)
  場所 : なかのZERO 小ホール 中野区中野2-9-7 03-5340-5000
  参加費: 2000円

 〈午前の部 11:00から12:30〉
 ◎基調講演 藤井厳喜(国際問題アナリスト)
  「(仮題)シナの無制限戦争に侵略される日本」
 〈午後の部 13:20から16:30〉
 ◎特別講演 田母神俊雄 (元航空幕僚長)
  「沖縄をめぐる日米問題とメディア戦(仮)」
 ◎ビデオメッセージ (沖縄・台湾・三民族取材予定)
 ◎パネルディスカッション: 沖縄から起こす日本再生運動
  「メディア無制限戦争を如何に戦い抜くか」
 終了後、懇親会予定

特別ゲストに、西村幸祐さん、三輪和雄さん、石平さん、英霊来世さん、等、多数の方にお越しいただきます。

 主催: ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ/メディア戦フォーラム実行委員会
 お問合わせFAX 03-3650-1475
     e-mail : info.cfg.future@gmail.com

明日の会場で、皆、お待ちしております!!!!!
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柯 徳三先生の御冥福を祈る

投稿日:2010,02,04




柯 徳三先生、逝去の報に接し、哀惜の情に堪えません。
先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

私は先生と三度御逢いする機会に恵まれたと記憶しております。

柯先生は、台湾から沖縄、そして日本本土に連なる列島ラインの防衛こそ、日本の生命線であると喝破されました。

私はこれを、柯先生の遺言であると受け止めています。

独立自尊の台湾と日本が、手を携えて、自由で平和で豊かなアジアのリーダーとして、共存共栄してゆける日の為に、私も微力を尽くす覚悟です。

追悼の句を捧げさせて頂きます。
 【逝(ゆ)きし人 新高山の 雪の如(ごと)】


御冥福を改めて、お祈り申し上げる次第です。

合唱


       藤井厳喜





詩― 「英霊が立っておられる」

投稿日:2010,02,04

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 2月2日、「頑張れ日本!」の創立大会でお話させて頂いたが、こういう折に、自ずと思いだされるのは、靖国神社に祀られている英霊の事である。

 当日、夜の部のスピーチ(以下、映像)でも述べたように、現在、最も大事な事は、英霊に恥ずかしくないような日本をつくる事である。




これを政治の基準にすれば、どのような政策をとるべきかは自ずと明らかになってくる。
そういった想いで創った私の詩を、以下に掲載させて頂こうと思う。


実はこの詩は、平成14年5月17日、雨の靖国神社を参拝した折に、自然に出来た詩である。
能楽舞台のあたりには、英霊が集っているように視えた。
靖国通りに出て、振り返ると、巨大なる姿の英霊が粛然(しゅくぜん)と神社に立っておられた。



 「英霊が立っておられる」

 英霊が立っておられる
 英霊が立っておられる
 英霊が決然と立っておられる
 英霊が忺然(きんぜん)と立っておられる
 英霊が厳然と立っておられる
 英霊が
 そこに
 靖国神社の上に
 立っておられる
 巨人となった
 英霊が 
 立っておられる
 軍刀の柄頭(つかがしら)に静かに両手を委(ゆだ)ね
 粛然と立っておられる

 巨大な
 英霊が立っておられる
 時には仁王のような
 憤怒の顔を隠さず
 時には童子のような
 無邪気な笑顔を綻(ほころ)ばせ
 英霊が立っておられる
 英霊が立っておられる

 英霊は
 怒り
 笑い
 苦しみ
 悲しみ
 立っておられる

 英霊は戦っておられる
 英霊は今日も戦っておられる
 英霊は今もなお戦っておられる

 英霊は戦っておられる
 英霊は
 日本國の為に戦っておられる
 日本!
 日本!!
 日本!!!
 日本國の為に
 英霊は今もなお
 戦い続けておられる



 《あとがき》
 英霊の冥福を祈り、「安らかに眠ってください」と願うのが、本来の姿なのであろう。
しかし、私には英霊が荒御霊(アラミタマ)となって、今日、ただ今現在も闘い続けておられるように思えて仕方が無い。
霊界で尚、闘い続けておられるに違いないのである。

 現在の日本の惨状を見れば、必ずやそうに違いない、と思っている。




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※ 私への御連絡については、以下のアドレスにご連絡を頂ければ、チェックが遅れる事もございますが、必ず情報は全て拝読しておりますので、宜しくお願い申し上げます。
藤井厳喜へのメッセージ、講演依頼も、以下アドレスまでお願いいたします。

ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ事務局e-mail : info.cfg.future@gmail.com


【お知らせと私からのメッセージ】

 2月2日以降、本当に多くの叱咤激励、そしてご意見等の、数百通を超えるメールを、頂きました。
私の人生でも、こんなに数日間の間に、一気に多くのメールやFAXやお手紙を頂いた事はありません。

 どのメールやお手紙にも、どんなに忙しくても必ず読ませて頂いております。
が、出馬の決意表明後、日常業務や仕事関係でも、今まで以上により多忙極め、またあまりに多くの方々にメッセージを頂いた事もあり、目を通させて頂くだけで精一杯という有難い状況です。
 個別にお返事や質問に答えさせて頂く事が、とても出来ない状況で心苦しく思っておりますが、是非、状況御理解願えれば大変助かります。


【お知らせ: 2月6日のシンポジウム、いよいよ開催間近!】

 今回は広い会場ですので、まだ、申し込み可能です。
是非、当日、急に参加可能になったという方も、「途中参加なら可能」という方も、ご参加くださいませ。


 2010年2月6日  メディア戦フォーラム・シンポジウム:
 「日米同盟の危機」とChinaのマスコミ侵略 ?アジアを滅亡に導く無制限戦争?

  日時 : 2月6日(土) 11時00分? (10時半会場)
  場所 : なかのZERO 小ホール 中野区中野2-9-7 03-5340-5000
  参加費: 2000円

 〈午前の部 11:00?12:30〉
 ◎基調講演 藤井厳喜(国際問題アナリスト)
  「(仮題)シナの無制限戦争に侵略される日本」
 〈午後の部 13:20?16:30〉
 ◎特別講演 田母神俊雄 (元航空幕僚長)
  「沖縄をめぐる日米問題とメディア戦(仮)」
 ◎ビデオメッセージ (沖縄・台湾・三民族取材予定)
 ◎パネルディスカッション: 沖縄から起こす日本再生運動
  「メディア無制限戦争を如何に戦い抜くか」
 終了後、懇親会予定

 主催: ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ/メディア戦フォーラム実行委員会
 お問合わせFAX 03?3650?1475
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オバマ金融ショックの本質― ボルカー対サマーズ

投稿日:2010,02,03

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【1. オバマの新金融規制法案とは何か?】


オバマ大統領が、新金融規制案を発表してその行方が注目されている。

ボルカー元FRB議長を中心にしてまとめられた「新金融規制案」の意味するものは何か?

第一に、それはヘッジ・ファンドに代表されるハイリスク・ハイリターンの金融業を規制して、金融制度全般の安定性を高めるという事である。
第二に、投資銀行などが行うハイリスク・ハイリターンの金融業と、企業や個人の預金を扱う商業銀行(此方の方はローリスク・ローリターンのビジネス)を識別し、両者の融合を分離するという方向である。

という事は、第三に、従来、進めてきた投資銀行と商業銀行の融合の方向を見直し、かつて廃止したグラス・スティーガル法案を事実上、復活させてゆくという方向である。

リーマンショックで明らかになったのは、実は商業銀行で集めた正直なお金をもとに金融機関が投機的なハイリスクの投資を行い、相場が破たんすれば、正直な小口の預金者までその被害を被るような構造が出来てしまっていたという事であった。
勿論、アメリカにはFDICという預金保証機構はあるが、金融機関が破綻してしまえば、連邦政府の負担はあまりに巨大なものになってしまう。

その危険性が明らかになったので、80年代以来の金融規制緩和の方向を逆転させるという事である。
投資銀行というのは名前は銀行だが、日本の証券会社と類似した存在である。

証券業と銀行業の融合が、金融バブルを生んだ制度的な原因の一つであり、これをアメリカが反省し、方向転換を図りつつある、というのがオバマ金融規制法案の根幹である。
そしてこれは第四に、オフショー金融マーケットで急成長した世界のアングラ・マネーを徹底的に締めあげ、金融界を正常化するという目的も持っている。
オフショーのアングラ・マネーが世界の金融を如何に不安定化させ、リーマンショックうの引き金を引いたかについては、拙著『ドンと来い!大恐慌』を是非、参照してもらいたい。


【2. ボルカー vs サマーズ 】

オバマ政権の金融関係の人脈を見ると、最も大事な対立軸は、《ボルカーvsサマーズ》のそれである。

規制を強化し、金融業界のの正常化を図ろうとするボルカーに対して、ヘッジ・ファンドとの関係の深いサマーズ米・国家経済会議委員長(クリントン政権末期の財務長官)は、規制強化に反対していた。
これが、オバマ政権誕生直後の対立図式である。

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(↑↑ オバマの直ぐ左隣の近くに映っているのがボルカー。一番遠くで離れて端に映っているのがサマーズ。
※これは、オバマ政権発足直後の2009年2月6日の写真ではあるが、オバマとボルカーとサマーズの位置関係は、現在の3者の政治的距離関係を表しているようで興味深い。)

バーナンキFRB議長や、ガイトナー財務長官は、ウォール街を救済し、その救済の仕方があまりにウォール街優遇だというので、世論や議会は彼らを批難している。

しかし緊急対策として、それはやむを得なかった部分もあり、彼らがウォール・ストリートの代理人であるという批難はあたらない。
システム全体を救済する為にはある程度、やむを得ない大盤振る舞いであったと思う。

バーナンキやガイトナー以上に、ハイリスク・ハイリターン的金融業界のバックアップを受けているのがサマーズである。
政権の初期、オバマはサマーズを重陽し、ボルカーを軽視していた。

それが、金融危機の本質が明らかになるにつれ、ボルカー的規制強化案を受け入れるようになってきた。

これは、世界の金融界の正常化の為には、大局的に見て良い事ではあるが、それが多くの痛みも伴うのは確かである。

単純化して言えば、銀行で集めた金を、銀行の経営者がカジノで投機行為に走るのを禁止するのは当然の行為である。
それでは、オバマ政権のこの方向転換は、何故、起きたのか?

それにはキーパーソンであるポール・ボルカー元FRB議長のバックグラウンドをよく考えてみる必要がある。


【3. ポール・ボルカーこそ、真のウォール・ストリートの代表である】

ポール・ボルカーをウォール・ストリートの代表ではない、という見方もあるが、これは少々、皮相な観察である。

ウォール・ストリートと言っても一種類ではない。

私は二つに分けて考えるべきであると思っている。

第一は、ハイリスク・ハイリターンに狂奔する、ヘッジ・ファンドに代表される金融業界である。
第二は、ロックフェラー財閥や、モルガン財閥等に代表されるアメリカのエスタブリッシュメントの金融部門である。
ボルカーは、間違いなく第二の意味のウォール・ストリートの代表者である。

ポール・ボルカーのキャリアを見てみると、ロックフェラー財閥の財務部門であったチェイス・マンハッタン銀行(現在はモルガン・チェイス銀行)と財務省の間を往復しながら出世してきた人物である。

彼が、FRB議長に就任した時に、何をやったかを振り返ってみよう。
時は、カーター政権の末期であり、第二次石油ショックの影響が大きく、アメリカはスタグフレーションに悩まされていた。

スタグフレーションとは、スタグネーション(不況)とインフレーション(物価高騰)が並存している状況である。

これに対して、ボルカーが取った政策は、ドルの絶対的供給量を縮小させるという事であった。

就任直前のボルカーは、私の友人のアメリカ人に対して、(電話での個人的な会話の中で)「世界で最も重要なプライスは、ドルのプライスである」と明言している。

通貨(ドル)のプライス(値段)とは何か?

通貨の価格は、金利であると言われている。
つまり、1万ドルを1年借りて、その金利を1000ドル払うとすれば、その金利分が1万ドルという元本を1年間利用する価格になる訳である。
実はボルカーは、ドルのプライス(金利)をコントロールしようとはしなかった。

ドルの絶対的供給量をコントロールし、値段(金利)は上げるにまかせたのである。

つまり、1日1万個のリンゴを出荷していた農家が、ある理由により突然、リンゴを1日3000個しか出荷しなくなった状況に例える事が出来る。
この3000個のリンゴの値段は、市場が高騰させるのに任せた訳である。

その為、アメリカではピーク時には金利は年利20%にも達した。
強烈な不況がやってきたが、ドルの信用は救われ、そこからアメリカ経済は再スタートした。
ボルカーのマネタリストとしての信念が行わしめた政策であった。

幸い、カーターの後に就任したレーガン大統領は、大胆な赤字財政を組み、事実上のケインズ的経済政策をとったので、アメリカ経済は成長軌道に戻る事が出来た。

ボルカーは、ロックフェラー財閥に代表されるアメリカの真のエスタブリッシュメントの代理人(サロゲート)である。







彼の立場からすれば、ヘッジ・ファンド的な投機行為が過度に増殖し、健全なアメリカ経済をむしばむ事を許してはおけないのである。
彼は、謂わば、エスタブリッシュメントの深奥からオバマ政権に送り込まれた、そのサロゲート(代理人)である。

選挙戦の比較的早い時期に、ボルカー氏が、オバマ候補の支持を表明した事を知って、私は、オールド・エスタブリッシュメントが、オバマを抱え込んだと確信した。

「抱え込んだ」という言い方が一方的ならば、少なくとも、新興オバマ陣営とオールド・エスタブリッシュメントとの間に、協定が成立したと言い換えても良いだろう。

オバマは、オールド・エスタブリッシュメントのリクエストを着実に実行しつつあると言えよう。

オバマが確かにマサチューセッツ・ショック(上院補欠選挙での民主党の敗北)に焦り、新金融規制案を前倒しで発表したのは、確かであると思う。
しかし、金融規制の方向自体は、真のエスタブリッシュメントの望むところであり、そオバマはその方向に動いている。


【4. アメリカも輸出主導型経済成長へ?】

オバマは、最近の一般教書演説や遊説中の演説などで、盛んに輸出によるアメリカの経済成長を強調する。

しかし、結論から言えば、これは極めて難しいシナリオであると言わざるを得ない。

世界は構造的な需要不足に陥っており、この需要不足を補ってきたのがアメリカの過剰消費であった。

確かに、発展途上国のマーケットが成長してはいるが、そこに日米欧の先進国が揃って輸出競争を仕掛ければ、とても第3世界の内需だけでは世界経済が引っ張っていけない事は確かである。

1984年に出版した私のデビュー作である『世界経済大予言―高度情報化社会の幻想 (カッパ・ブックス) 』(光文社)以来、主張してきた事だが、このような第3世界の内需を拡大する事は確かに長期的には先進国の為にも、世界経済全体のバランスある発展の為にも望ましい事である。

しかし、低開発国の内需の拡大は、困難に満ちたものであり、一朝一夕に実現するものではない。
少なくとも、現行の世界経済の不況から、先進国が抜け出すための成長のエンジンとしては、あまりに小さすぎる。

それを無理やりやろうとすれば、先進国間の過当競争となり、お互いに首を絞め合う事になってしまう。

ただし次のような事は指摘しておいてよいだろう。

今年、ASEAN諸国間の関税撤廃が実現する。
これを見越して、クリントン米・国務長官は、ASEANに急接近する政策を打ち出している。

これは、シナと一定の距離をとる一方、安全保障面でも経済面でも、ASEANを重視して行こうという外交方針である。
当然、アメリカとしては、ASEAN諸国への輸出攻勢をかけたいという思惑がある。

ロシアはベトナムへの原子炉輸出を目論んでいる。
これもシナへの警戒とASEANへの接近を図るロシア外交の方向転換を如実に表している。
(ロシアのベトナムへの原子炉輸出に関しては、日本も協力できそうである。「CFGレポート」平成22年1月号No274参照 )


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