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9・11以降、リーマンショック以降のアメリカ人の崩壊感覚:映画『2012』論評

投稿日:2010,12,11

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 『2012』は、最近、多くなった「人類破滅」テーマのSF映画である。



■ 『2012』公式サイト: http://bd-dvd.sonypictures.jp/2012/ 

 メソ・アメリカ文明であるマヤ文明の暦が2012年で終わっているという話が全体のストーリーの伏線になっている。



少々、長いけれど、見て損のない映画だと思う。

 第一の印象は、9・11同時多発テロ以降の、そしてリーマン・ショック以降のアメリカ人の終末観と崩壊感覚が非常によく表現されている映画である、という事だ。
9・11は、政治的な崩壊感覚をアメリカ人に味あわせたが、直ぐに、対イスラム過激派の戦いに討って出たアメリカは、それなりに自信を回復する事が出来た。
 しかし、イラクやアフガニスタンでの戦いが長引くにつれ、再び自信喪失に陥りつつある。

 2008年9月のリーマン・ショックから始まり今日に至る、長期の、しかもかなりシビアな経済不況は経済的な崩壊感覚をアメリカ人に味あわせているのではないか。

 この映画のCGを使った特撮の見どころは、都市の巨大なビルが次々に崩壊してゆくシーンである。
これはまさに9・11のワールド・トレード・センターの崩壊を思わせる。

これに加えて凄まじいのは、大地に巨大な亀裂が走り、地殻そのものが崩壊してゆくシーンである。
更に巨大な津波が大都市を、そして人間が住む大陸そのものをのみ込んでゆくスペクタクルにも、思わず固唾をのんで見入ってしまった。

こういった崩壊シーンに、リーマン・ショック以降のアメリカ人の崩壊感覚がよく表現されているのではないだろうか。

 つまり、自分たちが今まで依存していた安定した社会の仕組みそのものが崩壊してゆくという恐怖感である。




 人類破滅のストーリーは、途中から旧約聖書の「ノアの箱舟」の筋書きに類似してくる。
つまり少数の人間が「ノアの箱舟」上の巨大な艦船に乗り込み、洪水に覆われてしまった地球上でサバイバルする、というシナリオである。

やはり西洋人は、キリスト教の「ノアの箱舟」の伝説が忘れられないのであろう。
最後は、ハリウッド映画らしく、人類の再生への希望というところで終わっているのだが、人類の大部分は滅亡してしまうという大悲劇でもある。


 この映画でも、いくつかの「ハリウッド映画の御約束」は守られている。
第一に、主人公は平凡で社会の主流からチョット外れた人間だが、いざとなればこの人物がスーパー・ヒーローに変身する。
平凡な人間がヒーローになる、というのもアメリカ人が大好きなストーリーである。

第二に、アメリカ大統領は、如何なるピンチにも動じない立派な「戦う人格者」であるという点である。
この映画の中では、年配の黒人の大統領であるが、彼は「ノアの箱舟」に乗る事を拒否して、国民に真実を知らせ、国家と共に滅んでゆくというヒーローである。

第三に、家族愛の大事さという御定まりのテーマもシッカリ組み込まれている。

 娯楽というには、少々シリアス過ぎる映画だが、我々をのみ込みつつある政治的・経済的、そして社会的混乱の巨大さを予感させるようなところがあり、私としては大いに楽しんでみる事が出来た。



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黒猫ノラの【Catch As Cats Can ! 】第1回 「武士道」とは?「葉隠」とは?

投稿日:2010,12,06

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ブログでのコラム、新シリーズ!
黒猫ノラの【Catch As Cats Can ! 】第1回

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gemki-s1.jpg : コラム・新シリーズ、【Catch As Cats Can ! 】いよいよ誕生です。

「Catch As Cats Can ! 」というのは、日本語で「猫のように捕まえろ!」というような感じです♪
NHK捏造事件と無制限戦争の時代 』で登場(書籍デビュー)しました、
私の助手を気が向いた時にだけ、シャッ!!と登場して、いつの間にか去ってゆく黒猫ノラちゃんに、登場いただきます。

というより、このブログの場で、藤井が猫の手を借りたい時に、猫のひたいほどの小さなコラムを書いてもらう事にします。

でも、彼、ノラちゃんのあまりにシニカルな見方に、私は必ずしも賛成は致しませんが・・・。(笑)
まぁ、あくまでノラちゃんが気が向いた時だけの、連載シリーズです。
(いつまで続くやら…w)

さて、そろそろ私は楽をしたいので、ノラちゃんにバトン・タッチしてもらいます。


コラム・シリーズ、第1弾タイトルは、にゃにゃんと、 「武士道」とは?「葉隠」とは? …だそうです。
第一回目から、えらく渋いテーマだね。

さて、ノラちゃん、後は任せたよ。(笑)


ノラ: nora-s1.jpg  さぁーって、と。

 最近、ゲンキ先生は『猫は犬より働いた 』という本をえらく感心して読んでるようで、絶賛してたけど、まさか猫に代わりにブログを担当させて、犬より働かせる気じゃにゃいだろうなぁ…。

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巧くのせられて猫だましにあわないよう…しにゃいとにゃぁ…。w


 さてっと・・・最近、国際政治の話に絡めて、「武士道が●●●」「葉隠がどうの…」という論議を声高にしている不思議な人間がいるんだよニャ。


おっしゃっている事が、あまりに事実とかけ離れ、「メルヘンチック」なのに大変感動しています。(笑)

 そもそも、武士道というものを、「葉隠」で代表させていいかどうか?という自体が疑問が残るけどニャ・・・。

 例えば、「葉隠」の武士道と、明治になって書かれた新渡戸稲造・著の『武士道』には非常に大きな隔たりがあります。

 まぁ、それはさておいてもよいでしょう。

仮に、「葉隠」に表れたものが純粋な武士道である、と定義したとしよう!

この「葉隠武士道」なるもの、ハッキリ言って、平和主義とは全く無縁のものであるばかりでなく、
寧ろ「平和主義の対極にたつモノ」なんだよニャ。

また、非常に思想的に言えば、狭くて極端な思想なんだニャ。

例えば、釈迦や孔子も全く評価しないというのが、「葉隠武士道」なんだ。

理由がこれまた凄い!

単純明快で凄い!

それは、「釈迦や孔子が、鍋島家を知らなかったから」というのです。

だって、「葉隠武士道」の忠誠の対象は、「鍋島家のお殿様」ですからねw。

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 そして、平和主義の対称であり、寧ろ、「軽挙妄動をよし!」とするところがあります。

「主君が辱められれば、前後の見境も無く即座に行動を起こして、自らの主君を辱めたものを一直線に殺しに行く」、というのが「葉隠武士道」が最も推奨するところの「行動」なのであります。

ブットブよニャ(笑)。


 例えば、「葉隠」の著者(語り部)、山本定朝は、元禄時代に起きた「赤穂浪士の討ち入り」だって、否定しています。

理由は簡単で、「討ち入りの前に、吉良上野介が病死してしまったらどうするのか?」、というのです。

深慮遠謀をめぐらせた大石くらのすけを山本定朝は、全く評価していないのだニャ。

もし討ち入り前に、吉良が死んでしまえば、仇討の可能性は永久に失われてしまう。
深慮遠謀をめぐらせた赤穂浪士の行き方を、定朝は「上方風の打ち上がりたる武士道なるべし(上方風の思いあがった武士道にちがいない)」と言って批難しているのです。


 定朝が最も望ましいというのは、自らの主君が辱めを受けたならば、前後の見境なく吉良上野介の首をとりに行く為に「暴発する」のが正しいというのです。
その企てに例え失敗しても、それは武士としての最大の名折れではない。
それは、運悪く目的を果たせなかった、というだけの事である。
仇討の機会を失ってしまえば、これは取り返しのつかない永久の恥辱となる。

だから、吉良暗殺という目的を達成できるかどうか、という合理主義はどうでもよい事であり、即座に行動を起こす事が純粋な武士道であると、山本定朝は主張しているのです。


nora-s2hugya.jpg えぇーーーー、でしょ。

これが、どうやったら平和主義と結びつくのかな?
核兵器を保有しない事と、どう結び付くのかにゃ?

nora-s1.jpg どうやら武士道と核兵器保有の否定を主張されている人間って、どう見ても、「葉隠」をちゃんと読んでいないようですね。


「あぁーあ・・・。(;一_一) (イタイイタイ…)」と、隣の猫も、言ってたニャ。(笑)


gemki-s1.jpg 藤井: そう言えば、鍋島家は「化け猫騒動」で有名だったよね。
   にゃるほど、どうもノラには特殊な情報ルートがあるらしい・・・。ふむふむ…。



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猫も反対するペット増税!- 猫は巨悪を許さない!!

投稿日:2010,12,03

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【藤井厳喜・12月の講演会の御知らせ】

★ 出版記念講演 『日本はニッポン』 ― ユーロ崩壊、1ドル70円台の世界にどう対応するか?

 日時: 12月4日(土) 18時から20時30分
 場所: 文京シビックセンター3階会議室
 受講料: 4000円
 講師: 藤井厳喜&渡邉哲也
 申し込みCFG事務局 info.cfg.future@gmail.com 


★ 藤井厳喜アカデミー『国民の為の政治学』特別公開講座 

 日時:12月5日(日) 18時頃から20時30分
 場所: 文京シビックセンター3階
 受講料: 5000円
 講師: 藤井厳喜

 既に「国民の為の政治学」(全12回)を学んだ方を対象に、より、実践的で高度な集中講義を開催致します。是非、質問を持ってのご参加を!

 両、講演会とも、会場にて『日本はニッポン! 金融グローバリズム以後の世界 』のサイン会も行っております。



 昨夜は久しぶりに、深夜、「キャッツ・ストリート」で地域猫さん達に餌をやったりしながら、猫ちゃん達と遊んでました。

kame-cats-1.jpg

小さな路地に6匹くらいの猫が生息しており、主に、その通り(通称:キャッツ・ストリート)の人達が面倒をみているのですが、私も時々、御手伝いしています。

 この猫達のお陰で、随分、人間同士の会話も弾みます。

ここら辺の猫の面倒を見ている中心は、一人でやっている小さな居酒屋のおかみさんで、猫が機縁でちょいちょい、この店に寄るようになりました。

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ちなみに、私は、居酒屋のみならず、食事や買い物は、なるべく猫を可愛がる人達の御店を利用するように心がけております。

 猫が地域のコミュニティーの接着剤になっている訳ですね。
コミュニティーが猫を可愛がれば、猫もちゃんと御恩返しをしてくれているのです。


 ランちゃんという黒猫が私からすると、中々の曲者で、一番、面白い。
私が以前に「くしゃみ猫」(町でのあだ名)とよんで御紹介した猫も、このグループの一匹です。
kame-cats-3.jpg

本当の名前は、「カグちゃん」です。かぐや姫の「カグ」です。
中々、素敵な名前ですね。
またチッチという、漫画のチッチにそっくりの猫もいます。

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 深夜の路地裏のひそかなミーティングですが、猫達は流石に情報ツウです。

なんと、あの「民主党」が、ペット増税を検討中との情報に怒りを露わにしていました。

kame-cats-5.jpg


 猫だけではない、全ての動物を愛する人達はこの民主党の暴政、悪政を断固として粉砕しなければなりません。

「税金をかければ、ペットの飼育に責任を持つようになる」というのが、民主党のペット増税の理屈だそうです。
だったら、子供の虐待を減らし、責任をもって育児・教育を親に行なわせる為に、「子供増税」をやったらどうですか?
つまり、子供一人当たりいくらの人頭税をかけるわけですな!(怒)
 そんな事をしたら、子供の虐待が増えこそすれ、減る事は絶対に無いでしょう。
だから、民主党は子供手当てを出す事にした訳でしょう。

この理屈が如何に間違っているかが分かります。


 し、しかも、増税したその収入で、
な、なんと、飼い主のいない動物の殺処分を行なうというのですから、
残酷極まりない悪法です。


 随分前から、ペットではなく、コンパニオン・アニマルという言葉が使われるようになりました。
多くの人達にとって、動物は単に一方的に可愛がるペットではなく、人生を共に歩むコンパニオンなのです。
(パーティーとかに出てくる、女性ではありませんよ!註)

 コンパニオン・アニマルということは、即ち、家族の一員であるという事です。
そういう意識を拡大し、人間の品性を高める事によって、動物遺棄の問題は解決されるのであって、ペット増税は絶対に動物愛護に逆行した悪法です。

未だに、党内で検討中との事ですが、この段階で早目に潰しておかないと、何がおきるか分かりません・・・・・・!!!!!!!!!!! と、

昨夜・・・深夜に会った猫達が言っていました。


  kame-cats-6.jpg

 来週から猫達の声をお伝えしたいと思います。こう御期待を!




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北朝鮮情勢とチャイナ情勢、そして移民問題― 無力、曝したチャイナ外交と米中対立の激化(動画付)

投稿日:2010,11,29

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 日時: 12月4日(土) 18時から20時30分
 場所: 文京シビックセンター3階会議室
 受講料: 4000円
 講師: 藤井厳喜&渡邉哲也
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 日時:12月5日(日) 18時頃から20時30分
 場所: 文京シビックセンター3階
 受講料: 5000円
 講師: 藤井厳喜

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【北朝鮮情勢とチャイナ情勢、そして移民問題】― 無力、曝したチャイナ外交と米中対立の激化 



 11月23日の北朝鮮の韓国砲撃は、アメリカとの直接2国間交渉を開きたい北朝鮮の瀬戸際外交である。

 決して「挑発行為」ではない。
謂わば、「弱者の恫喝」であり、アメリカが二国間交渉を開始し、現体制の保全を約束しないと、北朝鮮は暴発するかもしれない、という事を、主にアメリカ、そして関係各国に知らしめる為の恫喝外交である。

 実は北朝鮮は、今までもこのような「恫喝=脅迫」外交を行ってきた。
その手段は時には「ミサイル発射」であり、時には「原爆実験」であり、時には「国境線近くにおける不穏な行動」であった。
(今年3月の韓国の哨戒艦「天安」の爆破事件もそうであるかもしれない。)

 謂わば、悪質な「かまってちゃん」外交なのである。

 韓国もアメリカも本格的な反撃をする可能性は殆どないので、第二次朝鮮戦争に発展するリスクは今のところ極めて低い。

 こういった北朝鮮の突発的な恫喝外交が起きる度に、メンツを失っているのがチャイナ外交である。

 6カ国協議の枠組みは、チャイナの北朝鮮に対する影響力の行使を通じて、北朝鮮を融和しようというものであるが、実はチャイナには北朝鮮の行動を抑止する力がない事が、北朝鮮の恫喝外交によって明らかになってきた。

 北朝鮮はチャイナの属国と化する事を恐れており、チャイナの桎梏を離れて、アメリカとの外交関係を開き、アメリカに体制保全の約束をさせたいと考えている。
これが北朝鮮外交の近年変わらぬ基本線である。
全ての予測不可能と見える恫喝は、この為に行われている。


▼また、移民問題について質問があったので、お答えした。
日本が、大量の移民を受け入れるべきであるという議論を未だにしている人達がいるが、ただでさえ失業や賃金の低下が問題となっている日本が、これ以上、移民労働者を受け入れる事は、全く日本国民の利益に相反する行為である。

 しかし、私は「移民」に全面的に反対な訳ではない。
単純肉体労働者の受け入れには反対である。
これは、英独仏などの先進国が単純肉体労働の為の移民を導入して、国内に大きな問題を抱え込んでしまった実例を見れば、日本がその過ちを繰り返してはならない事はあまりに明白である。

 日本が異常に好景気で本当に人手不足であったバブルの時代に外国人労働者受け入れを主張する事には、それなりの理由があったが、現在の失業者の増大と賃金低下が問題になっている時に、外国人労働者を受け入れを増やそうなどというのは、国益を破壊する愚論中の愚論である。

 但し、私はホワイトカラーを中心に優秀なエンジニアや科学者や特殊な技能の持ち主で、日本を愛し、日本で働きたい人がいるならば、日本経済の更なる発展の為に優秀な人材をドンドン受け入れるべきである、とも思っている。

 日本国を愛し、よき日本国民となり、日本国に忠誠を誓ってくれるような、知的生産者であるならば、これを受け入れる事には全くやぶさかではない。
当然、こういった知的階級の移民の数は、そう多数とはならないであろう。
 要するに、日本経済を発展させ、日本コクを強くする為の少数の優れた移民ならば積極的に受け入れるべきであると考えている。




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新著『日本はニッポン!―金融グローバリズム以後の世界』発売 : 金融グローバリズム以後の世界とは(動画&御知らせ付)

投稿日:2010,11,28

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皆様、少し、お久しぶりです。

 北朝鮮の砲撃事件もあり、国際関係は大きく揺れ動いています。
経済関係では、ヨーロッパのPIIGS諸国が財政破綻に陥り、ユーロ圏が解体しそうです。

今や金融を中心とするグローバリズムの時代は完全に終わりをつげ、各国とも自国の国益を前面に押し出したナショナリズムの方向に大きく動いています。

こういった状況を踏まえて、渡邉哲也さんと共著で、新著『日本はニッポン! 金融グローバリズム以後の世界 』を11月27日に発売しました。

読者の皆さんに、特に訴えたいのは、今やグローバリズムは完全に影をひそめ、新しいナショナリズムの時代がやって来たという事です。
日本のマスメディアの中では未だに空想的なグローバリズムが花開いたままのようですが、世界中でこんな論調のマスメディアが存在するのは日本だけです。

 その点をクールに論じながら、日本人は自信を持って、日本独自の道をゆくべきである、と主張するのがこの本の趣旨です。

対談本なので、読みやすく出来上がっていると思います。

 また、対談では触れられなかった細かなデータや、理論的な内容については、二人の著者が書き下ろしの論文で補足しています。

 是非、御一読の上、感想や批評をお知らせください。

 12月4日には、この本の出版記念講演会を、渡邉哲也さんと二人で開催致しますので、その場で皆様にお逢いしたいと思います。


【日本はニッポン!】金融グローバリズム以後の世界とは?[H22/11/28]
 ― 益々、重要になってくる国家の役割 :質問にお答えして




 最近、Twitterのフォロアーの方々から頂いた質問を元に、お話しました。

1〉 国際的な平和の構築において、地球規模の政治的な統合を考えるべきだという主張がある?。
また、国際紛争などを中立的に法制度のもとで解決すべきであるという考え方もある、
これらの考え方の妥当性についての質問を受けました。


 これらの主張の言わんとするところは、次のような事である。
従来の「平和」というものは国家同士の間の関係として考えられてきた。
しかし、平和を国家間関係の調整によって成立させるのではなく、国家を超えた、ないしは国家以外の国際機関の手によって成立させるべきである。
つまり、根本的に国家というものの役割を従来よりは小さく限定的に捉えようという発想法が基本になっている。

 しかし現実を見れば、国家を超えた政治的統合を成す為には、国家同士が合意に到らなければならない。
また、国際紛争を中立的な法制度の下で解決するというが、そのような仲裁制度に合意を示すのは国家以外の存在では有り得ない。
そのように考えてくれば、平和の確立の為に国家が果たすべき役割は、以前と全くかわってはいない。

 「平和」とは、第一義的には国家間の勢力のバランスによって生じる安定した状態の事である。
こういった状況を作る為に、個人や企業や非国家的な組織が一定の役割を果たす事は出来る。
しかし最終的には国家が行動しなければ国際平和というものは達成されないのである。

 相互依存の進んだ今日でも、国家の果たすべき役割は一向に減少してはいない。寧ろ、増大していると言った方が正確であろう。

 近年、国際関係において、国家以外の行動主体が多く登場して来た事は確かである。
しかしこれらの非国家的行動者が国際平和に貢献しているかどうかと言えば寧ろ、マイナス面の方が大きいのではないだろうか。
つまり、アルカイーダのような国際的テロ組織や、国際的な犯罪者集団なども世界の相互依存が進んだ事によって登場して来た非国家的な行動者なのである。
 多国籍的な金融資本は世界的な金融バブルとその崩壊をもたらし、世界の金融システムを著しく不安定なものにしてしまった。
一般に相互依存の進展と、非国家行動主体の増大が、国際関係の安定に寄与しているとは全く言えないのである。


2〉 現時点で、ハッキリ言っておきたい事は、金融を中心とするグローバリズムの時代は今や完全に終焉を迎えたという事である。

2008年9月のリーマンショック以降の世界においては、再び経済ナショナリズムがグローバリズムにとって代わって時代の主流となってきた。

 相互依存の世界を逆戻りさせる事は出来ないかもしれないが、自由放任的なグローバリズムが経済の繁栄と世界の安定をもたらすという楽観主義は今や完全に否定されたのである。
「世界が一つのマーケットに統合されれば、平和と繁栄が自動的に保証される」、といった意味での楽観的なグローバリズムは今や完全に死に絶えたのである。
そのようなグローバリズムを信奉している人は最早、世界の指導者の中には一人もいない。
 
 こういった事実を明確に分かりやすく述べたのが、私の新著『日本はニッポン―金融グローバリズム以後の世界』である。
気鋭の経済評論家、渡邉哲也さんとの共著である。
対談を中心にこれに両著者の書き下ろしの論文を加えて、1冊とした。
 金融グローバリズム以後の世界が、どのような世界なのか、またその中で日本はどのような道を歩むべきかについて、明確に論じたつもりである。


【藤井厳喜・12月の講演会の御知らせ】

 出版記念講演 『日本はニッポン』 ― ユーロ崩壊、1ドル70円台の世界にどう対応するか?

 日時: 12月4日(土) 18時から20時30分
 場所: 文京シビックセンター3階会議室
 受講料: 4000円
 講師: 藤井厳喜&渡邉哲也
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 藤井厳喜アカデミー『国民の為の政治学』特別公開講座 

 日時:12月5日(日) 18時頃から20時30分
 場所: 文京シビックセンター3階
 受講料: 5000円
 講師: 藤井厳喜

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