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最近、国際問題に関してあまりに非常識なオピニオンを聞く事がしばしばあるので、国際関係の常識にシッカリと基礎をおいて日本が直面する領土問題について論じてみたいと思う。
YouTube : http://www.youtube.com/watch?v=qH5Z6DX7EqE
ニコニコ動画 : http://www.nicovideo.jp/watch/sm13101153
【映像では述べなかったアメリカとの関係について】
近頃、よく耳にする論調の中に、アメリカの脅威とシナの脅威を全く同等に論ずるものがある。
また、感情的としか言いようのない極端な反米論の主張も耳にする。
私が言いたい事は以下の様な事である。
先ず第一に、アメリカが自国の国益を最優先にして外交政策を行なうのは当然の事である。
また、アメリカの占領政策が日本人の自立を阻害するような方向で特に占領の初期において行なわれた事は確実である。
しかし、例えば占領時代のアメリカの日本統治の現実をしっかり把握する事は大事だが、それが今、我々が反米主義を何よりも大事な外交原則とすべきである事には全くならない。
占領が如何に過酷なものであったにせよ、現在、アメリカとの連携によって日本の国益が確保できるならば、その事に躊躇すべきではない。
第二に、アメリカとシナの日本に対する脅威を同等のモノと論ずる愚論が存在する。
現在の日本にとっての眼前明白の脅威は、シナの脅威であって、アメリカの脅威ではない。
シナの脅威は現実的な軍事的・政治的・経済的な脅威である。
私はアメリカとの関係は、日本文明とアメリカ文明との対立と競争の関係であると思っている。
即ち、どちらの文明がより人間を幸福にできるかという文明観の争いが基本であって、アメリカが現実において軍事的に日本に脅威を与えている訳ではない。
政治的・経済的にアメリカは日本をアメリカの国益に沿うような形に誘導したいと思っているのは当然の事である。
しかし、日本とアメリカはデモクラシーや市場経済という共通の枠組みと価値観も持っている。
その体制の中での様々な駆け引きはあるが、共産党独裁のシナの日本に対する露骨な脅威とアメリカのそれとを比較するのさえ、愚かな事である。
以上の事は、このYouTube映像ではあまりに当然の事だと思われるので、述べていないが、改めて、文章で確認しておきたい点である。
映像で述べた事の要点は以下の様な事である。
一般論として言うならば、外交の目的は具体的な国益を確保し、拡大する事であり、現実離れしたイデオロギーを主張することではない。
具体的な国益の確保の為には、現実主義による行動しか手段は存在しない。
現実から遊離した教条主義や、狂信主義や、排外主義は国益を阻害するだけである。
現実主義による外交において最も重要なのは、戦略である。
最も純粋な愛国心を持ったものが、しかし、第一に自らの力量と客観情勢を見極め、第二に優先順位を選定して行なうのが外交戦略というものである。
客観情勢がどのようなものであるか、自己の力量はどの程度のモノであるか、それを突き合わせた上で、実行可能な目標は如何なるものであるか、を冷静に見極めなければならない。
それは外交目標の優先順位を明確にするという事でもある。
自己の力量に限りがある以上、外交目標の優先順位を設定するのは何よりも重要な事である。
現在、日本は三つの領土問題に直面している。
ロシアとの北方領土問題、韓国との竹島問題、シナとの尖閣諸島問題である。
残念ながら、竹島と北方領土は、それぞれ韓国とロシアに実効支配されて長い時間が経ってしまっている。
これに対して尖閣諸島は日本がかろうじて実効支配をしている領土である。
先ず、この尖閣諸島の領有を確実にする事が、3つの領土問題の中では、最も重要な日本外交の焦眉の急である。
かろうじて実効支配している尖閣諸島の領有すら確実にする事が出来ないならば、既に対立国に実効支配されてしまっている竹島や北方領土を取り戻す事などは夢のまた夢である。
現実主義で考えれば、先ず、竹島の領有権を確実にする事に只今の日本の外交努力を集中すべきなのである。
メドベージェフ・ロシア大統領が、北方領土を大統領として初めて訪問した事実をもって、ロシアの脅威とシナの脅威を同等に論ずるものもあるが、これは全くの愚論である。
残念ながら、既に北方領土はロシアに実効支配されているのであり、メドベージェフ大統領が北方領土を訪問したからといって、日本が今更、新たな領土を強奪されるわけではない。
ロシアの北方領土への領有権がこの訪問によって、より確実になった事は憂うべき事だが、我々がこの訪問によって新たな領土を失った訳ではない。
これに対して尖閣列島においては、わが国の領土である同諸島を、今まさにシナが強硬手段によって強奪・侵略しようとしているのである。
ロシアの船が北方海域において日本の領海を度々侵犯し、海上保安庁の船に体当たりし、日本のものである領土を新たに強奪・侵略しようとしているわけではない。
それ故に、メドベージェフの北方領土訪問よりも、尖閣事件の方が日本の国益を侵害するという点において、はるかに重要な事件なのである。
また、北朝鮮の脅威に対抗する事を考えれば、韓国との間で竹島紛争をエスカレートさせる事は、必ずしも日本の国益の増進には繋がらない。
結論として言うならば、日本の領土問題の内、尖閣列島の領有権の確立こそが、最優先されるべき課題なのである。
勿論、ロシアに対しても韓国に対しても、我々の国益を踏まえた主張は、国益を踏まえ、我々の領土的主張は正々堂々と訴え続けるべきである。
しかしこれら2つの問題が只今現在、解決できる具体的な方法手段は我々の手の中には無い。
全般的に見て、日本の国益をより大きく傷つけているのは、ロシア外交ではなく、シナ外交である。
シナにはロシアにある程度の言論の自由がデモクラシーすらも存在しない。
また、南京事件等の歴史捏造や、靖国神社への攻撃、様々な反日活動、日本の政治家への陰湿な影響力、更に最近益々目立つようになった不法移民による日本の公序良俗の破壊。
これらの点において、問題なのはロシアではなく、言うまでも無く、シナこそが日本に一番の現実的被害を与え、脅威を拡大しているのである。
また、以前のYouTube映像でも解説したように、2010年11月にはアメリカ・ロシア・インドが大きく協力関係を構造的に築き上げるという国際関係上の大きな変化があった。
この客観的な国際関係上の構造変化をシッカリと認識するならば、今、日本のシナと対立する外交は非常に進めやすい状況となっている。
アメリカ、ロシア、インドは3国ともシナを敵対国と認識し、これを取り囲む、謂わば「対シナ包囲網」を形成しつつある。
シナとインドは対立を棚上げし、適当に妥協している部分も存在はするが、潜在的には両国とも核兵器を保有するライバル同士である。
オバマ政権誕生当時は、米中共同統治の可能性も心配されたが、経済・軍事の両方の分野でシナの拡大する脅威を実感したアメリカは、大きくシナへの強硬路線に舵を切って来た。
日本にとっては、甚だ都合のよい方向に客観情勢は動いてくれている。
また万が一、米中が提携して日本を挟撃するような状況になったならば、日本は全力を尽くして、この米中連携にくさびを打ち込み、アメリカを日本の側に引きつけるように全力で努力しなければならないのである。
それこそが国益にかなった現実主義の外交である。
まして、客観情勢として米中の対立がエスカレートしているのであるから、この状況を利用して、アメリカとの連携のもとに尖閣領有の確実化を図らなければならない。
沖縄の基地問題の解決なども、この文脈で考えなければならない。
要は日本に対する最大の脅威がどこの国から来ているのか、という現実の認識が最も重要なのである。
そして、日本にとって潜在的な友好国があるならば、可能な限りこれを現実的な友好国として、日本の国益の増進を図らなければならない。
最も眼前明白な危険を認知できない人間は、外交問題を語る資格は無い。
また尖閣諸島に関して言えば、日本はシナという核保有国と領土問題を抱えてしまった事になる。
日本側が如何に領土問題が存在しないと言い張って見ても、シナが現実に領土領海への侵犯を繰り返しているのだから、シナとの対立を避ける事は出来ない。
日本はいうまでもなく、核保有国ではない。
核保有国ではない日本が、核保有国であるシナと領土問題を抱えているという事の重大性を改めて考えてみるべきではないだろうか。
この場合、核保有国であり、日本に友好的であるアメリカとの後ろ盾なしには強力な外交を進める事は出来ない。
もし日本が尖閣列島をシナに明け渡すような「柳腰(腰砕け)外交」しか出来ないのであれば、まさにその時にこそ、アメリカは日本を見限って、シナと手を握る結果になるであろう。
日本がシナに対抗する意思がないならば、アメリカはこのような意志なき国家を同盟国とする事は諦めて、潜在的な敵国であるシナと直接交渉する事により、西太平洋において、より国益にかなう勢力均衡を構築しようとするであろう。
アメリカとの協力関係は、強化しこそすれ、決して廃棄すべきものではないのである。
以上の様な状況を踏まえれば、現在、声高に叫ばれている非現実主義的な「アメリカ・シナ同等脅威論」や「アメリカが日中戦争を仕掛けている」等という謀略論が、どこから出て来ているかが自ずと明白になるのではないか。
即ち、日本とアメリカの緊密な協力関係にくさびを入れ、日米関係を破壊し、日米両国を離反させる事を狙っている国が、このような情報操作を行なっているのである。
あるいはその情報操作に踊らされている「善意ではあるかもしれないが、少々おつむの弱い人達」がこういった「為にする情報」を盛んに喧伝しているのであろう。
情報戦争とは、こういうものである。
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日本人が知らないところで、国際情勢は大規模に、かつ構造的に変化を続けている。
今回は軍事と経済の重要なトピックを1つずつ取り上げてみた。
YouTube : http://www.youtube.com/watch?v=7b31cg0odH0
ニコニコ動画 : http://www.nicovideo.jp/watch/sm13071900
第一は、アフガン戦争の行方である。
アメリカの戦争目標は、多大の軍事資源を投入しているにも関わらず、順調に達成されつつあるとは言い難い。
アフガニスタンからタリバンやアルカイーダ勢力を駆逐するのは至難の業である。
アフガニスタンにおいて戦況が好転しない大きな理由の1つは、反政府武装勢力がパキスタンのバルチスタンに聖域を有しているからである。
パキスタン政府はこの地域を攻撃できないし、アメリカがこの地域を越境攻撃する事も許可していない。
バルチスタンで訓練を受け、十分な装備を整えた武装勢力が越境してアフガニスタンで反米闘争を継続しているのである。
このパキスタンの聖域に大きなダメージを与えることなしには、アメリカがアフガン戦争で勝利する事は有り得ない。
パキスタンにまで戦争を拡大するかどうかという大きな岐路にアメリカは立たされている。
前回までの映像コラムでも指摘してきたように、アメリカは現在、ロシアとインドを戦略的提携国とし、シナ及びパキスタンと対立局面に突入した。
パキスタンの聖域にまで米軍の攻撃を拡大する可能性はある。
ただし、その場合、パキスタン政府自身が瓦解し、パキスタン自身が国家として崩壊する可能性も考慮しなければならない。
オバマ政権がどうかじを切るかが重大な焦点になってくる。
経済面から国際情勢を見ると、アイルランド、そしてスペインと続くであろうユーロを巡る経済危機が更に深く進行している。
12月17日、ムーディーズはアイルランド国債の格付けを一挙に5段階格下げした。
アイルランド危機への対処はEU首脳部のEUやIMFの首脳部では既に危機管理プランが合意されていると思われるが、それに続き、スペインがディフォールトに向かった場合は、必要とされる資金量も桁違いに大量となり、スペイン危機への対応は十分に準備されているとは言い難い。
12月17日、EU首脳会談でも、ヨーロッパ版IMFの2013年における創設は決まったものの、具体策については全く白紙状態のままである。年明け早々から更なるユーロの下落と金融危機がヨーロッパを襲う事は、確実である。
寧ろ、2011年こそ、ヨーロッパ金融危機の本番の年であると言っても良いだろう。
アメリカでは、奇妙な経済現象が起きている。
一部の大企業は順調に利益を上げ、株価も高い水準を維持している。
ウォールストリートは、2010年には史上2番目の巨額の利益を稼ぎ出す事が確実でる。
しかし、好調な企業業績が雇用の拡大や、賃金の上昇に驚く程、結びついていない。
それがオバマ政権への大きな絶望感となって現れている。
(オバマ大統領が財政再建に向けて、勇気ある増税を行なった、などというデマを流しているトンデモ・エコノミストがいるが、現実は全く逆である。下院で共和党に多数を取られた為、オバマ大統領は妥協して前ブッシュ政権が実現した富裕層を含む大規模減税を更に2年間、延長せざるを得なかった。財政再建を先送りにし、景気回復を優先させた訳である。)
全体として見ると、2011年の国際情勢の展望は、あまり明るいものではない。
アフガニスタンの情勢が一挙に好転する事はないだろうし、経済的にはアメリカはまぁまぁ、発展途上国の一部は好況だろうが、ヨーロッパ発の激震が世界経済を大きく揺さぶる事になるだろう。
日本にとって有難いのは、米中の対立関係が明確になって来た事である。
尖閣問題を抱える日本としては、アメリカとシッカリした軍事面での連携を行ないながら、対中包囲網を築いていく環境は整っている。
但し、現民主党政権では、このチャンスを生かすような外交政策は不可能ではあろうが...。
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米オバマ政権は、2010年11月に非常に大きく変質、変身してきた。
外交・内政の両面で、2008年に大統領選挙に勝利した時に期待された方向性とは全く異なった政権になってきたのだ。
この事を、久しぶりに動画で詳しく解説させて頂きました。
YouTube: http://www.youtube.com/watch?v=zo7S1GJCNG4
ニコニコ動画:http://www.nicovideo.jp/watch/sm13047380
先ず第一に、外交だが、アメリカはロシアとインドと連携して、チャイナと対立する方向に大きく外交路線を転換した。
この路線転換は、1オバマ政権の外交方針の変質ではなく、恐らく今後、10年、20年、アメリカ外交の基本方針となるものであろう。
外交的な節目になった日付が2つある。
先ず11月6日にオバマ大統領はインドを訪問し、インドと戦略的な提携関係を結んだ。
インド訪問直後に訪問したパキスタンに対しては、極めて冷淡であった。
パキスタンとチャイナが外交的に連携している事は周知の事実である。
次の節目は11月20日である。
この日、NATO首脳とロシア首脳の会談があり、アメリカを含むNATOと、ロシアは大きく協力と和解の方向にその外交方針を転換した。
二つの点が重要である。
第一は、ミサイル防衛に関して基本的な協力が合意された。
第二に、アフガニスタンにおける戦争に関して、NATOが必要な物資をロシア・中央アジアルートで輸送することができるようになった。
つまりロシアが、NATOのアフガン戦争に兵站面で協力することになったのである。
NATO軍がアフガン戦争を終了して撤退する場合も、この「ロシア・中央アジアルート」を利用できる事が決定した。
従来の主要兵站ルートはパキスタン経由であり、ロシアであったが、ロシア・中央アジアルートを使えば、輸送経費はパキスタンルートの3分の1しかかからない。
いずれにしろ、これらの決定の背後にあるのは、アメリカとロシアが大きく戦略的な和解と協力の方向に動いたという事実である。
総体として見るならば、アメリカとロシアとインドは、大きく連携し、チャイナやイスラム原理主義と対峙してゆく事になる。
つまり非常に大きな世界のパワー・ストラクチャーの転換が2010年11月に起きたのである。
目を転じてアメリカの内政を見ると、オバマ政権は11月の中間選挙の敗北もあり、大きく変質する事を余儀なくされた。
米下院で共和党が多数派になった事から、前ブッシュ政権の富裕層優遇税制の2年延長に同意せざるをえなかった。
これに対するアメリカ貧困層の反発は激しく、米主要都市で反オバマの抗議運動が起きている。
残念ながら、米マスコミも、あまりこの事を報道していないようである。
また、議会では反FRBの下院議員が、FRBを監視する小委員会の委員長にも就任している。
つまり、オバマ政権は、右からは共和党に攻撃され、左からは従来の支持層である貧困層と下層中産階級から批判されるという板挟みに苦しんでいる。
ボン・ジョビというロック歌手をホワイトハウスの諮問委員会のメンバーに使命した事などは、貧困層をなだめる為の人気取りパフォーマンス政策であろう。
オバマ政権の外交上の方向転換を象徴するような事件が12月10日に起きた。
↑ Richard Holbrooke アフガニスタン・パキスタン特使
(既に、10日の私のTwitterをご覧になられていた方には重複する話だが…。)
アフガニスタン・パキスタン特使である、国務省高官のリチャード・ホルブルックが大動脈瘤で倒れ、入院したのである。
大手術をしたが、13日に彼は他界している。
16日にはアフガン政策の見直しを発表する予定であった。
ホルブルック自身はかなりタカ派の人間として知られているが、この死が物語るのは、オバマ政権のアフガニスタン政策が巧くいっておらず、ホルブルックのような関係者に肉体的にも心理的にも大きな負担がかかっていたであろう、という事実である。
また同じ、12月10日には、ガイトナー米財務長官が、これは軽傷ではあったが、腎臓結石で首都ワシントンの同じ病院に入院し、翌日退院している。
財政政策の方も、赤字が拡大し、FRBが米国債の最大の引きうけてとなるなど、アメリカ経済の運営は厳しい局面に入っている。
国債の大量発行が原因となり、金利が上昇するという、最悪のパターンが現実になってきている。
景気回復で金利が上昇するのではなく、国債の大量発行が国家財政への不安と結びつき、金利が上昇し始めているのである。
FRBが米国債の更なる大量購入を決めたのも、11月上旬であった。
FRBに関しても、共和党の草の根保守派からの批判と、民主党左派からの批判が同時に惹起されている。
共に、オバマ政権による巨大金融資本の救済を、米国民を無視したものとして、批判しているのである。
オバマ政権は、左右からの十字砲火の標的となっている。
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★御知らせ: 本日、呉竹会アジアフォーラム「我が国の安全保障と領土問題」開催!
講師、石破茂・自民党政務調査会長。2部では領土問題について、小磯明・都議、藤井厳喜も加わり公開討論会です。
詳細→ http://www.kuretakekai.jp/asia_forums/af30.html
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今から5年前、平成17年(2005)年、4月23日、私は石垣島から尖閣諸島に向けて出港しようとしていた。
尖閣諸島に自ら上陸して、その実態を自分の目で確かめたいというのが私の年来の願望であった。
その前年、平成16年にも石垣島に渡り、2度にわたって尖閣上陸を企てたが、一度は船のエンジンの故障で、一度は天候不順の為にそれを阻まれてしまった。
今度こそはと、意気込んでの第三回目の挑戦であったが、この時は海上保安庁に出港をのものを阻まれて、残念ながら尖閣上陸の夢は果たせなかった。
しかし、この挑戦によって、いくつかの重要な事実が明らかになった。
それは、平成16年4月6日に出された内閣官房副長官補付内閣参事官と内務省大臣官房参事官による事実上尖閣諸島への上陸を禁止する通達であった。
平成16年以来、現在も、事実上尖閣への上陸は日本政府自体によって禁止されている。
通達自体は政府の許可があれば上陸できるという建前であるが、政府がそれ以降全く許可を出していないので、事実上、尖閣諸島への日本人の上陸は禁止されているのである。
この通達の存在を明らかにした事が、当時の私のせめてもの行動のささやかな成果であった。
この時、一緒に渡航しようとした仲間は、石垣市議会議員の仲間均氏、NPO南西諸島安全保障研究所の奥茂治ら一名の計4名であった。(船の船長は除く)
渡航失敗後に私が『月刊日本・平成17年6月号』に寄稿した論文をそのままブログに公開し、読者の便に供したい。
尖閣のおかれている状況を少しでも正確に伝える事が出来れば幸いである。
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【突撃ルポ! 尖閣諸島を「第二の竹島」にするな。 ― 政府は早急に尖閣諸島を実効支配すべきだ!】
国際問題アナリスト 藤井厳喜
● 尖閣諸島への渡航を阻止した海上保安庁
2005年4月23日(土曜日)午前4時。
石垣港から尖閣諸島・魚釣島に向けて出航しいようとした我々は、海上保安庁職員の妨害にあった。
渡航を計画していたのは私と石垣市議会議員・仲間均氏、NPO南西諸島安全保障研究所の奥茂治氏、他1名の計4人。
妨害したのは、石垣海上保安部の職員約40数名であった。
搭乗予定の漁船は海上保安庁の警備艇に横付けされ、しかも漁船が動けないようロープによって波止場に固定された。
そして午前6時5分、出港停止命令が出されたのである。
4時間半にわたって押し問答を続けたものの、結局、尖閣諸島渡航という目的は果たせなかった。
私が企てた今回の尖閣諸島への渡航計画は、3回目にあたる。
東アジアにおける安全保障問題について、長らく研究活動を行ってきた著者だが、特に日本施政下にある尖閣諸島について、現地の状況が一般の日本人に殆ど伝わらない事に疑問を感じており、以前から直接行って現地を見てみたいという想いを持っていた。
その中で昨年(2004年)3月下旬、宮古島から尖閣諸島へ向けた1回目の出航を計画、ある船主と交渉した。
この船主からは、「島の見えるすぐ近くまで行って年中漁ををしている、右翼の人ではない一般の人ならいつでも乗せていってあげますよ」と快諾を得た。
しかし、まさにその直後、中共から船でやって来た7人が魚釣島に不法上陸する事件があり(2004年3月24日)、先を越された形となった。
それから尖閣諸島周辺はあたかも戒厳令のように警備が厳しくなり、出航は不可能となった。
2回目の計画は、昨年(2004年)7月下旬。私と仲間市議の2人で計画していた。
何とか出航はしたものの、途中で予期せぬエンジン故障が発生し、断念せざるを得なかった。
そして今回、3度目の計画となった。
4月22日夕方に石垣島に到着、深夜に出航する予定であったが、なぜか海上保安庁に察知されていて、メンバーの1人が呼び出され、出航しないようにと再三説得された。
しかし、これまでは船を一旦出してしまえば、海上保安庁は法的には手を出さず、事実上容認してきたから、今回も大丈夫と我々は楽観的に見ていた。
尖閣諸島近くには1000トンクラスの海上保安庁の巡視船が常駐しているが、「上陸しないでください」というだけで、上陸を監視しているだけだ。
実は海上保安庁関係者も上陸を禁止されていると思われ、昨年のシナ人7人上陸の際もわざわざ沖縄県警が出向いて逮捕している。
仲間氏も「日本人が日本の領土に行くのに何ら問題がない、特に私は石垣市議としての行政視察で行くのだから」と言う。
1997年に西村眞悟衆議院議員が上陸した際は何ら問題がなかった。
私も、昨年(2004年)3月下旬に、事前に、第11管区海上保安本部(那覇市)に赴き、「尖閣諸島への上陸自体は違法行為、禁止行為ではない」との言質を得ている。
● 出港停止命令の根拠とされる奇妙な通達の存在
しかし今回は状況が違っていた。
政府は、国の許可を得ずに日本人が尖閣諸島に上陸する事を禁止する内閣官房副長官補付内閣参事官と総務省大臣官房参事官連名の通達(?)が今年(2005年)4月6日付で出されていた事を初めて知った。
総務省から海上保安庁に要請が下りており、今回の出航は違法行為(軽犯罪法違反)が予見できるという理由で出港停止が出されたのだ。
======== 引用 =========
《資料: 尖閣諸島の上陸について 》
平成16年4月6日
内閣官房副長官補付内閣参事官
総務省大臣官房参事官
1. 尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持を図るため、政府は、平成14年4月から、同諸島の所有者から同諸島(入江に係る部分を含む。以下同じ)の3島(魚釣島、北小島、南小島)を賃借しているところである。
2. また、同諸島の所有者からも、正当な理由なく同諸島への上陸、工作物の設置等(以下「同諸島への上陸等」という)を行うことは認められない旨の意思が示されている。
3. 賃借の目的を踏まえ、政府としては、あらかじめ認める場合を除き、同諸島への上陸等を行うことを禁ずる。
========= 引用・終わり ========
我々の強い抗議に、石垣海上保安部の警備救難課長がしぶしぶ通達の文面を見せてくれたが、コピーは認められなかった。
真偽を確認する為、総務省との連絡を求めたが、土曜日の朝という事情もあってできず、結局その場では梯課長の上司である新城部長に同じ説明を受けただけに終わった。
おそらく、インドネシア・バンドン会議での小泉・胡錦濤会談を前にして警戒していたのであろうが、今回、仮に出航ができても島の上陸は実力阻止されていたであろう。
筆者は今回の彼らの態度に非常に官僚主義的な壁を感じた。
筆者が指摘したいのは、この通達には疑問が多い事だ。
先ず、
1) 公文書であるにも関わらず、判が押印されておらず、
2) 官庁の文書番号もない。また、
3) そもそも参事官クラスの人間がこのようなことを勝手に決められるのか、越権行為なのではないのか。
大臣はこの事を知っているのか、と疑問はつのるばかりであった。
帰京後、領土議連アドバイザーである筆者は、同議連のさる国会議員にもこの通達について照会したが、彼も知らないという。
領土議連は昨年6月、連名で尖閣諸島への上陸視察を求める要望書を出しているが、政府側が難色を示して、結局、海上自衛隊のP3C機に乗って上空から島々を視察する事で妥協した経緯がある。
また、フジテレビも同じ時期に尖閣諸島の取材を要望して断られている。
昨年(2004年)段階で、政府はすでに日本人の上陸禁止を決めていたのかもしれないが、国の領土の最前線について国会議員の国政調査権も及ばず、マスコミを通しての知る権利もない。
さらに、魚釣島に本籍がある奥氏(前出)のような人も上陸できないし、現状では墓参りもできないであろう。
尖閣諸島をめぐる政府の対応は全く異常という他はない。
● 中共政権も認めた「尖閣諸島は日本の領土」
歴史的経緯を見ても、尖閣諸島が日本の領土の一部であることは明らかである。
14世紀以来、琉球王国は安南やシャムなど東南アジアへの交易船を多く派遣、また明・清への柵封使の往来もあったが、これら琉球船は尖閣列島を目印に往来していたことから、沖縄(日本)と尖閣諸島の関係が当時から最も深かった。
1879年、琉球藩は清国との冊封関係を解消し、沖縄県が設置されるが、1884年頃から実業家・古賀辰四郎が魚釣島、久場島などを中心にアホウドリの羽毛、貝類などの採取を始めるようになる。
こうした事態に対応すべく、沖縄県知事は1885年9月、内務省に国標建設を上申するとともに、実地踏査を届け出ている。
政府は1895年の閣議決定で尖閣諸島を沖縄県に編入、標杭を建てる事を決定した。
そして古賀は翌1896年に国から30年間の無償貸与を受ける事に成功し(その後、有償で払い下げを受ける)、鰹節製造事業を開始、島の開拓に寄与した。
民間人が島に入った後で、日本政府が開拓を追認したということになる。
第二次大戦後の1951年に結ばれたサンフランシスコ平和条約で、尖閣諸島は南西諸島「八重山郡」の一部としてアメリカの施政下に置かれ(公文書や地図にも明記)、1971年の沖縄返還協定で日本に施政権が返還されて現在に至る。
沖縄県石垣市役所には、中共や台湾による領有権の主張を崩す有力な資料が残っている。
史料は中華民国9年(1920年)5月20日付で、中華民国駐長崎領事・馮冕が中国漁民31人の救助に対して、当時の沖縄県石垣村(現、石垣市)村民に贈った「感謝状」である。
その中で尖閣諸島のことを「日本帝国八重山郡尖閣列島」と明記している。
これは中華民国が当時から尖閣諸島を日本領と認めていた証拠である。
また中共政権も、『人民日報』1953年1月8日の論説「琉球群島人民の米国占領反対闘争」で、「琉球群島はわが国台湾の東北と日本の九州の西南の海上に散在し、尖閣諸島、先島諸島、大東諸島、沖縄諸島、大島諸島、土暍喇諸島、大隈諸島の7組の島嶼を含み(以下省略)……」と書いており、「地図出版社」が北京で出版した『世界地図帳』(1958年11月出版)においても、尖閣諸島は「尖閣群島」という日本名の下に日本の領土として取り扱われている。
中共政府も、このように尖閣諸島は日本の一部として認識していた。
中共・台湾が尖閣諸島における主権を突如主張し始めたのは、1968年、国連の海洋調査団が東シナ海の海底調査を行なった結果、海底に有望な石油資源が埋蔵されていることが明らかになってからのことだ。
今年(2005年)2月9日、細田官房長官は記者会見で「尖閣諸島の魚釣島に民間が建設・所有してきた灯台を、同日から国が直接所有・管理することになった」と発表した。
筆者は政府が直接管理する事は島の実効支配をより高めることになる、と安心していた。
ところが実際のところ、政府は未だに島を管理する気配を見せないどころか、今は日本人が上陸することさえ違法行為として許さなくなった。
状況は二歩も散歩も後退している。
昨年(2004年)3月のシナ人上陸事件の結果、神社の鳥居が焼かれたとか、開拓者・古賀氏の顕彰碑が破壊されたとも伝わっているが、政府はその詳細を未だに明らかにしない。
反対に、日本側も尖閣上陸を禁止するから中共側も出航を阻止してほしいという小泉・胡錦濤両首脳間の密約があるのではないかと巷間で噂される始末だ。
今回の出航阻止は、まさにこの信憑性が正しいと実感させる事件であった。
かつては現場にあって、我々の行動を心情的に支持してくれていた良心的な海上保安庁関係者が排除されてしまい、上意下達に唯々諾々と従うような小役人しか見られなくなったこともまた残念である。
● 尖閣諸島を「第二の竹島」にするな
筆者が懸念するのは、尖閣諸島に多数の民間のシナ人が武器を持って不法上陸するケースだ。
過去から見ると、1978年4月には約半月にわたって200隻のシナ武装船団が尖閣海域に侵入しているし、1996年10月には、台湾と香港の活動家が40数隻の船で尖閣海域に侵入、うち5人が魚釣島に上陸しているし、03年の1年間に328隻が不法侵犯している。
最近日韓の間で領有権問題が再燃している竹島のように、もし中国人民解放軍もしくは武装した中共国民に尖閣諸島を急襲され占領された場合、日本政府は武力を使って取り戻す覚悟があるか。
そのような決断は到底出来まい。
そしてもし双方が発砲して死傷者でも出たならば、日本政府はどう対応するつもりか。
昨年(2004年)来、経済産業省は東シナ海の日本側排他的経済水域(EEZ)海底でエネルギー資源の調査をしているが、まず尖閣諸島で実施すべきだ。
海底油田の鉱区開発を申請した企業は、当初、尖閣諸島で資源開発を考えていたというし、島でボーリング調査した方がコストもかからない。
尖閣諸島海域は第二の北海油田となる可能性がある。
そうなれば、日本にとって大きな国富の増大となり、地元沖縄県や石垣島などにも巨大な利益をもたらすことになる。
明らかに国益につながるのに何の行動も起こさないのであれば、政府は売国外交を行なっていると言わざるを得ない。
仲間市議は10年以上も前から、尖閣諸島に上陸を繰り返し、隣接する北小島と南小島をつないで船の緊急避難港を構築すべきだと主張しているが、一向に実現していない。
一度整備したヘリポートも中共への配慮から壊されたという。
尖閣問題は、日本の領土の保全とともに、エネルギー開発・観光開発、さらに地元住民対策にも関わっているのである。
政府は地元漁民のこのような切実な要望も早く解決していかなければならない。
そのためには日本国民全体が尖閣問題を正しく理解し、政府に早く行動を起こすよう、圧力をかける必要があると切実に感じている。
2005年2月16日、衆議院予算委員会で尖閣諸島の「灯台国有化」について、ひとつの政府見解が出ている。
中津川博郷・民主党衆議院議員の質問に対して、町村外相は「灯台の機能を果たすために必要な対応を行なう」と関係要員の常駐に前向きな答弁をした。
それにもかかわらず、いつまでたってもその動きは見られず、かえって従来可能だった民間人の上陸禁止を行なっていることは、明らかに日本国民の目をごまかしているとしか考えられない。
早急に恒久的施設を作って実効的支配を強化しなければ取り返しのつかないことは、竹島ですでに経験済みである。
無人島政策を取っているのは日本に領有の正統性がないからだ、と諸外国から見られかねない。
筆者は、日本人が日本の領土に行く事を禁止している国益に反したこの通達(?)の有効性について、早急に国会で議論することを望む。
そして一刻も早く海上自衛隊を派遣して、島に陸上施設を作り、関係者を常駐させることを強く訴える。
さらにマスコミにも自由な取材を認め、観光開発、エネルギー開発、また漁業開発も進めて、日本が実効支配の度合いを高めていく状況を早く作り出すことが肝要だと信じる。
(以上)
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今年の9月にメキシコに行った時、モントレイという北部の大都市のペット・ショップや町で出会った猫が、Garfield(ガーフィールド)にあまりにそっくりなので驚いた。
毛並みの色も明るい茶色(濃いオレンジ色)で、そっくりだが、何よりもちんくしゃの顔がそっくりなので驚いてしまった。
両眼と鼻がほとんど一直線に並んだような顔は、まさにガーフィールド、そっくりだった。
きっとガーフィールドの作者、Jim Davisは、こんな猫を見て、ガーフィールドのキャラクターを創り上げたに違いない。
日本でもそこそこHITした実写版の映画『ガーフィールド ザ・ムービー
』と続編の『ガーフィールド2 (特別編)
』は、たわいないエンターテイメントの映画だが、この映画や原作となったガーフィールドの漫画を通じて、日本人とアメリカ人の「猫観」の違いがよく分かるのではないだろうか。
ちなみに、ガーフィールドの漫画は、1980年代に一度、日本で翻訳出版されたが、本国とは異なり、全く人気が出なかった。
ガーフィールドは41の種類の新聞で1978年に連載がスタートされ、たちまち人気が爆発!
私が当時、カリフォルニアで暮らしていた頃に新聞連載が始まり、流行っていたようで、時々、新聞を読む時に目にしたものだった。
現在、世界で2600以上の新聞に100カ国語以上で連載され、2億6000万人以上の読者を持っているそうだ。
単行本の発行部数も全世界では1億3000万部を超えるという。
しかし、何故か日本では人気がなかった。
あまりメジャーにはならなかった。
ガーフィールドの作者自身も、「日本ではあまりHITしないだろうし、理解されにくいだろう」と当初から語っていたくらいだ。
一つには、社会風刺の色合いが濃い漫画なので、アメリカ社会の細かな実情が分からないと理解しにくいという面もあるだろう。
しかし、これは、他の外国でも同じはずである。
大きいのは、おそらく猫に対する見方の違いなのではないだろうか。
ガーフィールドは、怠け者で、大食いで皮肉屋でいたずら好きである。
そして、かなりシニカルなキャラクターとして登場している。
いたずら好きという点は、ともかく、他のキャラクターは、日本人が猫において見出す好ましいキャラクターとは決していえないだろう。
日本人にとって猫とは、先ず、何よりも「可愛い動物」である。
適度に神秘的であり、貴族的であり、優雅であり、ネズミをとってくれる役立つ存在でもある。
ガーフィールドは、先ず、ネズミは捕らないし、肥っていて、決して美しくはない。
シニカルな性格も、日本人の猫好きが必ずしも好感をもつところではないだろう。
よく考えてみると、アメリカの映画やアニメの中で、猫の人気者というのは、そんなに多くは無いようだ。
アニメでは、「トムとジェリー」のトムが有名だが、彼は極めて陽気でネズミを追いかけるのに忙しい単純なキャラクターとして誕生している。
何しろアメリカのアニメ界では一番の人気者が、ミッキーマウスというネズミのせいか、猫はやや肩身が狭いようだ。
日本の猫の代表は、サンリオのキティーちゃん、ドラえもん等だが、キティーちゃんは、単純に超可愛い存在である。
ドラえもんは、長靴をはいた猫、よろしく、子供の夢を叶えてくれる信頼できる友人である。
およそ「ガーフィールド」的ではない。
【『ガーフィールド ザ・ムービー
】
続編【ガーフィールド2 (特別編)
】のイメージ
ガーフィールド映画のストーリーは、家族向けのエンターテイメントだが、
ガーフィールドの性格自体は、かなり捻くれており、大人が渋さを感じるような性格設定である。
ここら辺が中々、日本人には受け入れがたいところなのではないだろうか。
オリジナルの漫画自身はもっとワサビのきいた皮肉なものが多い。
実写版の映画は、日本人にも馴染みのある「ディズニー化されたファミリー向け」の内容に、創り上げられている。
漫画のタッチとは大分違うのである。
それにしても、実写にCGを組合わせるという手法が、見始めた時は不自然に感じられたのだが、映画が進むにつれて、全く違和感がなくなってくる。
この手法は中々見事であると思う。
アメリカの新聞連載漫画は日本とは全く違う。
4コマ漫画というのは、日本で発達した独自のカテゴリーである。
アメリカの漫画は、ほのぼのとした「サザエさん」的なものは少なく、風刺やアイロニーが基本である。
読み終わって、思わず大人が「ニヤッ」と笑うようなものが多い。
また、特に「ヒトコマ漫画」の風刺には、日本の漫画にはない、独特の素晴らしい切れ味がある。
日本の社会時評的な「ヒトコマ漫画」のレベルは、アメリカに比べればはるかに劣ると言わざるを得ない。
1コマ漫画においては、発案者と漫画家が別である場合が多い。
そのくらいに専門化した世界である。
1コマ漫画の辛辣な社会風刺はアメリカの漫画文化特有のものであろう。
ちなみに、数年前の事だが、産経新聞紙上に連載されている「ピーナッツ」(チャーリー・ブラウンやスヌーピーが登場する漫画)の翻訳に全くの誤訳があった。
翻訳しているのが、シェークスピア専門のK大学の英文学者だったので、誤訳もやむを得ないだろうと思った。
現代アメリカのトリビアを知らないと、翻訳できないような内容だったのである。
こういった問題は、翻訳に常につきまとう問題である。
昔、アメリカの推理小説を大量に翻訳している、ある日本の小説家が、自ら告白していたが、はじめ「イエローページ」という言葉が小説に登場してきた時に、その言葉の意味が全く分からないで困った、との事であった。
この作家は、「イエロー・ペーパー(センセーショナルな三流新聞)」という言葉があるので、それに類似した「くだらない新聞や雑誌」だという意味だと類推して、翻訳した、との事であった。
今なら日本人でも「イエローページ」という言葉の意味は知っている。
「電話帳の広告欄」の事である。
これは最近、アメリカ英語から日本に入って来た言葉である。
この作家の方は、アメリカに行って、初めて「イエローページ」という言葉の意味が、実物を見て理解できたそうだ。
「あぁーなんだ、こういう事だったのか」という訳である。
当時の英和辞典には、かなり大きなものでも、このアメリカでは日常用語である「イエローページ」の解説が載っていなかったのである。
ちなみにアメリカにいる頃、私の事を「ガーフィールドに似ている日本人」と呼んだアメリカ人がいたが・・・、私はそれ程、ラザニアは好きじゃないよ・・・。(苦笑)
↑↑↑ きっと、こういう種類の猫がモデルなんだろね。
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