― 麻生発言は正しい ―
【事前通告】
ミサイル発射や核実験を行う前に、北朝鮮は必ずアメリカに事前通告を行っている。
戦争を開始する侵略行為に思われ、報復行動を取られないように、細心の注意を払っているのである。
またこの事前通告によって、アメリカとの信頼関係を築く事も出来る。
シナへも事前通告はしているはずだが、おそらくアメリカとは時間差があるはずである。
例えば、アメリカには核実験の2時間前に通告するとすれば、シナへはその1時間前に通告するといった具合である。
今回は、30分前にアメリカとシナに同時に通告した、との情報もあるが、北朝鮮の政治的巧妙さを考えれば、同時という事は有り得ず、アメリカへの通告を優先させたはずである。
当然、北朝鮮から日本への事前通告はない。
それでは、アメリカから日本への事前通告はあったのだろうか?
おそらく米国からの連絡はあったが、核実験実施前には間に合わず、実験後に連絡があったものと推定される。
その証拠に中曽根弘文外相は26日「(アメリカからの)事前の連絡はなかった」と発言したが、その後、「外交上のやり取りだから明らかに出来ない」と発言を撤回している。
アメリカから連絡はあったものの、実験実施までには間に合わなかったのであろう。
【抑止力を持て!】
北朝鮮が、ミサイルによる日本への攻撃能力を持っている事は確かである。
4月5日のテポドンの発射実験で我々はこの事を再確認した。
このミサイルに核弾頭を搭載する能力があるかどうかは未知数である。
しかし、国防問題においては最悪の事態を想定するのが常識である。
我々は如何にして北朝鮮の核ミサイルによる攻撃から身を守る事が出来るのか?
国際関係論の常識から言えば、日本のやるべきことはきわめて単純であり、既に結論が出ている。
一言で言えば、北朝鮮に対して広義の抑止力を持つ事である。
広義の抑止力は、三つに分けて考える事が出来る。
1、敵基地攻撃能力
2、ミサイル防衛網(MD)
3、報復力(狭義の抑止力)
この内、2の「ミサイル防衛網」に関しては、未だ技術は完成しておらず、多額の支出が見込まれるにもかかわらず、その信頼性は必ずしも高くはない。
つまり、北朝鮮から飛んでくるミサイルを100発100中で落とす技術は未だに完成されていないのである。
そこで、緊急の課題としては、敵基地攻撃能力と北朝鮮への報復能力を日本が持つ事である。
ミサイル防衛技術は長期的に開発してゆく事が重要である。
しかし今日の国防を100%ミサイル防衛のみに頼る事は出来ない。
まず「敵基地攻撃能力」とは?、北朝鮮のミサイル発射基地を事前に攻撃してその能力を壊滅させる日本の攻撃能力の事である。
北朝鮮の日本に対するミサイル発射が明々白々の脅威となった場合、日本はミサイルを発射するなり、航空機による爆撃をするなりして、北朝鮮のミサイル基地を壊滅させなければならない。
今日の技術で言えば、巡航ミサイルのようなピンポイントの攻撃の出来るミサイル技術が最適であろう。
報復能力というのは、事前に敵の攻撃を防げなかった時に日本が北朝鮮に巨大な被害を与える軍事的な報復能力を持つということである。
国家が、合理的な行動者である限り、自国が壊滅的な被害を受けるならば、それを引き起こすような侵略行為は起こさない。
事前に敵のミサイル基地を攻撃できればよいが、もし今後、北朝鮮がミサイルを地下サイロに格納した場合は、事前の攻撃態勢を察知する事は殆ど不可能となる。
この場合は、敵基地攻撃能力を日本が持っていても、それを発動させる機会を失うことになる。
防衛の最も古典的な方法とは、狭義の抑止力を持つ事であり、抑止力とは報復力のことであり、報復力とはいざという場合、敵に壊滅的打撃を与える攻撃力の事である。
それ故に、「専守防衛論」は、まったくのナンセンスなのである。
何故なら、「専守防衛論」では敵国に対する攻撃力を持つ事が完全に禁じられているからである。
敵国に対する攻撃力がなければ、報復力は存在せず、報復力がなければ、抑止力も存在しないのである。
つまり抑止力とは、自国の防衛のみに限定して発動される攻撃力の事である。
つまり、日本が北朝鮮による攻撃を受けた場合、一挙にピョンヤン全市を壊滅させる程の攻撃能力があれば、北朝鮮といえども日本に核ミサイル攻撃を仕掛けてくることは、絶対に有り得ないのである。
北朝鮮が如何に、合理的な行動者であるかは近年のその実績から言ってもまことに明らかである。
北朝鮮の外交行動はまことに冷徹であり、巧妙であり、そして合理的である。
金正日は決して狂気の独裁者ではない。
【麻生発言は正しい】
麻生太郎首相は、「法理上、日本は敵基地攻撃能力を持つ事が出来る」と述べた。
これは全く正しい認識である。
麻生首相は26日夜、北朝鮮の核実験実施を受け、自民党内に敵基地攻撃能力を持つべきだとの見解が存在する事について、「一定の枠組みを決めた上で、法理上は攻撃できるという事は、昭和30年代からの話だ」と明言した。
首相周辺によれば、これは従来の政府見解の範囲内での発言である。
1956年当時、時の鳩山一郎首相は、「他に手段が認められる限り、誘導弾などの基地を叩く事は法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものだ」と政府の統一見解を発表している。
麻生発言はこれを踏襲したものである。
43年経って、この発言は我々に何をすべきかを明確に指し示している。
鳩山一郎に関しては、様々な評価があるが、この政府統一見解は極めて高く評価されてしかるべきだろう。
鳩山幸夫民主党代表も、まさかこの祖父の否定する事は出来ないだろう。
【日本海海戦の日に思う】
104年前の今日、明治38(1905)年5月27日、日本海軍は東郷平八郎連合艦隊司令長官の指導の下、ロシアのバルチック艦隊を壊滅させ、空前の大勝利を達成した。
104年前の日本から見れば、今日の日本の国防のていたらくは誠に直視に耐えない。
明治人は今日の日本の国防の堕落ぶりを一体、どのように慨嘆するのであろうか?
会戦に先立って、明治天皇の御下問に対し、東郷司令長官は「誓って敵艦隊を撃滅し、以って、宸襟(しんきん)陛下の御心を安んじ奉ります」とお答えしている。
この発言が完全な断言である事に注目したい。
寡黙で大言壮語しない東郷平八郎がこの場では、断言しているのである。
現在ならば、「・・・するように全力を尽くします」とでも言うところであろう。
「・・・するように努力する」とは既に失敗した場合の事を考えた言い訳である。
つまり、「全力は尽くしましたが、上手くいきませんでした」という言い訳が常に背後に控えているのである。
過日の小野田寛郎先生の講演会で、小野田先生はこのような言葉遣いを最も嫌悪するとおっしゃっていた。
企業が不祥事を犯す。
その折、責任者が出てきて記者会見で「今後このような事が起こらないように全力を尽くしたいと思います」というような事を必ず言う。
小野田先生は、「この時何故?『このような不祥事は二度と起こしません』と断言しないのだ?」と怒りを顕わにされていた。
断言すれば、発言者は自らの退路を断つことになる。
現代の日本人はそれが怖くて断言が出来ないのである。
日本海海戦に臨む当時の日本全国民の決意というものを思い返してみたい今日一日である。
補足; 【 日本が持つべき抑止力について 】
核兵器に対する抑止力は、核兵器でなければならない、というのが常識である。
しかし、北朝鮮の核に対する抑止力としては、必ずしも核兵器でなくとも可能であると私は思っている。
北朝鮮の核戦力は現状のところ、極めて小さいのであって、日本が通常弾頭のミサイルを十分に保有し、北朝鮮の首都ならびに主要軍事基地を一挙に破壊できる能力を持つならば、それで抑止力としては十分である、
しかし、それはあくまで2009年5月の時点での情勢判断である。
いよいよ、この連載の最終回である。
※ 1(/4) 「自由経済化の奔流」「なぜ共産主義は破綻したか」
2 (/4) 「裏切られた必然」
3 (/4) 「低開発国のディレンマ」
この論文全体を、貫いているモチーフは、資本主義経済が構造的に世界レベルで変質しているという事である。
しかも、その構造変化の中軸が南北関係にあるということでもある。
私はこの3月に『ドンと来い!大恐慌
』という本を出版したが、この本も世界的な資本主義の構造変化という基本的視点から現在の金融恐慌の有り様を説明したものである。
私が、常々不満に思っているのは、このような真にマクロな視点からの経済や国際関係の構造分析が甚だ少ないという点である。
今、巷には、「大恐慌」を冠したタイトルの本が溢れているが、それらの本の殆どは、純粋な現象の説明に終始していて、その背後にある経済の構造変化に目を向けていない。
まして、一国ではなく、国際的な資本主義の構造変化ということについて論じている論文や書籍は稀有である。
この論文の中では、今回紹介する最後の部分において、将来の展望が明示されている。
それが、現時点から見てどの程度あたっているか、またどのように、またどの程度、修正されなければならないか、についてはこの論文の後で解説したい。
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※ 以下は、10ページの論文記事を4回に分けてお届けするシリーズの第4回分(最終回)である。
(中央公論1989年9月号掲載論文 『共産主義「終焉」の後に 』 より)
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【 5.新たな世界経営に向けて 】
従来の状況では、低開発国が共産化した場合、2つの行き方があった。
1つはソ連を中心にしたコメコンの分業体制に組み入れられる道、もう1つは、完全に自力更生路線を歩む道である。
キューバやベトナムは前者を選んだし、カンボジアやアルバニアは後者を選んだ。
低開発経済とは、単に経済発展が遅れている状態ではなく、先進国への従属構造に組み込まれた低開発状態である。
こういった状況下で、先進資本主義国との関係を完全に断絶して経済発展を目指すには、信じ難いほどの困難を伴う。
たとえコメコン体制に入っても、ソ連の自己中心的な分業体制の中で煮え湯を飲まされることになる。
国の人口の3分の1が虐殺されたと言われるカンボジアの悲劇は、このような無理を強権によって断行しようとしたことから生じた。
エチオピアの飢餓も、半分は異常気象のゆえではあるが、半分は西側と断行し、無理矢理、共産主義化しようとしたエチオピア政府の責任である。
近年ようやく鎖国の扉をあけ始めたアルバニアの経済は、ほとんど中世的と言ってよいほどに停滞している。
一方、韓国、台湾、シンガポール、香港などNIESと言われる国々を中心に、資本主義圏の低開発国の中から、本格的に経済的離陸をする国が現れ始めた。
最近では、タイ、インドネシア、マレーシア等の発展も注目されている。
低開発国が、自由主義経済圏に留まりながらも、自立的に近代化してゆく現実の可能性が拡大してきた。これに関しては、政治的理由と経済的理由の2つを考える事ができる。
いずれも先進資本主義諸国の第三世界への対応が、根本的に変化したことに起因した客観情勢の変容である。
第1は、アメリカが反共を唱える第三世界の独裁政権、しかも真の民族主義的基盤のないそれを支持して、民族主義勢力を共産化してしまう失敗を犯さなくなったことである。
アメリカも他の西側先進国も、反共ですべてを黒く塗りつぶしてしまうことの失敗に気付いた。
これにはキューバ革命やベトナム戦争の教訓が大いに生かされている。
これらの失敗からアメリカは高価な教訓を学んだとも言える。
レーガン政権は戦後の歴代アメリカ政権の中でも最も反共・タカ派的な政権としてスタートしたが、韓国、フィリピン、ラテン・アメリカ諸国(チリ、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ等)、カリブ海諸国の民主化運動を支持してきた。
これら諸国の民主化は、近年のアメリカ外交の最も輝かしい成果の1つである。
現ブッシュ政権もこの路線をさらに強力に推し進めている。
ニカラグアではキューバに似たボタンのかけ違いがあったが、これもソ連の軌道修正とともに、修復されるはずである。
第2のより重要な経済上の変化は、先進資本主義国、特にその中枢的存在であるアメリカの多国籍企業エスタブリッシュメントが、中国、ソ連・東欧圏はもとより、第三世界の経済開発・近代化の方向に大きく乗り出してきたことである。
即ち、共産圏をも含む世界の低開発状態にある国々の開発をはかることにより、世界経済の新しい発展パターンを創造するという方向に、アメリカのビック・ビジネスは方向転換しつつあるのである。
この事実を証明するには、この小論では十分ではないが、ともかくもアメリカ財界人の一部の用語を借りれば、“グローバル・ニューディール”、もしくは“南北間マーシャル・プラン”といわれるような構想が、アメリカ多国籍企業のグランド・ストラテジーとして定着し、コンセンサスを得つつある。
このような経済戦略が根底にあるがゆえに、第一のアメリカの対第三世界政治戦略の方向転換が可能になってきたのである。
このようなアメリカ多国籍企業の戦略的方向転換を必然としたのは、世界的資本主義経済の成長パターンの行詰まりである。
先進資本主義国(日米欧)の世界人口に占める比率はわずか15%、この15%の人口の消費のみによって世界経済の成長を支えることは、ますます難しくなってきた。
有効な投資機会の減少は、先進国経済の金余り、そして投機化を不可避の結果として招来した。
その破局が87年10月の世界的株価大暴落(ブラック・マンデー)であった。
また先進国における有効な投資機会の減少は、第一次石油ショック後還流してきたペトロダラーの投資先を、潜在的成長力はあるが、きわめて危険性の高いラテン・アメリカを中心とする第三世界に求めさせる結果となった。
この結末が88年末現在1兆3000億ドルを上回っている第三世界の累積債務問題である。
いずれも、先進国の消費主導型の成長パターンの行詰りから生じた破局といってよい。
一見好調そうに見える世界経済も、このような病弊に悩んでいる。
この行詰りから脱する本道は、世界人口の85%を占める共産国と第三世界の消費水準の向上と経済開発を図ることである。
アメリカの多国籍企業エスタブリッシュメントの戦略的方向転換の背後には、このような現実認識があると言ってよい。
このグローバル・ニューディール戦略を推進する為に誕生したのが、ブッシュ政権とも言えるわけである。
85年のベーカー構想、89年3月のブレイディ構想と、アメリカは相次いで累積債務対策に、より柔軟かつ妥協的な解決案を提案してきた。
89年7月にはブレイディ構想適用第一例であるメキシコに対して、債務を35%縮小(棒引き)することに先進国が合意している。
このような大胆な妥協も、また同様の債務解決案をポーランドのような共産圏にも適用してゆこうという提案も、アメリカの第三世界・共産圏開発戦略、即ち世界の低開発地域に最終市場を創造してゆこうという意図と整合的なものである。
このような資本主義の地球的な変貌には多大な困難が伴うし、事実現在、多大の困難を伴ってこの構造変化は進行中である。
それは低開発国がもはや共産主義という苦難に満ちた選択をせずに、資本主義経済圏内で自立し経済発展し得る環境が出来つつあるということでもある。
このような展望を楽観的過ぎると批判する人々は、19世紀以来、資本主義と自由社会が見せてきた恐るべき構造変化への柔軟性を忘れていると言わざるを得ない。
かつて古典的マルクス主義者によって解決不可能と思われた、先進資本主義国内の階級対立が、社会福祉対策の導入と修正資本主義路線の確立によってみごとに解決したように、現在の南北問題という一種の国際的階級対立も、資本主義の世界的構造変化によって解消されつつある。
中国、ソ連、東欧のような既存の共産主義国は踵を接して自由主義化しつつある。
第三世界の国々がもはや共産主義を選択すべき必然性は解消しつつある。
共産主義は完全に終焉しつつある。
東西対立を越えた新しい時代の地平線が開けつつある。
新たな自由経済の地球的発展の時代が到来しつつある。
この時代を支える新しい理念は、民族自立の確立、南北共生的経済発展、地球環境の整備の3つであろう。
この三大理念は、また人類の直面する三大課題でもある。
共産主義の終焉とは、共産主義が解決することのできなかったこれらの三大課題を、自由主義社会が担ってゆかねばならないということでもある。
自由主義社会の一員でもある日本の、そして我々の責務はまことに重大である。
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※ 今回が第4回連載の最終章になります。
この企画の紹介論文は、4回に分けてご紹介させて頂きました。
※ 1(/4) 「自由経済化の奔流」「なぜ共産主義は破綻したか」
2 (/4) 「裏切られた必然」
3 (/4) 「低開発国のディレンマ」
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【 第4回掲載分の 補足的解説 】
この論文の最後の部分を私は決して楽観的な気分で書いたわけではない。
しかし、今から読み返してみると、やはり当時の私は現在よりは楽観的だったようである。
20年前には予測できなかったのは、以下のようなポイントである。
1、 今日のシナのように経済は資本主義化しているが、政治においては近代化・民主化していない国が登場してきたことである。
この論文においては、低開発国が資本主義化してくれば、それに付随して政治構造も近代化してくるという前提に立っていた。
しかし、そのようではない国が現実に生まれてきたのである。
2、 それと関係していることであるが、イスラム原理主義のような、世界の資本主義経済への統合そのものを拒否し、かつ思想的にも近代化そのものを否定するような政治勢力が生まれてきたことである。
イスラム原理主義の問題は、必ずしも民族主義の問題ではなく、イスラム教という普遍宗教にかかわる問題である。
しかし、そのかなりの部分は、アラブ民族に特有な民族問題とも捉えることができる。
これも当時は予見できなかった問題である。
3、 環境問題が、より大きな課題となることはこの論文が的確に予測していた。
しかし、CO2排出権取引に代表されるような、「エセ環境問題」がこれほど大きく取り上げられるとは予想していなかった。
低開発国の経済開発の問題は、必然的に環境問題を内包することになる。
その点で、南北問題の解決と環境問題は不可分に結びついている。
しかし、賢明な読者の多くはご存知だと思うが、CO2排出権取引はCO2の排出そのものを減少させる仕組みではない。
いたずらに排出権の金融商品化を促進し、そのバブル化さえ引き起こしかねない。
そのような点において、我々は歪んだ環境問題の取り上げられ方に十二分に注意していかなければならないだろう。
4、 第三世界が今日のように、先進国の勤労者一般に大きな脅威になるとは、20年前の私は予想していなかった。
この点もあまりに楽観的だと批判されても仕方がないだろう。
つまり、第三世界の近代化の経済発展につれて、先進国の勤労者一般の賃金が引き下げられ、失業すら生むに至っている。
20年前の私は先進国経済はより高度な製造業やサービス産業に特化してゆくことによって、南北関係はスムーズにそして相互補完的に進展してゆくものと考えていた。
しかし、今日の現状を見ると、南北間には明らかにゼロサムゲーム的な関係も存在する。
以上が私の反省点である。
これらの反省点は、最近の私の書物には全て反映されている。
またこの論文では、その長さに制限(字数制限)があることから、こういった構造変化の中で、日本がどのような国家戦略をとっていくべきか?については、まったく触れていない。
日本の国防戦略、また経済戦略については今後、この大きな未来予測の中で論じていきたい。
5月25日、午前10時少し前(日本時間)、北朝鮮が2回目の核実験に成功した。
このニュースが日本時間の午前中に世界を駆け巡り、人々を震撼させた。
25日、午後の時点で私が考えているポイントを以下にまとめて述べてみる。
1. 北朝鮮では金正日以後の第3代目の指導者への権力移行の準備が着々と進められているようだ。
第2回目の核実験の成功、その前のミサイル発射実験の成功、これによって北朝鮮は軍事大国の基盤を固め、国内では近く第3代目独裁者の指名が行われる事であろう。
軍事大国といっても実際はお粗末な内容だが、北朝鮮は自ら言うところの「強盛大国」の建設に成功したと主張し、金王朝3代目の権力基盤を正当化している。
現金正日の健康状態はかなり悪化しており、この為、核実験の成功を急がなければならなかったのであろう。
その為、今回の核実験が多くの専門家にもサプライズと受け止められているのであろう。
2. 今回の核実験では第1回目のものよりもより規模の大きい成功だったようだ。
この為、今後の米朝関係を展望するとアメリカは核兵器保有国北朝鮮を事実上、承認せざるを得なくなってくる。
米朝関係を国交樹立は既に現実的な外交予定に入ってきている。
これはブッシュ政権の末期から変わっていないであろう。
当面、核実験の余波が静まるまで、米朝関係で大きな外交関係の進展はないはずだ。
しかし、核実験の余韻が冷めた頃に、アメリカは核保有国北朝鮮を承認する形で米朝間に正式国交が樹立されるのであろう。
今回の核実験は、北朝鮮がアメリカに自国の核兵器保有を承認させるダメ押しの行為であった。
アメリカとしても北朝鮮が、テロ団体やテロ支援国家への核兵器の拡散をしないと約束するなら、それを条件に北朝鮮の現体制がもし存続を約束するのにやぶさかではないのである。
3.土曜日に韓国の前大統領の盧 武鉉(ノ・ムヒョン)氏の自殺が伝えられた。
他殺説もささやかれている。
しかし、いずれにせよ盧 武鉉の死亡によって韓国内の左翼勢力の現李明博(イ・ミョンバク)政権に対する反発は高まっている。
韓国は、通弊の左右対立が激化し、北朝鮮の核の脅威の前に団結できずに北朝鮮の対南工作は巧妙を極めており、韓国はこの大事な時期に政治的に分裂させられ、北は南に対して著しく優位な立場にある。
4. 今回の核実験によって、シナが北朝鮮をコントロールする力が全く無い事が再び証明された。
5. 日本は、北朝鮮の核の脅威に対して、今や国論を統一し、一挙に憲法9条改正に進むべきである。
にも関わらず、与党自民党に憲法改正の声なく、野党民主党の大半は寧ろ、憲法改正反対であり、日本国の危機は益々深まっていると言わざるを得ない。
6、 今後アメリカ外交は、基本的には北東アジアにおける微妙な力の均衡を維持してゆこうとするだろう。
オバマ政権においても、外交の中心課題はアフガニスタン、パキスタン、そして中東の安定化である。
北東アジアには、第二儀的な関心しか払っていない。
基本的にはアメリカは、親中的な態度をとりつつも、時に、北朝鮮を使って中朝の離間を画策するであろう。
アメリカはユーラシア・中東外交においては、ロシアとの連携を深めつつ、同時にシナとの友好関係も継続する二股路線追及すると思われる。
日本は相変わらず、蚊帳の外である。
講演会を終えて、帰宅すると、色々なお便りが届いていました。
このところ、(特に)『ドンと来い!大恐慌』以来、本の発売日以後、何らかのリアクションや手紙やe-mail等、様々な読者の方からの声を頂くようになりました。
今回もまた、地方の方からも「書店に見に行きました」「どういうところに並んでましたよ」等々と実に細やかなお気遣いタップリの連絡や励ましをいただきました。
有難い事です。
普通、本を発売した直後や、数週間後くらいまでは、その本の多少の告知やその本がどうなっているかに著者も気を遣うものですが、発売後、約3ヶ月弱が経過しても、それ以後の様々な町の書店様での変化や状況をうかがい知れるのは中々ないことだと思います。
『永久国債の研究』の発売に合わせて、『永久国債の研究』と同時に、『ドンと来い!大恐慌』や『環境バブルで日本が変わる』の合わせた様子なども分るお便り等、特に地方の方から送って頂き、感謝一杯です。
有難うございます。
度々、このブログ上でもお知らせさせて頂きました講演会が本日、無事、終了しました。
秋葉原の新しく、素晴らしいホールでの講演会でした。
映像音響施設もハイテクの最先端の環境で、私の講演オープニングのイメージ映像も450インチの巨大スクリーンにはえ、講演にも入りやすかったです。
本日の講演の要旨は、以下のようなポイントでした。
今後、環境(グリーン)ビジネスが経済成長を引っ張るエンジンの1つになってゆく事。
今までは、環境問題といえば、経済成長の足を引っ張るもの、と捉えられてきましたが、今後はその逆で、環境関連ビジネスが経済成長のエンジンになってきます。
このトレンドは、アメリカにおけるオバマ大統領の誕生によって、決定的になってきました。
欧州では、このトレンドは既に定着しています。
日本では、現在の大不況からの脱出のために大規模な内需拡大策が求められています。
日本経済は外需(輸出)に過度に依存していましたが、世界金融恐慌でこの外需が大幅に落ち込んでしまった為に、日本経済も底の深い不況に叩き込まれました。
そこで、現在の不況に対する経済対策としては、内需を拡大するしか方法がなくなってきています。
この内需拡大策の中でも、環境ビジネスは今後、ひとつの大きな柱に育ってゆくでしょう。
また日本では、欧米に比べ、住宅環境が先進国としては見劣りがするため、住環境の改善が内需拡大の1つの眼目になってくると思います。
この2つのトレンドを合わせて考えると、今後の日本では、エネルギー効率のよいエコロジーに十分配慮した住宅やマンション、アパートの建設が大きなトレンドになって来るでしょう。
現在は不況期にあるので多くの人は、首都圏でもマンションや住宅の建設には、非常に消極的です。
しかし不況の今は、建設資材も人件費も安く、また金利も低いので、低コストで建設をする事ができます。
長期的に見れば不況の後には必ず好況が来るわけで、経済的にゆとりのある人にとっては、現在はマンション、住宅等の建設の大きなチャンスになっています。
日本国の政府は、太陽光発電などに補助金を出していませんが、東京都は今後2年間で90億円もの補助金を太陽光発電や太陽熱利用機器に支出する事になっていて、その意味でも今はこういった補助金を積極的に活用するチャンスであるといえます。