本日は、午後2時頃からチャンネル桜で行なわれた『伏魔殿 NHKを暴く!』というテレビ討論会に出席した。
参加者は以下の6名で、司会は水島総・チャンネル桜社長。
パネリスト:
大谷英彦(「NHKを正す会」代表・元NHK政治部記者)
立花孝志(元NHK職員)
永山英樹(台湾研究フォーラム会長・日本李登輝友の会理事)
西村幸祐(評論家・ジャーナリスト)
藤井厳喜(国際問題アナリスト)
柚原正敬(日本李登輝友の会事務局長・台湾研究フォーラム顧問)
司会: 水島 総(日本文化チャンネル桜 代表)
テーマ :
「伏魔殿 NHKを暴く!」
「JAPANデビュー」問題だけでなく、内部の実態等も含めて、NHKの持つ様々な問題点について、改めて検証したいと思います。
元NHK職員で、内部では経理担当であった立花孝志さんの暴露話(内部告発)が一番面白かった。
島桂二会長の頃から、NHK職員の年俸は、急激に上昇し、組合の経済上の要求は全て受け入れられるようになったという。
労使交渉といっても、それは労使が対立する場ではなく、NHKが国民から巻き上げる巨大なマネーを如何に分配するかを談合する場であったという。
立花さんによれば、BS放送などでフリーの女性アナウンサーが新たに起用される場合は、殆ど、幹部職員との異性関係を前提にしての事だったという。
こんな暴露話には、我々参加者も皆、驚いた次第である。
子会社や関連会社を使ったNHK職員の裏金作りの様子も、今回の本の取材で聞いてはいたが、スサマジイものがあるという。
NHK本体から、外注する外部の企業への支払いは、経理部でも全くノーチェックで、トラブルに巻き込まれたくない経理職員は、内容について一切、精査しない事を常識にしていたという。
一端、外部に支払われたカネを個人的にキックバックとして、とる事は、当然のことのように行なわれていたようだ。
また、芸能関係の番組制作者の外部から受け取るわいろの類も桁外れだったようだ。
視聴率の1%は約100万人に相当するそうで、ドラマや歌番組に起用される俳優や歌手からすれば、NHKに登場する事は、最高の宣伝効果を期待できる。
NHKは企業の宣伝は出来ないが、芸能人に関しては、自由に宣伝が出来た訳であり、そこで動く裏金の額も桁外れであったと聞いている。
NHKの紅白歌合戦のチーフ・プロデューサーが、4年間に1億円を知り合いの制作会社に流し、その大半をキックバックとしてせしめていたという事件が2004年に発覚した。
この横領は、極端に額が多い方だが、報道部のカラ出張などで100万円単位の横領・着服の事件は表に出たものだけでも相当な数に上っている。
大谷さんと、立花さんによる内部暴露情報が今回の討論会の見どころの1つである。
私の論点は、このNHK問題が孤立した事件ではなく、シナが日本を属国化する為に仕掛けている無制限戦争の一環であるという点である。
この事を巨視的な視点から力を入れて論じた。
パイワン族が日英博覧会の折の返礼として、台湾を訪れた英国人を歓待していたという事実に関しては、永山英樹さんがその証拠となる原著をテレビで見せながら、詳しく解説してくれた。
NHKでは、最近、トップレベルの人事異動があり、日向理事が専務理事に10月28日付で昇格している。
(写真↑↑ 日向 英実 専務理事)
この人物は、チャンネル桜に向けて、最も露骨に嘘をつき、かつ桜に対する非難の言葉を公にしてきた人物である。
日向氏の専務理事昇格は、NHKが全く反省しておらず、我々のようなNHKを正そうとする外部の批判勢力に対して、今後も極めて好戦的かつ挑戦的になってゆく事を予測させる。
裁判はまだまだこれからだが、NHKの虚妄の権威と威信が事実を通じて益々失墜していく事だけは確かである。
詳しくは明日の番組を楽しみにして頂きたい。
【放送予定:10月30日金曜日】
第1部 20:00-21:38
第2部 23:00-23:30
日本文化チャンネル桜(スカパー!217チャンネル)
インターネット放送So-TV (http://www.so-tv.jp/ )
※ ネット放送では3時間の完全版をお送りいたします。
【引き続き、映像の世界に拡散!のご協力をお願いいたします】
Mega Class Action Against NHK. Japan's Public Broadcasting Corporation, For Human Rights Violation. [Ch-SAKURA August 22, 2009]
URL:http://www.youtube.com/watch?v=KJ-Uw4ZUnmQ
More than ten thousand citizens are filing a lawsuit against NHK, on a Japanese public broadcasting corporation. This is the largest class action in Japan's court history. The reason is human rights violation due to fabrication. NHK fabricated a TV program on Taiwan. Many Taiwanese feel humiliated their human rights were violated. Quite a few Japanese who love Taiwan filed a lawsuit against NHK, and some Taiwanese have joined the class action.
Commentator is Gemki Fujii, lecturer at Japan's National Police Academy.
Please check his own web cite also at gemki fujii com.
この本の編集校正の最後の最後の詰めの段階で、細かな作業に忙殺されていた為、3日もブログを休んでしまいました。
申し訳ありません。
本日、正午までに著者としての全ての作業を完成する事が出来、今はホッとしています。
この本は、5月に構想し、9月上旬までには書きあげたのですが、ジョルダンブックスに出版を拒否された為、それ以降は、新しい出版社を探す事に奔走し、総和社さんという良きパートナーに巡り合えて、ようやくこの本の完成の最終段階を迎える事ができました。
今年は暑い夏の間、外に取材調査に出かけている以外の時間は、殆ど引き籠り状態で、睡眠不足に悩まされながら、原稿を書きすすめました。
今、ホッとはしていますが、この段階に来ても、今後、どんな妨害が待ち構えているかもしれず、本当の意味では気が抜けない毎日が続きます。
9月上旬以降以来、「発禁処分」になる前にも、出版社サイドとの様々な摩擦があり、その交渉に苦労をさせられました。
しかし、所謂、「発禁処分」が決定して以降の苦労は、これを更に倍加するものでした。
多数の取材や写真提供などでお世話になった方々には大変、ご心配とご迷惑をおかけしました。
中には、私が政治的圧力に屈して、出版を断念するのではないか?と、危惧された方々もいらしたようです。
これらの方々のご心配や憂慮にお応えする為に、多大の時間と労力を必要としました。
しかし、最終的には、ご理解を頂き、これらの方々との信頼関係を保つことが出来たのは、大変嬉しいことでした。
夏の暑い間は執筆と緊急出版に向けた制作と調査取材、三昧で毎日があっという間に過ぎてゆきました。
9月は、出版妨害対策とそれに関した交渉、厖大な関係調整、そして版権移動の為の出版社通いとそのプレゼン、説明や対応であっという間に毎日が過ぎてゆき、10月13日に総和社様でのGOサインが決定したと同時に、今度は至急、500ページものデータのチェックや、版の組み直し作業、デザイン構成の調整のし直し等々で又、徹夜近い作業生活となり・・・私にとって強烈な2009年の夏と秋になりました。
本日の入校完了まで、本当に「時間に追われる」状況下であった事、この本の制作過程において、あまりに多岐にわたる関係者(取材協力者様等)がいらっしゃり、事務局の人手も常に限界状態であった為、全員の方に、完璧な連絡、報告などが出来きれなかった部分もあったと思いますが、この場に借りて、どうかご理解、ご容赦願いたく申し上げます。
逆に、再度、原稿をチェックし直し、非常に慌ただしいスケジュールの中、(昼夜問わず、緊急で)無理をいい、更なるご協力を頂きました多数の方々にも、心より御礼申し上げます。
まぁ、書き出せばキリがない、裏話、制作秘話だけでも本が一冊書けてしまうような、色々がありすぎましたが、最も最近の制作裏話を伺わせる一例をあげると、(殆ど、グラフィックやデザインも完成している)印刷入校前日夜の「超直前」の段階でも、まだ、冷っとさせられる出来事もありました。
例えば、本書では、大量の写真が出てくるのですが、そのうち、某新聞社系のフォト・データサービス会社を通じて、既に申し込み、その写真をお借りしてデザインの版を組んでいたページの中の写真扱いについて、「公の売りもの」として公開されている報道写真を購入したのにも関わらず、急遽、「肖像権、侵害で訴えられる可能性もありますので、ご注意し、写真に写っている当人への許可をとって頂きたい」という連絡が入ったというエピソードもありました。
これまでの「出版妨害」「発禁処分」という経緯もある為、即、弁護士さんに知り合いを通じて、確認をお願いしたり、訴訟対策を前提とし、そのページをどうすべきか?という判断を至急、即座にとり、同時に、そういう事があった時には、対策用のページを考え、すかさず新たに用意する等してスタンバイしなければなりません。
ちなみに、一番最後、入校超直前時間にドタバタさせられたページというのが、NHKの福地会長の顔写真を扱ったページでした。
慎重に慎重な対策を考え、即、つくって対応したページが以下、コレ。
そしてページをまたまた差し替え、さて入校…と思いきや、またその直前で、電話がかかる。
結局、本文は、写真を扱って大丈夫という確認がとれ、寧ろフォトサービス会社から「どうぞ、肖像権は大丈夫になりましたので、お使いください」という連絡が入ったので、出版社さんとも相談した上、通常の従来通りのページに、また差し替えると言う事になりました。
上記、肖像権対策用でつくったページは、まさに『幻のページ』となったわけですが…。
要はこのような、至急・緊急の対策や、現場のその度の差し替え対策用のデータ作成を即座につくっていただいたり、また差し替え、戻したり…などという事を、最後の最後のギリギリまで、発売日を送らせないで済むよう、まさに「時間」と闘いながら、大急ぎで奮闘してゆくという緊迫感ある環境下の入校作業でした。
その為、常に予期せぬハプニングが起こっても、即座に、応じられるよう常にスタンバイし厳戒態勢でいました。
そのような訳で、ホッとしつつも緊張が続いています。
11月7日には、台湾フォーラムでお話をさせて頂く予定になっています。
また、その日は、この本の『先行発売会』の機会にもなっています。
2100円(税込)・総和社/刊 【11月13日全国書店発売予定】
四六版/496ページ
=≪お知らせ・(台湾研究フォーラム講演会&『NHK捏造事件と無制限戦争の時代』先行発売会≫=
11月、12月と続けて、台湾のもつグローバルな重要性を指摘する講演会、及びシンポジウムが続きます。
11月7日は、台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)の第128回定例会で、以下のテーマで講演させて頂きます。
演題: 無制限戦争時代における台湾の地位 ― グローバル地政学から見た台湾独立
日時: 11月7日 (土) 午後6時ー8時
場所: 文京区民センター2-A
電話:03(3814)6731
住所: 東京都文京区本郷4-15-14
※文京シビックのはす向かい
都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
JR「水道橋駅」徒歩10分
参加費: 会員500円、一般1,000円
懇親会: 閉会後、会場付近にて。(会費3,500円、学生1,000円)
申込み: 11月6日までに下記へ。
E-mail:taiwan_kenkyu_forum@yahoo.co.jp
FAX: 03-3868-2101
尚、この日のこの会場にて、最新刊『NHK捏造事件と無制限戦争の時代』先行発売会が行われます。
多くの方々に、この会場でお逢いできます事を楽しみにしております。
※ 無制限戦争については以下、動画をご参考下さい。
(※毎回、「厳喜に訊け!」放映日には、ブログで補足版をUPさせて頂く事にしている。)
【今週のニュース Pick UP】日米同盟の危機、どうする友愛外交?[桜H21/10/24]
↑↑↑ アメリカのゲーツ国防長官が来日し、普天間飛行場の移設問題に関して極めて強いメッセージを発したが、それを受け止める鳩山政権の危機意識は非常に低いようである。
政権交代で早くも露呈した鳩山政権の安全保障センスと、安全保障環境の危機的状況について論評していきます。
【厳喜に訊け!】ダメ!東アジア共同体(共通通貨)[桜H21/10/24]
↑↑↑ これまでにも批判してきた「東アジア共同体」構想であるが、その中でも共通通貨の導入 がいかに日本とアジア諸国にとって害悪となるかを申し上げます。
10月24日土曜日放映の、チャンネル桜のTVコラム『厳喜に訊け!』では、経済学的に見て、「東アジア共同体」構想と「東アジア共通通貨」の導入が如何にナンセンスであり、危険なものであるか、について、簡単に指摘させてもらった。
これは、ブログ上では、既に「2009,10,22」号、「2009,10,19 」号と、2回に渡って、述べた事である。
参考: 2009,10,22 東アジア共通通貨は不可能である!― 補足:ハンディ・キャップとしての為替レート
2009,10,19 東アジア共通通貨は不可能である!― 丹羽春喜先生に学ぶ
では、何故、シナ共産党政権は、「東アジア共同体」を推進するのかと言えば、それがシナの侵略を合理化する隠れ蓑で有る事は勿論だが、「東アジア共同体」が、シナ人が古来、望むところの「華夷秩序」の現在における再現でもあるからである。
簡単にいうならば、「東アジア共同体」はシナ人にとっては拡大された現在版の「華夷(かい)秩序」なのである。
「華夷秩序」とは何か。
「華」とは勿論、「中華の華」であり、シナの事である。
中華思想は、シナこそが世界の中心であり、かつ、唯一文明化されたところである、と教えている。
この「中華」を囲むのが、東西南北の野蛮人である。
この野蛮人を「夷(エビス)」と称する。
東西南北の夷をそれぞれ、「東夷・西戒・南蛮・北狄(とうい・せいじゅう・なんばん・ほくてき」と称する。
この四方の蛮族が中華の朝廷に朝貢し、冊封を受ける事によって、華夷秩序は成立する。
「華夷秩序」こそ、シナ人にとっては、唯一の正しい国際関係の有り方なのである。
大国化したシナ共産党政権は、現代において、この「華夷秩序の拡大版」を実現しようと言う野心に燃えている。
「東アジア諸国よ、我が中華帝国の属国となれ!」と号令を発したところで、誰も喜んでシナの属国になる国はいない。
そこで、彼らが考えだした時代錯誤の古知恵に与えられた新しい名称が、「東アジア共同体」なのである。
そこには、東アジア諸国民の繁栄と平和を保障するものは何も含まれていない。
「東アジア共同体」とは、何の根拠もない、中華思想に基づく征服と侵略の現実化以外の何ものでもないのである。
「東アジア共同体」とは、東アジアの全ての国家が今日のチベットや、ウイグルや、南モンゴルの立場に置かれる事を意味する。
それ以外の何ものでもないのである。
いよいよ、拙著『NHK捏造事件と無制限戦争の時代』が、11月に発売される。(11月13日発売予定)
東アジア共同体が何ものであるか、についてはこの本の中で、特に特別企画章(別章)である『アジア無制限戦争、最前線!!』で、これ以上は無いほど詳細に述べておいた。
この章を読んでもらえれば、台湾、チベット、ウイグルの歴史と現状についての最もよい入門書にもなっている、と思う。
各国についての詳細な、概論や年表も掲げておいた。
予備知識なしで、東アジア情勢におけるの最新の無制限戦争の状況が、分かる仕組みになっている。
【藤井厳喜】新刊「NHK捏造事件と無制限戦争の時代」無事!発売決定のお知らせ![桜H21/10/24]
ジョルダンブックスから拒否され発禁処分扱いを受けていた藤井厳喜の新刊「NHK捏造事件と無制限戦争の時代」ですが 、ようやく新しい出版元が決まり皆様にお目にかけることができようになりました。そのご報告、ご案内をするとともに、この本が先行発売される講演会についてもお知らせします。
是非、読んで欲しい。
======【お知らせ・(先行発売会・情報も含む)】=================
11月、12月と続けて、台湾のもつグローバルな重要性を指摘する講演会、及びシンポジウムが続きます。
11月7日は、台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)の第128回定例会で、以下のテーマで講演させて頂きます。
演題: 無制限戦争時代における台湾の地位 ― グローバル地政学から見た台湾独立
日時: 11月7日 (土) 午後6時?8時
場所: 文京区民センター2-A
電話:03(3814)6731
住所: 東京都文京区本郷4-15-14
※文京シビックのはす向かい
都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
JR「水道橋駅」徒歩10分
参加費: 会員500円、一般1,000円
懇親会: 閉会後、会場付近にて。(会費3,500円、学生1,000円)
申込み: 11月6日までに下記へ。
E-mail:taiwan_kenkyu_forum@yahoo.co.jp
FAX: 03-3868-2101
尚、この日のこの会場にて、最新刊『NHK捏造事件と無制限戦争の時代』先行発売会が行われます。
続いて、約1カ月後の12月には、CFG主催シンポジウム第2回目として、以下のテーマで、特別ゲストに台湾の現実を最もよく知る二人の専門家をお招きして、前回と同様、ジャーナリストの山村明義さんと私が司会進行役となり、以下のテーマで勉強会を開催します。
演題: 『アジアの無制限戦争2.0 情報戦争最前線』 ― クリティカル・パス(Critical Path)としての台湾
日時: 12月6日 午後1時頃から6時頃迄を予定。
場所: 都内某所にて(決定次第、発表予定)
共同主催者 : 山村明義氏 (ジャーナリスト)
メイン・ゲスト: 林建良氏 (『台湾の声』編集長・日本李登輝友の会常務理事・台湾団結連盟日本代表)
永山英樹氏 (台湾研究フォーラム会長・日本李登輝友の会理事)
台湾は単に、東アジアの運命を左右する重要な地位を占めているのみならず、恐らく今後、100年単位の世界の未来を決定する重要な地政学的な位置にあります。この事を台湾問題の最高の専門家である、林建良さんと永山英樹さんをメイン・ゲストにして、あらゆる視点から徹底的に時間の制約を離れて、講究してみたいと思います。
台湾独立支持派のサプライズ・ゲストも予定しています。
此方は、詳細が決まり次第、改めてお知らせ致します。
また、既に先日紹介した、現在発売中の激論ムック最新号『迷走日本の行方――内閣支持率70%?!死に至る日本の病と新政権(OAK MOOK 308 撃論ムック)
』も参照して頂きたい。
東アジア共同体については、私がP35から『米中共同接近と東アジア共同体という幻想』という論文を寄稿している。
※ これからも『厳喜に訊け!』放映日には、ブログでも連動し、フォローアップする内容をUPさせて頂く予定である。非常に限られた、約5分という時間の中で言いきれなかった事、より詳しい事等の解説をしていく試みである。今後も合わせてみて頂きたい。
10月18日の丹羽春喜先生の、講演内容で言い忘れた部分があるので今日はそれを補足しておきたい。
当日の講義で、丹羽先生が指摘されたポイントの1つは、為替レートが、低開発国にとって経済上のハンディ・キャップとして必要であるという点であった。
共通通貨にしてしまうと、発展を目指す低開発国がこのハンディ・キャップを巧く使えなくなるので、共通通貨は低開発国にとって著しく不利なものである。
これは簡単なことで、発展途上国が輸出を伸ばそうとする時に、自国通貨の為替レートを低めに設定して、輸出進行に成功するという事がよくある。
この安めの為替レートが、経済体質の弱い発展途上国にとっては、経済競争上の一種のハンディ・キャップとなって経済を助けているのである。
完全なフロート制ならば、貿易赤字国の通貨は、自然に弱くなるから、このハンディ・キャップをうまく利用して、貿易赤字を解消する事が自動的に出来るように為替レートが自動的な調節機能をもってくれている訳である。
逆に、人為的な理由によって高すぎる為替レートを押し付けられてしまった国では、産業が壊滅的な打撃を受ける事がある。
最もよい例が、東西ドイツ統一後の東ドイツ経済である。
東西ドイツがそれぞれ独立している時、公式レートでは、1西ドイツ・マルクは、1東ドイツ・マルクであった。
しかし、実力では、東ドイツ・マルクは西ドイツ・マルクの数分の一くらいの価値しかなかった、と言われている。
東西ドイツ統一のチャンスが急速に訪れた時、時の西ドイツのコール首相は、東ドイツ国民の要求を入れて、1西ドイツマルク=1東ドイツマルクという公式レートを維持したまま、統一を完了した。
短期的にはこれは東ドイツ国民に大いに歓迎された措置であった。
しかし、長期的にはこの過大に評価された東ドイツマルクが、東ドイツ経済に壊滅的な打撃を与える事となった。
要するに、東ドイツで生産される製品は、競争力が無いにもかかわらず、その表面上の価格は本来の数倍にも評価されてしまったのである。
競争力がないので、農業を含む、あらゆる産業が停滞してしまったそうである。
もし、政治的には東西ドイツを統合しても、東西ドイツ間に実力に見合った為替レートを設定していれば、東ドイツの産業は、壊滅的な打撃を受けずに済んだはずである。
多くの低開発国にとって、このように、為替レートは自国の低い競争力を補うハンディ・キャップの意味を持っている。
正確にいえば、為替レートの高い先進国が、ハンディ・キャップを負い、為替レートの低さは事実上、低開発国への輸出補助金のような役割を果たしている訳である。
東アジア共通通貨の導入は、このような低開発国へのハンディ・キャップ効果を全て奪ってしまう事になる。
例えば、インドネシアのような国の軽工業は、シナの人民元に対するより安い為替レートを設定しなければ、シナの軽工業に全滅させられてしまうであろう。
各国が、自国産業の防衛をし、経済をマネージメントする為に、各国が独自の通貨をもつという事は極めて重要である。
低開発国に限らず、先進国においても、自国経済を防衛する為に為替レートは極めて重要な政策手段である。
この政策手段を放棄するとは、国家が国民生活を守るための主権の一部を放棄するに等しい。
ヨーロッパのように、生活レベルや産業発展のレベルが極めて近くなってきた場合においては、通貨統合はその他のメリットを考えれば、合理的な判断となるかもしれない。
しかし、そのヨーロッパですら、共通通貨の導入と共通金融政策の実施は地域ごとにかなりのひずみを生んでいる。
東アジアのように、経済発展レベルが大きく異なる地域において、共通通貨を導入するということは、百害あって一利なき愚かな政策である。
======【お知らせ】=================
11月、12月と続けて、台湾のもつグローバルな重要性を指摘する講演会、及びシンポジウムが続きます。
11月7日は、台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)の第128回定例会で、以下のテーマで講演させて頂きます。
演題: 無制限戦争時代における台湾の地位 ― グローバル地政学から見た台湾独立
日時: 11月7日 (土) 午後6時?8時
場所: 文京区民センター2-A
電話:03(3814)6731
住所: 東京都文京区本郷4-15-14
※文京シビックのはす向かい
都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
JR「水道橋駅」徒歩10分
参加費: 会員500円、一般1,000円
懇親会: 閉会後、会場付近にて。(会費3,500円、学生1,000円)
申込み: 11月6日までに下記へ。
E-mail:taiwan_kenkyu_forum@yahoo.co.jp
FAX: 03-3868-2101
尚、この日のこの会場にて、最新刊『NHK捏造事件と無制限戦争の時代』先行発売会が行われます。
続いて、約1カ月後の12月には、CFG主催シンポジウム第2回目として、以下のテーマで、特別ゲストに台湾の現実を最もよく知る二人の専門家をお招きして、前回と同様、ジャーナリストの山村明義さんと私が司会進行役となり、以下のテーマで勉強会を開催します。
演題: 『アジアの無制限戦争2.0 情報戦争最前線』 ― クリティカル・パス(Critical Path)としての台湾
日時: 12月6日 午後1時頃から6時頃迄を予定。
場所: 都内某所にて(決定次第、発表予定)
共同主催者 : 山村明義氏 (ジャーナリスト)
メイン・ゲスト: 林建良氏 (『台湾の声』編集長・日本李登輝友の会常務理事・台湾団結連盟日本代表)
永山英樹氏 (台湾研究フォーラム会長・日本李登輝友の会理事)
台湾は単に、東アジアの運命を左右する重要な地位を占めているのみならず、恐らく今後、100年単位の世界の未来を決定する重要な地政学的な位置にあります。この事を台湾問題の最高の専門家である、林建良さんと永山英樹さんをメイン・ゲストにして、あらゆる視点から徹底的に時間の制約を離れて、講究してみたいと思います。
台湾独立支持派のサプライズ・ゲストも予定しています。
此方は、詳細が決まり次第、改めてお知らせ致します。
特集『東アジア共同体は亡国への道』大シナ帝国成立を阻止せよ
【サマリー】
1.東アジア共通通貨の実現は不可能である。
2.無理に実現すれば、東アジア各国のマクロ経済政策の実施を不可能にし、国益に反する事になる。
3.東アジア共通通貨を発行する東アジア中央銀行を牛耳るのはシナ共産党になるであろう。
4.この場合、東アジア共通通貨は自動的に人民元となる。
5.つまり、東アジア共通通貨は、シナ共産党が東アジア全体を経済的に支配する1つの道具に過ぎない。
6.日本のみならず、自由民主のアジア諸国は、東アジア共同体と東アジア共通通貨に全力で反対すべきである。
10月18日、丹羽春喜先生の丹羽塾に久しぶりに参加させて頂いた。
場所は、新宿区の四谷区民センター、午後5時半から7時半。
テーマは、「鳩山プラン『東アジア共通通貨』の危険性」であった。
丹羽春喜先生は、現代日本における正統派ケインズ主義エコノミストの第一人者である。
10年以上前から、「政府発行通過」による抜本的な不況解決策について一貫して提言を続けられてきた。
私が学問的にも人格的にも最も尊敬する経済学者である。
先生の説は「ドンと来い!大恐慌 (ジョルダンブックス)」をはじめとする私の著作でも繰り返し紹介させて頂いている。
丹羽春喜先生 公式WEBサイト: 「新正統派ケインズ主義宣言」http://www.niwa-haruki.com/
公式ブログ: 「丹羽春喜の経済論」http://niwaharuki.exblog.jp/
久しぶりでお逢いした丹羽先生は、ご高齢ながら写真のように大変、お元気そうで安心した。
当日の講演も論旨明快で、かつ歯切れも良く、極めて分かりやすいものであった。
参加者は予定されたより多かったらしく、テーブルにつけない者も数名、いたようである。
講演の要旨は、「東アジア共同体」に付随して、鳩山首相などが主張する「東アジア共通通貨」が、如何にナンセンスなものであり、それを現実の条件を無視して強制的に実行すれば、日本のみならず各国の経済の実態を著しく傷つけるであろう、という内容であった。
私流に当日の丹羽先生のお話を簡単にまとめさせて頂ければ、以下のようになる。
第一に、「東アジア共通通貨」を発行する以上、単一の「東アジア中央銀行」が設立され、これが統一した金融政策を決める事になる。
ところが、東アジアといっても、経済状況は極端に異なるから、東アジア中央銀行が打ち出す共通の政策金利が例えば、デフレ下の我が国日本においては、高すぎる利子率となり、我が国の経済が不況から脱却する事を不可能にする一方、逆に例えば、タイやフィリピンの経済にとっては、その利子率が低すぎて、それらの国々がインフレを抑制する事が全く出来なくなるといった矛盾が、随所に生じてしまう。
これは、既にヨーロッパで生じている矛盾であり、これはユーロという単一の通過を導入した以上、ヨーロッパにとっては避けることのできない遺伝性の病気のようなものである。
ユーロを共通通貨とするヨーロッパ各国の経済事情はそれでも均質的なものであり、アジア各国の経済事情とは比較にならないほど起伏に富み、多様なものである。
単一の中央銀行による、単一の政策金利が各国が独自に金融政策を実行し、各国の経済を調整する事を不可能にしてしまうのである。
第二に恐らくはこの「東アジア中央銀行」が設立されるのは、日本の東京ではなく、シナの北京か上海であろう。
1998年以来、東アジア共同体構想を最も積極的に推し進めて来たのは、シナ共産党政権である。
東アジア中央銀行が、何処に設立されるにせよ、その銀行内で最も強力な政治的発言権を獲得するのがシナである事は目に見えている。
結局、13億の人口を誇り、地域内唯一の核保有国であるシナ共産党独裁政権が、東アジア中央銀行を牛耳る事になるのは火を見るよりも明らかである。
実際、今日、マニラに本部を置くアジア開発銀行(ADB)においては、日本が最大の出資者であるにも関わらず、その政策の主導権はシナに握られてしまっている。
日本からADBに出向する財務省官僚の多くが、事実上のチャイナ・スクールであり、シナに操縦される類の人間ばかりだからである。
(チャイナ・スクールは、外務省のみならず、日本の各省庁内でも蔓延している。
※「チャイナ・スクール」とはこの場合は、主体性なき親中派・媚中派の総称である。)
要は「東アジア共通通貨」を導入すれば、それがシナの人民元になることは目に見えている。
シナ政府は既に、2025年までに人民元を世界の準備通貨の一つとする政策目標を発表している。
つまり、「東アジア共通通貨」とは「人民元」の事であり、「東アジア中央銀行」なるものが誕生するとすれば、それはシナ共産党独裁政権が、アジアを通貨的に支配するその道具となる組織にすぎない。
それではこのような共通通貨と共通した金融政策を前提に、各国政府が独自の財政政策(予算)によって各国の経済をうまくマネージメントする事が出来るだろうか?
これも当然、不可能である。
「東アジア中央銀行」の統制下においては、各国固有の通過の発行権がはく奪され、結局、日本をはじめ加盟各国は、金融政策・貨幣政策をそれぞれ独自に実施する事が不可能になってしまう。
それゆえ、国債発行に依存する財政政策を独自に行なう事も不可能になってしまう訳である。
要するに、東アジア共通通貨が導入されれば、加盟国それぞれによる、固有通貨の発行権という「主権国家の基本権」が剥奪されてしまう。
そうすれば、加盟各国はそれぞれの財政政策や金融政策を実施できなくなり、それによって国民をインフレやデフレの被害から守る事も出来なくなってしまう。
また、財政政策・金融政策を欠いたマクロ経済政策は有り得ないのであるから、共通通貨の導入とは、加盟各国がマクロ経済政策の策定によって、国力を増進する能力を全て放棄する事を意味する。
例えシナ共産党の独裁的決定によってアジア中央銀行の政策が決定されないにしても(それは極めて有り得ない事であるが)、共通通貨による共通通貨政策のもとで、各国が自国の国益に沿ったマクロ経済政策を取れなくなる事は確実である。
言い換えれば、結局のところ、加盟各国は真の主権国家ではなくなるのである。
つまり、国家が国民の利益を守る事を放棄してしまう事になる。
以上のように、考えれば、純粋に経済学的な観点から見ても、アジア共通通貨は全くナンセンスであり、かつ不可能であることが容易に理解できる。
もし、このような条件を無視して東アジア共通通貨が導入されるならば、それはシナ共産党の経済権力の独占が東アジア全体を覆い尽くすということに他ならない。
文明論的、歴史的、政治学的に東アジア共同体構想が如何にナンセンスであり、不可能であり、日本は勿論、東アジアの自由諸国の国益に反したものであるか、については、私自身のブログで十分に論じて来た。
丹羽先生から、御教示頂いたのは、純粋に経済学的な観点から見ても、東アジア共同体が全くナンセンスであり、不可能であり、もし実現されればそれがシナの独裁的権力の伸長・拡大に過ぎないという事である。
振り返ってみると、それでは何故、ヨーロッパではユーロの実現が可能になったのか、という疑問が湧いてくる。
丹羽先生はこの事には言及されなかったが、私は以下のように理解している。
そもそもヨーロッパのエリート層の中には、第二次大戦以前から、「汎ヨーロッパ運動」というものがあり、特に東西冷戦後においては、ヨーロッパを世界の政治経済の中心として再復興させようという努力が顕著であった。
ヨーロッパがもしユーロという共通通貨を導入せず、共同市場を創らなかったならば、アメリカ・ドルの通貨覇権に各個撃破されていたかもしれない。
つまり、ドルは弱体化しながらも、二カ国通貨の対比においては、例えば、米ドル対英ポンド、米ドル対イタリア・リラの対比においては、常に強い通貨であったからである。
ヨーロッパはユーロを導入する以前に、既にEMS(ヨーロッパ通貨制度)というシステムを導入していた。
これは、西ドイツのマルク(世界で最も安定した通貨)を中心に各国通貨の変動幅を一定以内に収めようという制度的な努力である。
つまりEMSは西ドイツ・マルク本位制と言っても良い通貨制度であった。
加盟各国はドイツ・マルクを基準として、自国の通貨の強弱度を調整する事を約束していたのである。
これは、時には破綻もしたが、各国はおおむねこの制度を遵守し、発展させてきた。
この西ドイツ・マルク本位制を元に成立したのが、ヨーロッパ共通通貨ユーロなのである。
ユーロが導入された当時、私は「ユーロはマルクの別称である」と日本人に説明していた。
ユーロが8割型マルクの別名であった事は確かである。
このような長年の努力の末にユーロはようやく導入されたのである。
それでも今日なお、フランクフルトにあるヨーロッパ中央銀行(ECB)の金融政策の策定は各国の利害が衝突して容易ではない。
ヨーロッパ各国が、これらの努力にもめげず、共同市場を設立し、共通通貨を創った背後には、非常に強いヨーロッパ・ナショナリズムの心情がある。
経済的にもより大きな共同市場を創る事が、ヨーロッパ経済全体がグローバル経済の中で生き延びる最も合理的な選択であるという戦略論がそこには明確に意識されていた。
つまり、巨大なアメリカ以上の共同市場を創り、そこにおいて、共通通貨を導入する事により、ヨーロッパが再び世界の経済的中心になろうという野心と確信が存在しているのである。
庶民はいざ知らず、ヨーロッパ・エリートはこのような野心と確信の下に、共同市場の設立と共通通貨の導入を進めて来たのであった。
つまり単純に言えば、ディメリットよりも、メリットの方が大きいと判断したからこそ、このような幾多の困難を乗り越えて、ユーロの実現となったのである。
かつて私が対談したMITのレスター・サロー教授は以下のように主張していた。
「単一で最大の市場が、世界経済の中心となる事は、経済の鉄則である。」
この鉄則が、正しいとするならば、ヨーロッパは、アメリカを中心とする北米統一市場(メキシコ・カナダを含む)に対抗すべく、EUを設立したという事になる。
最もEU創立の背後にあるのは、単なる経済学的な思惟よりも、それを上回る文明論的なヨーロッパ・エリートの思想が存在したであろう。
それはともかく、EUとユーロの誕生は、経済学的に見ても、ヨーロッパ経済発展の為の合理的判断であった、とも考えられるであろう。
少なくとも統合を推進して来たヨーロッパのエリートの思考はそのようなものであった。
しかしイギリスはあくまで、自国通貨ポンドを堅持して、ユーロの導入を拒否している。
これは、共通通貨の導入が、究極的には主権国家の放棄に繋がるという警戒感からである。
繰り返しになるが、ヨーロッパのような文明論的・政治的・経済的均質性のない東アジアにおいて、東アジア共同体を設立し、東アジア共通通貨を導入する事は、日本の国益に最も相反する暴挙に他ならない。