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《米大統領選:ロン・ポール候補の挑戦》
藤井厳喜(政治学者) 2012年1月19日出演1本目
先週に引き続いて、アメリカ大統領選挙で旋風を巻き起こしているロン・ポール共和党下院議員について解説したいと思います。
ロン・ポール候補の基本は「小さな政府」ですが、この「小さな政府」という主張は、アメリカ憲法から発しています。
そもそも、ロン・ポール議員は、リバタリアンと呼ばれる人々の1人ですが、そのリバタリアンの主張は、合衆国憲法に忠実な政治を行なうというところにあります。
その文脈から、議会の重視と州権限の尊重という主張が生まれてきます。
現代では、大統領権限が議会に対して大きくなりすぎているというのが、リバタリアンの批判です。
元来、連邦議会には、宣戦布告する権限や、通商法案を含む国際条約を批准する権限が与えられています。
ところが、ベトナム戦争以来の対外戦争において、これらの議会の権限は、無視されることが多かったのです。
議会の議決を経ないで、アメリカが戦争行動を行なう事に対して、ロン・ポール議員は強硬に反対しています。
又、自由貿易協定についても、議会が本来の機能を果たさずに、大統領府に過剰な権限を付与していることを批判しています。
また「連邦政府に対する州権限も、尊重せよ」というのがリバタリアンの主張です。
例えば、人工妊娠中絶についても、現在は連邦最高裁がこれを合憲・合法であると判断しています。
ところが、ロン・ポール議員によれば、そもそも連邦最高裁には、このような事に関して判断を下す権限が与えられていないのです。
ですから、ポール議員は、妊娠中絶には反対ですが、彼が主張しているのは連邦最高裁に違憲判決を出させることではなく、州レベルで中絶を非合法化することなのです。
マリファナの自由化などについても、ロン・ポール議員はこれを支持していますが、州に判断の権限をゆだねるべきである、というのが彼の主張でもあります。
ポール議員の非常に特色ある経済政策について、若干述べましょう。
彼は、現在のFRB(連邦準備制度理事会)の廃止を主張しています。
そしてFRBが行なっている管理通貨制度そのものを廃止して、金本位制に戻るべきであると主張しています。
中央銀行が、大銀行家と結託して、デモクラシーの大きな妨げになるのではないか、という危惧は、アメリカ合衆国が誕生した時から存在しました。
初代国務長官で、第三代大統領になったトマス・ジェファーソンは、当時の中央銀行である第一合衆国銀行の創設に反対しました。
彼は、フランス滞在が長かったのですが、ヨーロッパにおいて、銀行家たちが強大な経済権力をふるう現実を見て、それに対する警戒感を強めていたのでした。
また、第7代のアンドリュー・ジャクソン大統領も、中央銀行とつるんだ大銀行家たちの権力に強い警戒感を抱いていました。
第一合衆国銀行は、時限立法によって設立されていたため、一度、廃止されることが決定していました。
アンドリュー・ジャクソン大統領の時に、第二合衆国銀行を創設すべきであるという法案が出されましたが、ジャクソン大統領はこれを大統領権限で葬り去っています。
この後、1913年までアメリカには中央銀行というものが存在しなかったのです。
通貨上、若干の混乱は見られましたが、この間もアメリカ経済は順調に拡大・成長してゆきました。
大銀行家たちが、度重なる金融恐慌の再来を防ぐ為に、「最後の貸し手」として作ったのが、FRBでした。
このFRBが現代では、金本位制からも解放されて、自由に通貨を管理しているというのがアメリカの現実です。
ポール議員に言わせれば、金本位制でない通貨は、贋金であるということになります。
金本位性を復活させて、健全な通貨(サウンド・マネー)を復活させることが、健全な経済を復活させる第一歩であるとポール議員は訴えています。
ちなみに、金本位制を廃止したのは、ニクソン大統領で、1971年のことでした。
当時、医師であったロン・ポール氏は、この金本位制離脱のニュースに大きな衝撃を受け、これが彼が政界に入る大きなキッカケであったと本人は語っています。
現在、チャイナの経済バブルは間違いなく崩壊しつつあります。
その理由とプロセスについて基本的なことを解説したいと思います。
YouTube : http://youtu.be/nTcvuUEsqlE
ニコニコ : http://www.nicovideo.jp/watch/sm16738136
元々、チャイナ経済をけん引してきたのは、2つの成長のエンジンでした。
第一は、先進国への輸出であり、第二は国内の建設不動産投資です。
2008年のリーマンショック以降、先進国への輸出は著しく落ち込みました。
これで、2つのエンジンのうちの1つが、止まってしまったわけです。
そこで、リーマンショック直後に、共産党政権は4兆元(約57兆円)の巨大な不況対策資金を国内でばら撒きました。
この内、半分以上が、株式投機と不動産投機に向かいました。
2つのエンジンの1つである輸出がつぶれてしまった為に、もう1つのエンジンである不動産・建設(固定資本)投資のエンジンを、フルにふかそうとしたわけです。
これは、ある意味で、功を奏して、チャイナ経済は、大きく失速せずに、ある程度の成長率を維持することが出来ました。
ところが、需要以上の過剰な固定資本投資が行なわれた為に、不動産が著しく投機化し、バブル経済を生み出しました。
その結果、テナントが殆ど入っていない巨大なショッピングセンターや、入居者が1人もいない高層マンションがチャイナ中に林立する状態となりました。
又、一方で、バブル経済は必然的にインフレを生み出しました。
インフレによって生活が苦しくなった庶民は、チャイナ各地で抗議活動を行ない、この抗議が大衆暴動という結果となって表れています。
共産党政権は、インフレを抑止しようと一昨年来、引き続き、金融引き締め策を取ってきました。
金融引き締め策をとれば、物価上昇率は下がりますが、同時に不動産バブルの崩壊を早めてしまいます。
不動産バブルが崩壊すれば、チャイナ経済を引っ張ってきた唯一のエンジンがストップしてしまうことになります。
つまり、大不況と大失業の時代が到来します。
かといって、インフレを終息させなければ、各地で勃発する大衆暴動を防ぐことは出来ません。
今や、チャイナ経済は、進むに進めず、引くに引けない苦境に立っているのです。
つまり、どちらに転がるにしろ、現在まで膨らみに膨らんできた不動産建設投資を中心とするチャイナ・バブルが崩壊するのを、防ぐことはできません。
こういった状況を見据えて、欧米の対チャイナ投資は大幅に減少しています。
ところが、日本の経営者にだけは、この現実が見えないためか、日本のみが今、対チャイナ投資を増やしているのです。
共産党政権は、微笑外交で日本に誘いをかけ、日本経済から資本と技術をこのピンチの時に、出来るだけ多く、搾取・吸収しようとしています。
この現実に、日本の財界が気が付かないのが悲しいところです。
チャイナには、外国企業を自由に収奪する法的な枠組みが既に完成されています。
その中心になるのが、次の3つの法律です。
(1) 中国労働契約法 : 2008年1月1日施行
(2) 中国民事訴訟法231条 : 2008年4月1日施行
(3) 中国国防動員法(国家総動員法) : 2010年7月1日施行
これらの3つの法律を使えば、日本企業をいくらでも合法的に収奪することが可能です。
最終的には、企業そのものを国家が接収することも可能なのです。
残念なことですが、今後、チャイナ経済のバブルが崩壊し、不況が深まるにつれて、共産党政権による日本企業の接収や略奪が益々激しくなることでしょう。
← お知らせ: 『月刊日本(公式TOPにリンク)』10月号で、特別企画で竹田先生と脱原発対談を行わせて頂きました。又、『月刊 日本 2011年 11月号』より、アメリカ大統領選ウォッチングについて、連載を開始する事になり、最新号『月刊 日本 2011年 12月号 [雑誌]』のTPP反対特集号では、ISD条項の危険性について詳細に解説しました。是非、ご参考ください。(私のパブリシティ・ページで寄稿記事の一部が読めます)
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【藤井厳喜アカデミー関係動画・復習用の動画再生リストが出来ました】
■再生リスト【第1弾・藤井厳喜アカデミー国民の為の政治学講座・全篇】
http://www.youtube.com/watch?v?=zn5eCTbgHxc&list=PL72D9C8776C?E15846 ← 2010年2月1日開校のガイダンスから全12回講義、補講まで全講座をまとめました。
■再生リスト2 【第2弾・藤井厳喜アカデミー 経済篇(随時更新)】
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