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「ユーロは紙屑にならない!ユーロ崩壊の意味」「米大統領選・予備選:ロン・ポールが急上昇」AJER動画2本付

投稿日:2012,01,12

■お知らせ: 1月15日(日)、小平市中央公民館にて、藤井厳喜の講演会が開催されます。
演題 「国際秩序は群雄割拠の時代へ ― アメリカ大統領選挙、TPP、そして没落する日本
本日ブログの最後に紹介してありますので、是非、ご参加ください。

英語でTPPの危険性を発信しました。是非、英語圏の方々(特にアメリカの一般国民)にこの声が届くよう…、拡散に御力添えください♪》 
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ユーロは紙屑にならない!ユーロ崩壊の意味【藤井厳喜】(1)AJER

 YouTube : http://youtu.be/H7r6NWr7i5s
ニコニコ : http://www.nicovideo.jp/watch/sm16677536

ヨーロッパ在住の日本人の方々から、同じような質問をいくつか頂きましたので、この番組の場をお借りして、お答えしたいと思います。

それは所謂「ユーロ崩壊」についてです。
例えば、こういった質問を頂きました。
「ユーロ崩壊によって、通貨ユーロは、全く価値のない紙屑になってしまうのでしょうか?そうだとしたら、一体どうしたらよいのでしょうか?」というようなご質問です。

確実に言える事は、どんな事が起きても、ユーロが紙屑になることは有り得ません。

先ず、ユーロの崩壊という場合、それは現在のユーロ使用国17か国の中から、落ちこぼれが出るという事です。
つまり、ユーロの使用をやめ、独自通貨に戻る国が現れるという事です。

例えば、ギリシャが旧通貨ドラクマの使用に戻るというようなことです。
ユーロ使用国に留まろうと思えば、非常に厳しい財政規律を確立しなければなりません。
今まで、毎年の予算の赤字幅はGDP(一国の年間総生産)の3%以内に収めなければなりませんでした。
それが今後は、GDPの0.5%以内にしなければなりません。
こういった厳しい財政規律についてゆけないと思った場合、ギリシャやポルトガルのような国が、ユーロ圏を離脱し、独自の通貨の使用に戻るかもしれません。
ユーロを使用し続けるためには、財政再建をしなければならないのですが、それが厳しすぎるとなれば、ユーロ圏を離れて、独自の通貨を復活させるかもしれません。
これが「ユーロの崩壊」という言葉の正確な意味です。

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「ユーロの崩壊」というのは紙屑になる事ではありません。
財政規律の確立は何故、行なうのかと言えば、それはユーロの価値を保つためです。
財政規律を実現すれば、当面景気は悪くなりますが、ユーロという通貨の価値は、市場の信頼を得て、寧ろ強くなります。
ですから、ユーロが紙屑になるということは有り得ないわけです。
財政再建は、世の中に出回るお金の量を減らします。これを「デフレ」と言います。
デフレはインフレの逆です。通貨の流通量は少なくなるので、通貨の価値が上がります。
別の言い方をすれば物価が下がります。

つまり、同じ「1ユーロ」でも、より多くの買い物ができるようになります。
言い換えれば、ユーロの価値が高まるという事です。

ですから、財政再建を実行すれば、景気は悪くなりますが、ユーロの価値は高まる事になります。
今、ヨーロッパはそういう方向に動いています。
もし、ギリシャがドラクマという旧通貨に戻ったとします。
そうすると、ドラクマはユーとに対して、非常に弱い通貨になります。
恐らく、ギリシャ国内では、インフレ率が高くなり、物価が急上昇します。
そうすると、ドラクマの購買力はドンドン下がっていきます。
この場合でも、ユーロはドラクマに対して、強い立場にありますから、ユーロで資産を保全していれば安全です。
ですから、財政破綻を心配されるギリシャやスペインの国民は、ドイツなどの経済の安定した国の銀行口座にユーロを預けています。
そうすれば、自国に持っている銀行口座を閉鎖されて、ユーロが使えなくなっても安心です。
もし、ギリシャがドラクマに戻る場合は、一時的に銀行を封鎖します。
そして、もう一度、銀行を開くときには、ユーロ建ての預金を一定の為替レートでドラクマに替えて、国民はドラクマでしか預金を引き出せないことになります。
そして、そのドラクマは、国内のインフレにより、ドンドン価値が減少してゆくという事になるでしょう。

こういった時の為に、ユーロをドイツなどの銀行に預けている人が多いのです。

こういう事ですから、どうかデマ的な情報に惑わされて、パニック状態に陥らないでください。
パニックに陥ると、容易に詐欺に騙されてしまいます。

ヨーロッパ在住の日本人の方々から頂いた質問へのお答えは以上で終わります。

次に、ヨーロッパ経済が実は、アメリカ経済以上に、日本にとって影響力があるという話をしましょう。
輸出・輸入を合わせた貿易重要度を計算すると、実は、EU圏の方が、アメリカより高いという結論になります。
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又、1%のユーロ安円高は、約200億円の為替差損を日本で生み、更に日本のGDPを460億円減らすという計算が成り立っています。
つまり、ヨーロッパの不況は、対岸の火事では全くないのです。

ユーロ安円高により、日本のヨーロッパに対する輸出は減少します。
一方、ヨーロッパから日本への輸出は増えます。
より安いヨーロッパ製品が日本国内に入ってくるので、それらの製品を作っている企業にとっては脅威になります。
国内の競合製品を作っている企業の売り上げは、当然、減ることになります。
つまり、輸出の減少と輸入の増大がダブルパンチで日本を直撃します。
ヨーロッパの不況とユーロ安円高は、決して対岸の火事でも他人事でもありません。



米大統領選・予備選:ロン・ポールが急上昇(2)【藤井厳喜】AJER

 YouTube : http://youtu.be/uQgbpkUUDcI
 ニコニコ: http://www.nicovideo.jp/watch/sm16677845

2012年1月10日、アメリカ北東部ニューハンプシャー州で、共和党候補指名争いの予備選挙が行われました。
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第1位がミット・ロムニー39%、第2位にロン・ポール23%、という結果でした。

ロムニーの勝利は、順当な結果と受け止められています。
一方、ロン・ポールの第2位は、多くの人々を驚かせた意外な結果でした。
ニューハンプシャー州は、比較的リベラル色が強いと言われており、ロン・ポールの支持率は、低迷していました。
にも拘わらず、支持率が急速に上昇し、第2位をしめました。
選挙後のポール下院議員の演説は、殆ど勝利宣言と言ってもよいもので、会場の支持者も熱狂的でした。
やはり今年の共和党予備選の台風の目は、ロン・ポール下院議員です。

ロン・ポール下院議員は、原理原則に忠実なリバタリアンです。
しかし、このリバタリアン思想というものは、なかなか日本人には分かりにくいものです。
ロン・ポール議員の基本理念は、アメリカ憲法に忠実なことであり、アメリカ憲法が規定している個人の自由を徹底的に守り抜くことです。
個人の自由を侵す最大の脅威が「連邦政府」である、というのが、リバタリアンの認識です。
それ故に、徹底して「小さな政府」を実現するというのがリバタリアン政策の基本になります。

個人の自由を最大限に保証するという事は、リバタリアン思想の中では、即ち、連邦政府の権限を最小限に抑えるという事と同じです。
それ故に、政治的にも経済的にも軍事的にも、小さな連邦政府を実現する事こそが正義である、という事になります。

リバタリアン思想の原点は、アメリカ独立宣言の起草者であり、第3代合衆国大統領となったトマス・ジェファーソンにまで遡ります。
ジェファーソンは、「アンチ・フェデラリスト」と呼ばれ、強い連邦政府の創設に反対でした。
アメリカが独立を達成したのち、どのような憲法を創るか、で大きな論争がありました。
論争の中心点は、中央政府(連邦政府)を作るのか、それとも独立時の13州の緩やかな連合体でゆくのか、の選択でした。
初代財務長官のアレキサンダー・ハミルトンらは、「フェデラリスト」と呼ばれ、強いフェデラル・ガバメント(連邦政府)を作ることを主張しました。
これに反対したジェファーソンたちは、「アメリカは緩やかな13州の連合体として存続すべきである」と説きました。
強い連邦政府に反対したので「アンチ・フェデラリスト」と呼ばれたわけです。
※ この事は、拙著『日本人が知らないアメリカの本音』第1章に詳しく書いてありますので、ご参照ください。

別の言い方をすれば、ロン・ポール議員のようなリバタリアンは、州の自治を重んじる州権論者でもあります。
例えば、ロン・ポール議員は、連邦教育省を廃止すべきであると説いています。

この事を日本人が聞くと、如何にも乱暴に聞こえるかもしれません。
何しろ、日本でいえば、「文部科学省を廃止しろ」という主張だからです。
ところがこれは、アメリカにおいては、憲法に従った主張であり、それほど乱暴なものではありません。
そもそも、教育に関して連邦政府が介入する権限はないというのが、リバタリアンの厳密な憲法解釈だからです。
それでは、公的教育が不要なのかと言えば、そういう事ではありません。

州や自治体や、地域共同体や家庭が責任を持つべきであるという考え方です。

ロン・ポール議員は、人工妊娠中絶に反対し、また、マリファナの取り締まりにも反対しています。
中絶反対は彼の医師としての道徳的良心からの主張ですが、法理論的には、連邦政府がこれを許可するのはおかしいという考え方です。
又、マリファナやドラッグ一般についても、連邦政府の規制に反対していますが、州や自治体がこれを禁止することには反対していません。
つまり、彼の主張は徹底的な分権論、州権論であるわけです。

ここでちょっと付言しておくと、徹底した州権論者ではありますが、彼は決して「地方主権」などという事は主張していません。
アメリカが1つの主権国家であるという事は、同氏の主張の根底になっています。
ただ、その主権国家の基本構造が、元々州権を重んじる構造になっているという事なのです。

彼は、アメリカの愛国者であり、アメリカが分裂していることを望んでいるわけでは全くありません。
この点が、日本の頭の少々軽い「地方主権論者」とは全く違う点です。

こういった哲学をもとに、彼は、増税に常に一貫して反対してきましたし、海外基地の即時撤廃や、外国に対する徹底した不干渉政策を唱えています。
こういった主張だけを見ると、極端なハト派的リベラルと誤解する人もいるかもしれませんが、発想の根源は彼の徹底したリバタリアン主義という保守主義なのです。

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今、私は彼の著書『Liberty Defined: 50 Essential Issues That Affect Our Freedom』(2011年4月刊)を読んでいますが、大変面白い本です。
彼の著作には、日本語訳もあるようです。


今後も、ロン・ポール自身の言葉で、彼の思想や政策について、解説していきたいと思っています。

ロン・ポール議員がアメリカ大統領になる可能性は、現時点では高いとは言えません。
しかし、彼は確かに今、アメリカで、一種の「復古革命」を起こそうとしています。
それは日本風に言えば、維新と呼んでもよいでしょう。
原点に返ることによって、国家を革新するという思想です。
ロン・ポール大統領になれば、日本は当然、自主国防に力を入れなければならなくなります。
我々が対米従属構造から自立するよい機会を与えてくれるでしょう。
私は、殆どその1点で、ロン・ポール候補に期待しています。

彼の、もう一つの魅力は、そのキャラクターです。
彼は徹底した言行一致の政治家であり、現代政治においては、稀な人物であると言えます。
これもまた、魅力的です。多くの若者を惹きつけていることも頷かれます。








■ 藤井厳喜・講演会のお知らせ (一般参加可能です)

平成24年 第1回 誇りある日本の会講演会

演題 「国際秩序は群雄割拠の時代へ
 ― アメリカ大統領選挙、TPP、そして没落する日本

講師 藤井厳喜 国際政治学者  たちあがれ日本参議院比例区 全国区第七支部長
場所 小平市中央公民館講座室2
日時 平成24年1月15日 「日曜日」
開場 午後1時30分
開演 午後2時00分
参加費用: 会場分担金 500円のみ

金正日の死去による今後の国際秩序の緊急講演会となります。
当日の録音・収録は禁じさせて頂いております。此方で公式サイトより、情報公開をさせていただく事になりました。質問にもお答えさせて頂きたいと思いますので、是非、ご参加ください。






   ← お知らせ: 『月刊日本(公式TOPにリンク)』10月号で、特別企画で竹田先生と脱原発対談を行わせて頂きました。又、『月刊 日本 2011年 11月号』より、アメリカ大統領選ウォッチングについて、連載を開始する事になり、最新号『月刊 日本 2011年 12月号 [雑誌]』のTPP反対特集号では、ISD条項の危険性について詳細に解説しました。是非、ご参考ください。(私のパブリシティ・ページ寄稿記事の一部が読めます)





【藤井厳喜アカデミー関係動画・復習用の動画再生リストが出来ました】
■再生リスト【第1弾・藤井厳喜アカデミー国民の為の政治学講座・全篇
 http://www.youtube.com/watch?v?=zn5eCTbgHxc&list=PL72D9C8776C?E15846 ← 2010年2月1日開校のガイダンスから全12回講義、補講まで全講座をまとめました。
■再生リスト2 【第2弾・藤井厳喜アカデミー 経済篇(随時更新)
http://www.youtube.com/my_playlists?p=E4F42E64ED2C36F7

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