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追悼・立川談志

投稿日:2011,11,22

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【追悼・立川談志】

立川談志が逝った。
また世の中が少々淋しくなった。
個人的に面識があったわけでもないので、敢えて敬称は略させてもらう。

立川談志は勿論、優れた落語家であったが、それ以前に、彼は世界一の落語好きであった。

私の趣味から言うと、談志の話芸はあまり好きな方ではない。
落語は確かに上手かったけれど、私に最も印象的だったのは、この人が本当に落語が好きな「世界一の落語ファン」であったという事だ。

私には、彼の落語よりも、落語について語っている時の彼の方がはるかに魅力的であった。
かつての名人について語り、落語の凄さや素晴らしさについて語る時の談志は、実に生き生きとしており、落語を演じている時よりもむしろ輝いて見えたものである。

以前、こんなテレビ番組があった。
スタジオに大きく引き伸ばした落語家3人の顔写真が飾られている。
3人とは、圓生・志ん生・文楽の3人である。
立川談志が、この3人の大きなパネルに一人ずつ語りかけながら、落語の芸談をやるのである。
「ねぇ、志ん生師匠、あぁー火焔太鼓は良かったですねー・・・」
「圓生師匠、昭和の大名人でしたなぁー・・・」
といったような調子で、既に他界していた3人の名人に談志が語りかけるのである。

これが何とも素晴らしい番組だった。

この人が落語をどんなに愛しているか、という事がヒシヒシと感じられた。
同じ落語ファンとして、実に嬉しかった。

立川談志の名言に「落語は人間の業の肯定である」というのがある。
けだし名言ではあるが、付け加えれば、人間の哀しく卑しい業を肯定するばかりでなく、それをユーモアで軽く包んで笑い飛ばし、更に明日へ向けて前向きに生きてゆく勇気を与えてくれるのが落語である。
上質の宗教家の御説教や説法とは、そんなものであるが、落語は立派にそれと同じような役割を果たしている。


落語はシェイクスピアやモリエールの演劇に勝るとも劣らない日本人が世界に誇るべき立派な文学であり、演劇である。
(落語は一人芝居である)
日本人は凄い文芸を育て上げて来たものである。

アメリカやヨーロッパに、「スタンドアップ・コメディアン」というのがいる。
一人で出て来て、単発のジョークを繰り出し、謂わば日本の漫談のようなことをやる芸人である。
面白い事は面白いが、ストーリーのある話があるわけではないし、ようは「小話」の連続である。

しかも、スタンドアップ・コメディアンは、二度と同じ話はできない。
同じ話を聴いては、観客がしらけてしまう。
アメリカでは、ジョークを作る人と語る人は既に分業になっているようである。
スタンドアップ・コメディアンは、謂わば、江戸時代における落語家の原点のようなものである。

これに比べると、日本の落語が如何に凄いかがよく分かる。
古典落語のストーリーを、観客はよく知っているし、どこで笑わせ、どんなオチがあるかまで熟知しているが、その知っている話を上手に語るのが聴きたくて人は寄席に足を運ぶのである。
謂わば、シェイクスピアの古典劇や近松の古典劇を見るような具合である。

ストーリーテラーがその話芸だけで、プロフェッショナルとして飯を食ってゆくというのが落語の世界である。
こんなに多くのプロのストーリーテラーを抱えている国は、世界広しと言えども日本しか存在しない。

ドイツには、グリム童話を語る、プロの女性のストーリーテラーがただ一人存在するそうであるが、これはドイツにおいて落語家に匹敵する唯一の存在であろう。
日本には、古典落語というものが何百もあり、しかもそれを語るプロが真打ち以外を含めれば、何百人も存在しているのだから、日本は凄い国である。
「講談師」や「浪曲師」という語り芸の芸人さんたちを含めれば、もっとの数にのぼるであろう。

また、古典を語り続けるだけでなく、新作落語というものもあり、50年後100年後200年後には古典になるかもしれない新しい落語が今日も作られている。
これもまた素晴らしい事である。

一人何役もこなす落語家は、まさに超一流の俳優でもある。
自ら演出し、自ら演ずる一人芝居である。
しかも、使う小道具といえば、手ぬぐいと扇子だけで、これで人間生活の全ての場面を表現してしまうというのだから、恐ろしい程の芸である。
それだけに、下手な落語くらい聴いていられないものはない。
下手な芝居は見られても、下手な落語は聴けないものである。

ともかくも、そんな凄い落語の世界に惚れて惚れて惚れぬいたのが、談志というひとであったと思う。

落語の世界から、何かの間違いでこの世に生まれて来てしまった人が、また落語の世界に帰っていったというような感じがしている。

心からの御冥福を祈る次第である。





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