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《勃発した米中サイバー戦争(1)米国防総省の決断》
藤井厳喜(政治学者) 2011年10月27日出演(1)
YouTube : http://youtu.be/xastVQw_sXY
ニコニコ動画: http://www.nicovideo.jp/watch/sm16006508
日本においても、最近、三菱重工や衆議院へのサイバー攻撃が起き、それへの防衛の必要が認識されるようになりました。
しかし、米中間では既にサイバー戦争が勃発しています。
2011年7月、米国防総省は、初の「サイバー戦略」を発表しました。
それによれば、サイバー空間を、陸・海・空・宇宙に続く、「第5の作戦領域」として認識すると同時に、「米国へのサイバー攻撃には、通常兵器での報復もあり得る」と宣言しています。
事の発端は、2010年1月頃に、米中サイバー戦争が始まったと言えるでしょう。
(※参考1【藤井厳喜】Google事件を引き金に、米中対立時代到来![H22/ 1/26] http://youtu.be/6HDv0bBcmyo )
この時、Google社は米大手20社への組織的なサイバー攻撃が、その前年、2009年にあったことを発表しました。
又、チャイナにおけるグーグルにおける検閲事件が起きたのもこの時期です。
又、2010年1月には、オバマ政権が台湾への武器売却を最終的に決定し、同時に、オバマ大統領がダライ・ラマ師と会見しました。
米中関係が大きく対決方向に動いた時でした。
(※参考2 【藤井厳喜】 米中悪化の深層![H22/ 1/28] http://youtu.be/guiFNdFFHm4 )
これに続いて、2010年の7月には、ペンタゴンへの大規模なサイバー攻撃が起きています。
更に、2010年5月から6月には、ロッキード・マーチン社へのサイバー・アタックと、GoogleのG-mailユーザーに対するサイバー攻撃が時を相前後しておきました。
グーグル社は、その攻撃がチャイナの山東省の済南が起点であると公表しています。
これらのアメリカの主要企業に対するサイバー攻撃を受けて、6月2日にクリントン国務長官は、これを鋭く批判しました。
この後の7月に、先に述べたように、米国防総省はサイバー戦略を発表することになります。
さて、その直後ですが、2011年8月2日、インターネット・セキュリティーを専門とする米マカフィー社は、以下のような内容を公表しました。
それは、国連・国際オリンピック委員会、ASEAN、各種の人権擁護運動を含む72の国、機関、企業に対し、大規模なサイバー攻撃が組織的に行なわれましたが、それには特定の国家が関与していた事が疑われるというものです。
このマカフィー社の発表を伝えるロイター通信は、その特定な国家が「チャイナである可能性」が高いと伝えました。
《勃発した米中サイバー戦争(2)日本をも巻き込む米中新冷戦》
藤井厳喜(政治学者) 2011年10月27日出演(2)
YouTube: http://youtu.be/p9lH4VYPHig
ニコニコ動画: http://www.nicovideo.jp/watch/sm16006558
米中サイバー戦争の前提となるのは、「米中が本格的な対立時代に入った」という事実です。
これを「米中新冷戦」と呼んでも過言ではありません。
この米中新冷戦の1局面が、米中サイバー戦争なのです。
2011年5月1日、アメリカは単独でパキスタンに潜伏中のビン・ラーディンを暗殺しました。
この暗殺により、パキスタンの軍と政府が事実上、ビン・ラーディンを匿っていた事が白日のもとに曝されてしまいました。
そしてこの暗殺の成功が、アメリカとパキスタンの関係を決定的に決裂させた事はいうまでもありません。
パキスタンは、アメリカの対テロ戦争に、協力するふりをしながら、水面下では、アルカイダなどのイスラム原理主義テロリストたちを支援してきたのでした。
米パキスタン関係が決定的に破綻する事により、米中両国も明らかな対立関係となりました。
何故なら、パキスタンとチャイナは、非常に親しい同盟国であるからです。
ビン・ラディン殺害を決断する事により、アメリカは米中対決に入る事をも選択したと言えるでしょう。
(参考:この辺りの背景は『日本人が知らないアメリカの本音』に詳細解説を書きました。)
アメリカは、イラクとアフガニスタンの泥沼から抜け出す事を、決断しました。
そしてその後の主要な敵として、チャイナを選び取ったと言えるでしょう。
軍事・経済の両面で、アメリカの覇権に堂々と挑戦して来たのは、チャイナだけでしたから、それは当然の結果と言えるでしょう。
ここに到って、日米の防衛協力関係は益々重大になってきました。
2011年10月24日、来日中の米パネッタ長官は、横田基地で講演し、イラク後もアジアの米軍は削減しないと明言しました。
アメリカ軍は2011年年末までに、イラクから完全撤退しますが、アジアにおいては、チャイナの拡大する脅威に対抗する為に、米軍は削減しないという方針を明らかにしたのです。
アメリカはイラクやアフガニスタンから撤退する事により、その覇権を脅かす真の敵であるチャイナの脅威に対して本格的に立ち向かうことが出来るようになったとも言えるでしょう。
その翌日、2011年10月25日、パネッタ発言と相呼応するように、アメリカの保守系マスコミを代表するウォールストリートジャーナルが、そのコラムで「イラク後の米の焦点、再びアジアに(After Iraq, U.S. to Refocus on Asia)」と題する論説を掲げます。(※ 日本語記事:http://jp.wsj.com/US/Politics/node_331161 )
趣旨は前日のパネッタ国防長官の発言と同様です。
それをこういった状況を更に裏付けるように、最近、『21世紀のアジア同盟』と題するレポートがアメリカで発表されました。プロジェクト2049研究所とアメリカン・エンタープライズ研究所の協力で公表されたレポートです。
このレポートは、日米防衛協力の重要性が増大した事を指摘しながら、日本に対中抑止力としての中距離ミサイルの保持までを薦めています。
サイバー面における協力も勿論、今後の日米関係で益々重要になってくるでしょう。
しかし、親中派の多い民主党野田政権では、そのようなアメリカの期待に応える協力ができるかに、大いなる疑問が存在します。
一刻も早く、チャイナの脅威に対抗して強力な日米安全保障体制を築くような政権の樹立が日本の国益の為に急務と言わざるを得ません。
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