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「畏(おそ)る可き天の警告」
(※ 以下の本文は、既に発行された國民新聞5月号への寄稿文をNET上でも公開するものである。)
東日本大震災と福島原発事故の全ての罹災者の方々に、心よりのお悔やみとお見舞いを申し上げると同時に、一日も早い復興をお祈り申し上げる。
悲惨な罹災者の現状に同情を覚えつつも、同時に心中深く感じたのは、神々の振るう大鉈は悲情であるという事だ。
筆者は元来が宗教的な人間ではない。
しかし平成23年3月に日本を襲った大天災は、正に天が日本に下した災であり、神々の世界から日本人への警告であると思えてならない。
日本人の今の有様、今の生き方を改めよ、との天からの啓示である。
畏(おそ)る可き天の警告を畏(かしこ)み、傅(かしず)いて吾々は受け入れることが出来るのだろうか。
復興の必要は言うまでもないが、復興の前に、従来の日本人の生き方を、それは原子力発電という技術の利用も含めてであるが、反省しなければならないのではないか。
経済効率至上主義や技術過信は、究極的には唯物論につながる「人間の生き方」であるが、それらへの根本的反省なしに、単に「旧に復する」事のみに専心する様では、日本の将来は益々危ういものとなる。
天は日本人に警告を発し、その警告を通じて人類に黙示したのではないのか。
人類の文明の在り方そのものの転換を、示唆したのではないのか。
では何故、日本人が、東北がその警告の対象として選ばれたのか。
神は、人類の中で最も劣悪な者ではなく、最も優良なる存在を選んで、敢えて巨大な試練を課したのではないだろうか。
神は日本民族が必ず正しい道に覚醒し、新しい文明の先駆者となる事を確信して、この使命を日本民族に課されたのに違いない。
筆者は大正12年(1923年)の関東大震災もまた天から日本民族への啓示であり、黙示ではなかったのかと推察している。
あの天災を当時の日本への天界からの警告と捉え、日本の有り様に根本的反省と改革を加えていたら、大東亜戦争の敗戦は避けられたのではないか、と思うのだ。
あの美しい大日本帝国を亡ぼさずにすんだのではないか、と想像力を逞しくしているのだ。
1905年、日本は日露戦争に勝利し、世界の一等国となった。第一次大戦にも参戦し、日本の国力は更に伸張した。
その後の1923年に関東大震災が起きた。
その22年後、1945年日本は未曽有の大敗戦を迎える。
今思えば、関東大震災は、日露戦争の勝利と大東亜戦争の敗北の丁度、中間で起きている。
あの時、日本人が明治維新以来の急速な発展の歪みを正し、政治・経済・軍事機構のオーバーホールを実行していたなら、敗戦という悲劇を回避する事が出来たのではないか。
素晴らしい帝国を亡ぼさずにすんだのではないか。筆者はこの思いに捕われている。
明治初期に来日し、日本陸軍の将校教育の基礎をつくったドイツのメッケルは、日本軍人の欠点として、希望的観測に依存しすぎる事を挙げている。
聴く可き言葉であると思う。
東日本大震災の教訓を正しく生かさなければ、私達は一層、酷い敗戦にやがて直面する事になるのではないだろうか。
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