藤井厳喜WEBサイト 公式ブログ プロフィールは、こちらトップに戻る 藤井厳喜WEBサイト | Fujii's Focus For Future 公式ブログ

領土問題への戦略―尖閣諸島の実効支配確立を最優先せよ

投稿日:2010,12,23

★  藤井げんき・政治活動専用のアドレスが出来ました【 gemki.fujii7@gmail.com 】
【藤井厳喜Twitterサイト】(日夜、Twitterならではの活動のリアルタイム実況中継や裏話等もしています。)
https://twitter.com/GemkiFujii
  blog_neko-mini.jpg
★ Twitterと連動させる形で、Mixiと、その中で「藤井厳喜アカデミー」のコミュニティーを始めてみました。


最近、国際問題に関してあまりに非常識なオピニオンを聞く事がしばしばあるので、国際関係の常識にシッカリと基礎をおいて日本が直面する領土問題について論じてみたいと思う。




 YouTube : http://www.youtube.com/watch?v=qH5Z6DX7EqE 
 ニコニコ動画 : http://www.nicovideo.jp/watch/sm13101153 


映像では述べなかったアメリカとの関係について

近頃、よく耳にする論調の中に、アメリカの脅威とシナの脅威を全く同等に論ずるものがある。
また、感情的としか言いようのない極端な反米論の主張も耳にする。


 私が言いたい事は以下の様な事である。

先ず第一に、アメリカが自国の国益を最優先にして外交政策を行なうのは当然の事である。
また、アメリカの占領政策が日本人の自立を阻害するような方向で特に占領の初期において行なわれた事は確実である。
しかし、例えば占領時代のアメリカの日本統治の現実をしっかり把握する事は大事だが、それが今、我々が反米主義を何よりも大事な外交原則とすべきである事には全くならない。
占領が如何に過酷なものであったにせよ、現在、アメリカとの連携によって日本の国益が確保できるならば、その事に躊躇すべきではない。

 第二に、アメリカとシナの日本に対する脅威を同等のモノと論ずる愚論が存在する。
現在の日本にとっての眼前明白の脅威は、シナの脅威であって、アメリカの脅威ではない。
シナの脅威は現実的な軍事的・政治的・経済的な脅威である。


 私はアメリカとの関係は、日本文明とアメリカ文明との対立と競争の関係であると思っている。
即ち、どちらの文明がより人間を幸福にできるかという文明観の争いが基本であって、アメリカが現実において軍事的に日本に脅威を与えている訳ではない。
政治的・経済的にアメリカは日本をアメリカの国益に沿うような形に誘導したいと思っているのは当然の事である。

しかし、日本とアメリカはデモクラシーや市場経済という共通の枠組みと価値観も持っている。
その体制の中での様々な駆け引きはあるが、共産党独裁のシナの日本に対する露骨な脅威とアメリカのそれとを比較するのさえ、愚かな事である。

以上の事は、このYouTube映像ではあまりに当然の事だと思われるので、述べていないが、改めて、文章で確認しておきたい点である。



 映像で述べた事の要点は以下の様な事である。

 一般論として言うならば、外交の目的は具体的な国益を確保し、拡大する事であり、現実離れしたイデオロギーを主張することではない。

具体的な国益の確保の為には、現実主義による行動しか手段は存在しない。

現実から遊離した教条主義や、狂信主義や、排外主義は国益を阻害するだけである。

現実主義による外交において最も重要なのは、戦略である。
最も純粋な愛国心を持ったものが、しかし、第一に自らの力量と客観情勢を見極め、第二に優先順位を選定して行なうのが外交戦略というものである。
客観情勢がどのようなものであるか、自己の力量はどの程度のモノであるか、それを突き合わせた上で、実行可能な目標は如何なるものであるか、を冷静に見極めなければならない。

 それは外交目標の優先順位を明確にするという事でもある。
自己の力量に限りがある以上、外交目標の優先順位を設定するのは何よりも重要な事である。

 現在、日本は三つの領土問題に直面している。
ロシアとの北方領土問題、韓国との竹島問題、シナとの尖閣諸島問題である。

残念ながら、竹島と北方領土は、それぞれ韓国とロシアに実効支配されて長い時間が経ってしまっている。
これに対して尖閣諸島は日本がかろうじて実効支配をしている領土である。
先ず、この尖閣諸島の領有を確実にする事が、3つの領土問題の中では、最も重要な日本外交の焦眉の急である。

かろうじて実効支配している尖閣諸島の領有すら確実にする事が出来ないならば、既に対立国に実効支配されてしまっている竹島や北方領土を取り戻す事などは夢のまた夢である。
現実主義で考えれば、先ず、竹島の領有権を確実にする事に只今の日本の外交努力を集中すべきなのである。

 メドベージェフ・ロシア大統領が、北方領土を大統領として初めて訪問した事実をもって、ロシアの脅威とシナの脅威を同等に論ずるものもあるが、これは全くの愚論である。
残念ながら、既に北方領土はロシアに実効支配されているのであり、メドベージェフ大統領が北方領土を訪問したからといって、日本が今更、新たな領土を強奪されるわけではない。
ロシアの北方領土への領有権がこの訪問によって、より確実になった事は憂うべき事だが、我々がこの訪問によって新たな領土を失った訳ではない。

これに対して尖閣列島においては、わが国の領土である同諸島を、今まさにシナが強硬手段によって強奪・侵略しようとしているのである。
ロシアの船が北方海域において日本の領海を度々侵犯し、海上保安庁の船に体当たりし、日本のものである領土を新たに強奪・侵略しようとしているわけではない。
それ故に、メドベージェフの北方領土訪問よりも、尖閣事件の方が日本の国益を侵害するという点において、はるかに重要な事件なのである。

また、北朝鮮の脅威に対抗する事を考えれば、韓国との間で竹島紛争をエスカレートさせる事は、必ずしも日本の国益の増進には繋がらない。

結論として言うならば、日本の領土問題の内、尖閣列島の領有権の確立こそが、最優先されるべき課題なのである。

勿論、ロシアに対しても韓国に対しても、我々の国益を踏まえた主張は、国益を踏まえ、我々の領土的主張は正々堂々と訴え続けるべきである。
しかしこれら2つの問題が只今現在、解決できる具体的な方法手段は我々の手の中には無い。

 全般的に見て、日本の国益をより大きく傷つけているのは、ロシア外交ではなく、シナ外交である。
シナにはロシアにある程度の言論の自由がデモクラシーすらも存在しない。
また、南京事件等の歴史捏造や、靖国神社への攻撃、様々な反日活動、日本の政治家への陰湿な影響力、更に最近益々目立つようになった不法移民による日本の公序良俗の破壊。
これらの点において、問題なのはロシアではなく、言うまでも無く、シナこそが日本に一番の現実的被害を与え、脅威を拡大しているのである。


 また、以前のYouTube映像でも解説したように、2010年11月にはアメリカ・ロシア・インドが大きく協力関係を構造的に築き上げるという国際関係上の大きな変化があった。
この客観的な国際関係上の構造変化をシッカリと認識するならば、今、日本のシナと対立する外交は非常に進めやすい状況となっている。

アメリカ、ロシア、インドは3国ともシナを敵対国と認識し、これを取り囲む、謂わば「対シナ包囲網」を形成しつつある。

シナとインドは対立を棚上げし、適当に妥協している部分も存在はするが、潜在的には両国とも核兵器を保有するライバル同士である。

オバマ政権誕生当時は、米中共同統治の可能性も心配されたが、経済・軍事の両方の分野でシナの拡大する脅威を実感したアメリカは、大きくシナへの強硬路線に舵を切って来た。
日本にとっては、甚だ都合のよい方向に客観情勢は動いてくれている。
また万が一、米中が提携して日本を挟撃するような状況になったならば、日本は全力を尽くして、この米中連携にくさびを打ち込み、アメリカを日本の側に引きつけるように全力で努力しなければならないのである。
それこそが国益にかなった現実主義の外交である。


 まして、客観情勢として米中の対立がエスカレートしているのであるから、この状況を利用して、アメリカとの連携のもとに尖閣領有の確実化を図らなければならない。
沖縄の基地問題の解決なども、この文脈で考えなければならない。
要は日本に対する最大の脅威がどこの国から来ているのか、という現実の認識が最も重要なのである。

そして、日本にとって潜在的な友好国があるならば、可能な限りこれを現実的な友好国として、日本の国益の増進を図らなければならない。
最も眼前明白な危険を認知できない人間は、外交問題を語る資格は無い。

 また尖閣諸島に関して言えば、日本はシナという核保有国と領土問題を抱えてしまった事になる。
日本側が如何に領土問題が存在しないと言い張って見ても、シナが現実に領土領海への侵犯を繰り返しているのだから、シナとの対立を避ける事は出来ない。

日本はいうまでもなく、核保有国ではない。

核保有国ではない日本が、核保有国であるシナと領土問題を抱えているという事の重大性を改めて考えてみるべきではないだろうか。

この場合、核保有国であり、日本に友好的であるアメリカとの後ろ盾なしには強力な外交を進める事は出来ない。


 もし日本が尖閣列島をシナに明け渡すような「柳腰(腰砕け)外交」しか出来ないのであれば、まさにその時にこそ、アメリカは日本を見限って、シナと手を握る結果になるであろう。

 日本がシナに対抗する意思がないならば、アメリカはこのような意志なき国家を同盟国とする事は諦めて、潜在的な敵国であるシナと直接交渉する事により、西太平洋において、より国益にかなう勢力均衡を構築しようとするであろう。

 アメリカとの協力関係は、強化しこそすれ、決して廃棄すべきものではないのである。


以上の様な状況を踏まえれば、現在、声高に叫ばれている非現実主義的な「アメリカ・シナ同等脅威論」や「アメリカが日中戦争を仕掛けている」等という謀略論が、どこから出て来ているかが自ずと明白になるのではないか。

 即ち、日本とアメリカの緊密な協力関係にくさびを入れ、日米関係を破壊し、日米両国を離反させる事を狙っている国が、このような情報操作を行なっているのである。
あるいはその情報操作に踊らされている「善意ではあるかもしれないが、少々おつむの弱い人達」がこういった「為にする情報」を盛んに喧伝しているのであろう。


 情報戦争とは、こういうものである。




※ 藤井厳喜へのメッセージ、講演や仕事等の依頼も、以下アドレスまでお願いいたします。

ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ事務局e-mail : info.cfg.future@gmail.com

★ 【 Cambridge Forcust Group of Japan.Co 藤井厳喜チャンネル】
   http://www.youtube.com/user/zingrace1213 (登録自由)


 ↑ 好評発売中!是非、御感想をお寄せ下さい♪ 
「日本はニッポン!」特設ページ( http://www.sowa.ne.jp/nippon/ )も出来ました。


↑ 「無制限戦争(超限戦)」をまとめたこの著作は、情報戦争とアジア情勢の教科書として長く使える形を想定して書いたものです。通常の単行本3冊分のボリュームですが、是非、ご参照ください。


 ↑ 口蹄疫問題について、私もコラムを寄稿させて頂きました。




★ 品切れしておりました、「永久国債の研究」が、増刷されました!!