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アメリカ人の猫観?: 映画『ガーフィールド ザ・ムービー(実写版)1・2』論評

投稿日:2010,12,12

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 今年の9月にメキシコに行った時、モントレイという北部の大都市のペット・ショップや町で出会った猫が、Garfield(ガーフィールド)にあまりにそっくりなので驚いた。

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毛並みの色も明るい茶色(濃いオレンジ色)で、そっくりだが、何よりもちんくしゃの顔がそっくりなので驚いてしまった。
両眼と鼻がほとんど一直線に並んだような顔は、まさにガーフィールド、そっくりだった。
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 きっとガーフィールドの作者、Jim Davisは、こんな猫を見て、ガーフィールドのキャラクターを創り上げたに違いない。

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 日本でもそこそこHITした実写版の映画『ガーフィールド ザ・ムービー 』と続編の『ガーフィールド2 (特別編) 』は、たわいないエンターテイメントの映画だが、この映画や原作となったガーフィールドの漫画を通じて、日本人とアメリカ人の「猫観」の違いがよく分かるのではないだろうか。

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 ちなみに、ガーフィールドの漫画は、1980年代に一度、日本で翻訳出版されたが、本国とは異なり、全く人気が出なかった。



 ガーフィールドは41の種類の新聞で1978年に連載がスタートされ、たちまち人気が爆発!
私が当時、カリフォルニアで暮らしていた頃に新聞連載が始まり、流行っていたようで、時々、新聞を読む時に目にしたものだった。

現在、世界で2600以上の新聞に100カ国語以上で連載され、2億6000万人以上の読者を持っているそうだ。
単行本の発行部数も全世界では1億3000万部を超えるという。



しかし、何故か日本では人気がなかった。
あまりメジャーにはならなかった。

ガーフィールドの作者自身も、「日本ではあまりHITしないだろうし、理解されにくいだろう」と当初から語っていたくらいだ。

 一つには、社会風刺の色合いが濃い漫画なので、アメリカ社会の細かな実情が分からないと理解しにくいという面もあるだろう。

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しかし、これは、他の外国でも同じはずである。


大きいのは、おそらく猫に対する見方の違いなのではないだろうか。

 ガーフィールドは、怠け者で、大食いで皮肉屋でいたずら好きである。
そして、かなりシニカルなキャラクターとして登場している。

 いたずら好きという点は、ともかく、他のキャラクターは、日本人が猫において見出す好ましいキャラクターとは決していえないだろう。

日本人にとって猫とは、先ず、何よりも「可愛い動物」である。

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適度に神秘的であり、貴族的であり、優雅であり、ネズミをとってくれる役立つ存在でもある。

 ガーフィールドは、先ず、ネズミは捕らないし、肥っていて、決して美しくはない。
シニカルな性格も、日本人の猫好きが必ずしも好感をもつところではないだろう。

よく考えてみると、アメリカの映画やアニメの中で、猫の人気者というのは、そんなに多くは無いようだ。
アニメでは、「トムとジェリー」のトムが有名だが、彼は極めて陽気でネズミを追いかけるのに忙しい単純なキャラクターとして誕生している。

何しろアメリカのアニメ界では一番の人気者が、ミッキーマウスというネズミのせいか、猫はやや肩身が狭いようだ。

日本の猫の代表は、サンリオのキティーちゃん、ドラえもん等だが、キティーちゃんは、単純に超可愛い存在である。
 ドラえもんは、長靴をはいた猫、よろしく、子供の夢を叶えてくれる信頼できる友人である。

およそ「ガーフィールド」的ではない。


【『ガーフィールド ザ・ムービー
 


続編【ガーフィールド2 (特別編) 】のイメージ



 ガーフィールド映画のストーリーは、家族向けのエンターテイメントだが、
ガーフィールドの性格自体は、かなり捻くれており、大人が渋さを感じるような性格設定である。

ここら辺が中々、日本人には受け入れがたいところなのではないだろうか。


オリジナルの漫画自身はもっとワサビのきいた皮肉なものが多い。

実写版の映画は、日本人にも馴染みのある「ディズニー化されたファミリー向け」の内容に、創り上げられている。
漫画のタッチとは大分違うのである。



 それにしても、実写にCGを組合わせるという手法が、見始めた時は不自然に感じられたのだが、映画が進むにつれて、全く違和感がなくなってくる。

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この手法は中々見事であると思う。


   アメリカの新聞連載漫画は日本とは全く違う。
4コマ漫画というのは、日本で発達した独自のカテゴリーである。

アメリカの漫画は、ほのぼのとした「サザエさん」的なものは少なく、風刺やアイロニーが基本である。

 読み終わって、思わず大人が「ニヤッ」と笑うようなものが多い。
また、特に「ヒトコマ漫画」の風刺には、日本の漫画にはない、独特の素晴らしい切れ味がある。
日本の社会時評的な「ヒトコマ漫画」のレベルは、アメリカに比べればはるかに劣ると言わざるを得ない。
1コマ漫画においては、発案者と漫画家が別である場合が多い。
そのくらいに専門化した世界である。

1コマ漫画の辛辣な社会風刺はアメリカの漫画文化特有のものであろう。


 ちなみに、数年前の事だが、産経新聞紙上に連載されている「ピーナッツ」(チャーリー・ブラウンやスヌーピーが登場する漫画)の翻訳に全くの誤訳があった。
翻訳しているのが、シェークスピア専門のK大学の英文学者だったので、誤訳もやむを得ないだろうと思った。

現代アメリカのトリビアを知らないと、翻訳できないような内容だったのである。
こういった問題は、翻訳に常につきまとう問題である。


 昔、アメリカの推理小説を大量に翻訳している、ある日本の小説家が、自ら告白していたが、はじめ「イエローページ」という言葉が小説に登場してきた時に、その言葉の意味が全く分からないで困った、との事であった。
この作家は、「イエロー・ペーパー(センセーショナルな三流新聞)」という言葉があるので、それに類似した「くだらない新聞や雑誌」だという意味だと類推して、翻訳した、との事であった。
今なら日本人でも「イエローページ」という言葉の意味は知っている。
「電話帳の広告欄」の事である。
これは最近、アメリカ英語から日本に入って来た言葉である。

この作家の方は、アメリカに行って、初めて「イエローページ」という言葉の意味が、実物を見て理解できたそうだ。
「あぁーなんだ、こういう事だったのか」という訳である。

当時の英和辞典には、かなり大きなものでも、このアメリカでは日常用語である「イエローページ」の解説が載っていなかったのである。


 ちなみにアメリカにいる頃、私の事を「ガーフィールドに似ている日本人」と呼んだアメリカ人がいたが・・・、私はそれ程、ラザニアは好きじゃないよ・・・。(苦笑)



↑↑↑ きっと、こういう種類の猫がモデルなんだろね。




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