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別冊宝島『2010年 日本VS中国!』書評論文 ―連載・第1回  - (1)から(3)

投稿日:2010,01,05


 以前も発売日の日に、別冊宝島『2010年 日本VS中国! (別冊宝島 1670 ノンフィクション) ―専門家30人による“中国の論点” 』について、改めて取り上げたいと書いていたが、詳しく取り上げていなかった。
 今回の出張に、この本を持っていき、飛行機の中などで、改めて精読したので、「特集論文」形式で詳しく取り上げたいと思う。



(かなり、長くなる予定なので、はじめに目次構成を以下に記す。)

【目次・構成】
(1) シナ共産党帝国 : 侵略と膨張の歴史
(2) 世界不況の原因をつくるシナ経済
(3) シナにナショナリズムは存在しない
(4) 被害者でもあるシナ一般大衆
(5) 日中親善を破壊するシナ共産党
(6) 親中派論文に要注意!
(7) シナ共産党が仕掛ける無制限戦争
(8) 藤井論文の真意
(9) 2020年シナの高度成長は終わる
(10) シナのレジーム・チェンジの法則



 「シナ共産党政権は日本・シナ両国民共通の敵である許(ばか)りでなく、人類共通の敵である。」

 書評: 別冊宝島 No.1670 『2010年 日本VS中国! (別冊宝島 1670 ノンフィクション)
        宝島社 定価980円(税込)


(1)シナ共産党帝国: 侵略と膨張の歴史

 本書(ムック)を読み終えての感想を一言で言うならば、冒頭のような認識であり、テーゼとなる。
 真に「シナ共産党政権は、日本・シナ両国民の共通の敵である」のみならず、アジア諸国民の共通の敵であり、人類共通の敵なのである。
 シナ共産党を以下、慣用に従い、「中共(中国共産党の略称)」と呼ぶ事にする。
中共政権が1949年における誕生以来、チベット・東トルキスタン・南モンゴル・満州・更に、ベトナム(中越戦争)と、侵略を繰り返してきた事は周知の事実である。
今や中共政権は、西沙・南沙の諸島を制し、西太平洋の覇権の確立に向けて着実に歩を進めている。
日本における民主党政権の誕生は、日本属国化を狙う中共にとって、願ってもない間接侵略のチャンスである。
フィリピン、ベトナム等、東南アジア諸国は、(華人国家であるシンガポールを例外として)中共の軍事と経済両面の膨張主義に著しく警戒的である。

 インド、スリランカ、ネパール等の南アジア諸国に於いても、事は同様である。
 更に中共帝国は、資源を求め、ラテン・アメリカやアフリカ・中東にもその貪欲な手を伸ばしている。
兵器輸出と共に過剰な人口も輸出され、経済・軍事援助の見返りとして、エネルギー資源・鉱物資源を簒奪してゆくというやり方である。l
独裁・人権弾圧の国家とも恥ずる所なく提携してゆく。

 先のコペンハーゲンでのCOP15を失敗させた最大の力は中共のゴリ押しだった。
私は環境ファシズム的な規制には反対だが、無制限な環境汚染が許されないのは当然である。
 資源を浪費し、この無制限な環境汚染を堂々と実行して恬(てん)として恥じないのが、中共帝国である。 環境汚染の超大国として、中共帝国は人類共通の敵である。


(2) 世界不況の原因をつくるシナ経済

 人権・自由の抑圧国家として、中共帝国が現在の世界で最悪の諸国の1つである事は、既によく知られている。
 これに加えてシナは、現在の世界的不況の最大の原因の一つでもある。
シナの人口は約13億、世界の人口65億の約5分の1である。
 この13億の人口が、中共のコントロール下、超低賃金労働力として動員される。
先進国の企業は、製造現場をシナに移す。
先進国では失業が増大する。
 シナからは低価格商品が洪水の様に輸出される。
先進国労働者の賃金は引き下げられる。
つまり、シナ経済こそ、賃金面における最大のデフレの原因の一つなのである。

 それだけにとどまらない。
先に述べた様に、シナは資源獲得に必死であり、世界各地で資源の高値掴みを行っている。
その為に、市場における資源価格を押し上げている。
非効率的な資源利用が、それに拍車をかけている事は言うまでもない。

 つまり、シナは、賃金面におけるデフレと、資源面のインフラ両方の原因になっているのである。
資源輸出国はともかく、先進国と資源を持たぬ低開発国にとっては、最悪の経済環境の原因を作り出しているのがシナなのである。

 以上の事実を総合して言える事は、環境・人権・平和(軍事バランス)・経済のいずれの分野においても、中共政権が世界の安定秩序を破壊しつつあるという事である。
 これら四つの分野(環境・人権・平和・経済)において、中共政権は、周辺アジア諸国にとってばかりでなく、世界人類にとっての脅威であり、共通の敵なのである。


(3)シナにナショナリズムは存在しない

 更に論を進めよう。
このような新しい総合的視点で事態を見てみると、事態の本質は国家間の対立の問題ではない事が明らかになる。
 つまり、「シナ対日本」とか「アメリカ対シナ」のナショナリズムの対立の問題ではないのである。
 中共政権という異常な政治勢力が、世界の安定秩序を破壊している、というのが状況の本質なのである。
 表面上はナショナリズムの対立の問題の様であるが、事の本質はそうではない。
ナショナリズムというならば、国民が政府と一体感を持っていなければならない。
ところが、今日のシナにおいて、最も欠如しているのが、この国家政府と国民の一体感なのである。
共産党というものは、そもそも一党独裁をその本旨とし、国民に一切、政治的自由を与えない事をその使命としている。
国民大衆はそもそも共産党にコントロールされるべき客体であり、本来、主体性が全くあってはならない存在なのである。

 ここに更に、シナの政治文化という事情が加わる。
シナの歴史においては、かつて民主政治というものが存在した事はない。
存在したのは、皇帝専制の政治か、無秩序かの、いずれでしかなかった。

 シナにはそもそも、法治主義というもの自体が存在して来なかった。
シナには「法家思想」というものが存在するが、これは法治主義とは無縁で、皇帝専制の一便法に過ぎない。
西洋の歴史を見ても、日本の歴史を見ても、法治主義の基礎のない所に民主政治は成立しえない。

 現在、シナの政治は、皇帝専制が共産党専制に取って代わっただけの代物である。
そこには「支配する者」と「支配される者」の差別が歴然としており、国民としての一体性さえ存在しないのである。
これは抑制されているチベット・ウイグルなどの少数民族のみならず、多数派である漢民族についても言える事なのである。

 一般のシナ国民は、中共支配体制を全く他者としてしか意識していない。
「上に政策あれば、下に対策あり」などという諺は、皮肉と冷笑を以ってこの現実を顕わにしてくれる。

 しかしかつての社会主義経済体制では、シナ人は国営企業やら、人民公社に所属する事によって、最低限の経済生活の安定を保障されていた。
政治的自由はなくとも、経済的安定はあったのである。
 この点において、シナ人大衆は、好き嫌いはともかく、中共支配体制と繋がり、その恩恵を受けていたのである。

 しかし、開放改革経済路線で、この「仮の安定」は失われてしまった。
似而非市場経済の導入により、勝ち組は良いが、負け組のセーフティーネットを政府が保障する事をしなくなった。
つまり、社会主義政権のメリットは失われ、政治的自由の束縛というディメリットだけが残ったのである。
今までは、共産党の言う通りにしてさえいれば、最低限の食い扶持は保障された。
改革路線以降は、政治的自由は拘束されたまま、食い扶持の保証もなくなったのである。
これを称して、「社会主義市場経済」という。

 この場合、「社会主義」とは「共産党一党支配の継続」を意味する。
「市場経済」とは、「共産党一党支配下の似而市場経済」ではあるが、同時に「政府が大衆の食い扶持を保証しない事」を意味する。
つまり、「政治的自由もなく、経済的保障もない」という最悪の組み合わせである。

(続きは、明日にUP。)


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