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日本は海上自衛隊のインド洋派遣を継続せよ

投稿日:2009,09,24

鳩山民主党は、海上自衛隊のインド洋上における同盟国艦船への燃料補給を止める方針である。
これ程、愚かな外交・国防政策はない。
日本は、断固、このインド洋上における燃料補給を継続すべきである。

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日本のマスコミや評論家は、この燃料供給中止を、アメリカがどう評価するかという観点からばかり論じている。
民主党政権を支持するものは、アメリカは政策変更を受け入れ、これが日米関係に大きな影響を及ぼす事は無いと主張する。
燃料供給継続を主張するものは、中止が日米関係に大きなマイナス要因となる事を警告している。
結果として、燃料補給中止が日米関係を弱体化させる事は確かであろう。

しかし、より重要な視点は、日本の地政学上の国益の増進にこの問題がどのように関わっているのかという事である。
アメリカが望もうが、望むまいが、いやアメリカが例え、望まなくとも、日本は海上自衛隊によるインド洋上の燃料供給を続けるべきであるし、寧ろ、これを強化すべきなのである。



海上自衛隊の大きな使命は、日本のシーレーンを防衛する事である。
海洋国家であり、貿易立国の日本が、シーレーン防衛を至上の価値とする事は当然である。
日本の最も重要な原油供給ルートは、言うまでもなく、中東から東南アジアを経て日本に到るシーレーンであり、この点、インド洋は日本から遠い地域にはあるが、日本経済の死活を左右する生命線が通る海であると言って良い。
理由はともかく、ここに海上自衛隊の艦船を派遣できるようになった事は、海洋地政学上の観点からいって、非常に大きな日本の国力の飛躍であった。

自衛隊の艦船は、元来、インド洋のような遠隔地に航行する事や、インド洋の如き高熱地帯で運用される事を前提として作られてはいない。
それ故に、派遣された自衛隊員の苦労は並大抵のものではないと聞いている。
しかしこの派遣によって、日本のシーレーン防衛の能力は飛躍的に高まったのである。
何よりも重要なのは、対テロ戦争という天下の大義名分を利用して、この派遣が国際的にも国内的にも承認された事である。

海自のインド洋派遣を最も忌み嫌い、恐怖したのは他ならぬシナである。
日本が独自の海軍力の防衛範囲を飛躍的に拡大させ、謂わばシナの背後にあるインド洋にまでその力を延ばしたという事は、シナにとっては大きな脅威であった。
また、海自のインド洋派遣が、日米の防衛協力をより一段、高いレベルに引き上げた事もシナ政府の最も忌み嫌うところであった。

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鳩山民主党政権のインド洋上の給油中止は、これらの実績を全て否定し、シナ政府を大いに喜ばせるものである。
日本が給油を止めれば、シナ政府がこの役割を取って代わるかもしれない。
そうする事によって、シナ政府が対米関係を強化し、東アジアにおける米中共同統治を実現する大きな手段とするであろう。

当然のことながら、日本の国益は大きく損なわれる事になる。
いうまでもなく、今日、日本の安全と平和に最も大きな脅威となっているのはシナ帝国主義である。
シナの軍事膨張主義が日本のみならず、周辺のアジア諸国にとっての最大の脅威であるのもまた、言をまたない。

推論するならば、鳩山民主党のこの愚かな決断の背後に、シナ政府の民主党に対する働きかけがあったのではないだろうか?
岡田外相などの見識が大いに問われるところである。






鳩山民主党は、インド洋補給にかわる対米貢献として、アフガニスタンにおける警察力の要請をあげている。
アメリカ側としては、これは必ずしも悪い取引ではないかもしれない。
しかし日本にとっては、この政策は大きなマイナスである。
アフガニスタンの政治的安定が、全体として間接的にではあるが、日本の国益にプラスである事は確かである。
しかし、海洋国家である日本にとって、アフガニスタンにおける若干の日本の政治的影響力の上昇は、何ら国益にプラスしない。
プラスするとしても、目に見えないほど小さなものである。
これに対して、インド洋における自衛隊のプレゼンスは、遥かに大きな国益の増大を保証している。
つまり、この取引は、アメリカにとってはプラスマイナスゼロかもしれないが、日本にとっては大きなマイナスなのである。

日本の外交軍事を評論するものの多くは、主権国家日本の国益の増大から個々の政策の善悪を判断すべきである。
アメリカがこれを受け入れるとか受け入れないとか、シナがこれを好むとか好まないとかいう事は、二の次、三の次である。
また強いて言うならば、日本の安全と平和に対する最大の脅威となっているシナの嫌う政策こそが、日本にとって望ましい政策なのである。

※ お薦め参照動画:For the Peaceful Ocean
インド洋における海上自衛隊の補給支援活動の意義、必要性につい て説明しています。

【関連のお薦め参考文献】


↑↑↑ 地政学の入門的教科書。『「世界地図」の切り取り方 (光文社ペーパーバックス)
 Sea Power(海洋国家)やLand Power(大陸国家)等の地政学の基本的概念について、分かりやすく第一部で説明してある。
この本で地政学と言う奥深い学問に目覚めてくれた読者も多数いるようである。
現在、読んでも時代遅れになっていない本であると思う。

 

↑↑↑ 『塗り変わる世界地図の読み方―21世紀の大再編が始まる!

この本は、2006年5月に上梓した本である。(初版奥付5月27日)
地政学的発想を取り入れて、国際政治経済を分かりやすく分析した著作である。
この本に対しては過分なおほめの言葉を、南米チリの首都、サンチアゴに住む日系人の井上三良(さんりょう)さんから頂いた。
 
井上さんは、以前からの私の本の愛読者であり、時折お便りを頂いてはいるが、未だに直接御逢いした事はない。
井上さんは、以下のような書評をFAXでチリから送って頂いた。
「甚だ僭越な読後評を許されるならば、この本は、今まで読ませて頂いた本よりも、スケールが非常に大きく、特に日本の生徒学生達に是非読ませたい作品だ、という事です。
僅か200ページ超の本で、世界中のほとんどあらゆる問題を取り上げ、その解決策を探る前向きな姿勢に大きな共感を覚えました。」
(2006年7月3日)