民主党は、国の内外への約束を破りつつある。
外においては、アメリカとの沖縄の基地交渉の約束を破りつつあり、国内においては、八ツ場(やんば)ダムの約束を破りつつある。
民主党政権により、日本政府への信頼は、急速に失われつつある。
民主党がカン違いしているのは、国家として約束した事と、政党として約束した事の差異を見極められない事である。
アメリカに対しては、沖縄の米軍基地の移転を国家として約束したのである。
国内においては、八ツ場ダムの建設を、国家として約束したのである。
これらの約束は、政府を支える与党が変わっても、守り抜かなければいけない約束である。
民主党政権が出来るのは、今後、政府が行なう約束について、責任を持つ事である。
国家が過去において行なった約束、コミットメントを変更する事は、許されない。
江戸末期に徳川幕府が欧米列強と不平等条約を締結した。
これらの条約は明らかに不平等なものであったが、明治維新によって成立した新政府はこれらの約束を守り続けた。
何故なら、これらの国際条約は、不平等な条件下で締結された不平等条約ではあるが、日本国が国家として締結した条約だったからである。
つまり、日本国内における政治体制の変革にも関わらず、明治政府は徳川幕府の締結した条約を破棄する事なく、遵守したのである。
しばしば革命によって、成立した政権は、前政権の約束を反故にして顧みる事がない。
しかし、こういった条約破棄の行為は、一見、もっともなものでありながら、条約を締結した外国から見れば、裏切り行為以外の何物でもない。
例えどんな約束をしても、政治体制政権が代われば反故にされるというのであれば、あらゆる国際的条約の信用性は著しく失われる。
明治政府は、徳川幕府が締結したところの不平等条約を、それが極めて不平等なものであると知りつつ、遵守し続ける事を決意した。
その誠実な姿勢自体が、後の「不平等条約改定」の基礎を成したものと考える事が出来る。
つまり、如何に不利な国際環境化においても、その約束を守り続けると明言した政府が、そのドラスティックな政体の変化にもかかわらず、外国からの条約順守の信頼を勝ち得たのである。
まして今日の日本は、政治体制の変化を経験した訳ではない。
単に、政権が、より詳しく言うならば「政権の与党」が変わっただけである。
前の国家政府が成した内外の約束が、これで全て反故になるというのであれば、日本の国家の信頼は、著しく傷つかざるを得ないであろう。
政府が約束を守らなくてよいならば、国民もまた、政府との約束を守らなくても良い、と感じてしまう。
日本との約束やぶられた外国は、今度は日本との約束を容易に破っても良いだろう、と考えるだろう。
つまり、自らの信用を失う行為は、必ずブーメランのように自らが裏切られるという効果をもたらすのである。
民主党に投票をした国民の大多数は、そのマニフェストの項目の全てを絶対的に支持した訳では全くない。
民主党に投票をした国民の大多数は、単に日本の経済の現状の改善を求めていたに過ぎない。
八ツ場ダムや、沖縄の嘉手納基地の公約をそのまま文字どおりに実行する、という権限を民主党は国民から与えられた訳ではない。
民主党幹部は、この事を全く勘違いしている。
CO2の1990年比での25%削減なども、国民がその約束を絶対的に支持している訳では、全くない。
「東アジア共同体の創設」に関しても、全く同様である。
民主党は、国家が過去に成した約束を破りつつある。
また、マニフェストを絶対視するより、彼らが定しているはずの官僚主義を誰よりも強力に推し進めつつある。
「お上がが決めた事に民は従え」という点においては、民主党のやっている事は、自民党のやっていた事と寸分、違ってはいない。
民主党は終に国民のその民のいう事に耳を傾けない庶民無視の政権である。
八ツ場ダム建設中止の判断ほど、国民無視の官僚主義的な判断はこれを見た事がない。
民主党の「民」とは如何なる「民」なのであろうか?
今、民主党という政権与党とマスメディアの基本的方向性は、完全に一致している。
言い換えれば、民主党政権を批判する声は、マスメディアからは一切聞こえてこない。
この危険なファシズム的状況に、如何に抵抗し、明日への展望を如何に開いたらよいのか?
そのような疑問に答えるべく、26日土曜日のシンポジウムを開催しようとしている。
以下、弊社主催、公開シンポジウムの緊急開催についてご紹介いたします。
【CFG主催・シンポジウム緊急開催のお知らせ】
2010年、民主党政権で劣化する日本―それにどう対処するか?
9月26日(土)東京都・錦糸町駅傍の会場にて、緊急シンポジウムの開催を致します。
当初は、『NHK報道体質と無制限戦争の時代』の出版記念セミナーを予定しておりましたが、諸事情により出版が遅れておりますので、テーマを入れ替え、近未来予測を提言し続けて来たシンクタンクとして、同日に以下のテーマでシンポジウムを開催する事に致しました。
日時: 2009年9月26日(土)13時半開場 14時講演開始
場所: 東京都・JR錦糸町駅(総武線)下車直ぐ 「ハロー貸会議室・錦糸町」
東京都墨田区錦糸2丁目4-6 ALビル1F
交通: JR錦糸町北口徒歩30秒
地下鉄半蔵門線錦糸町駅3番、4番出口徒歩1分
問合せ:当日の緊急連絡先: (事務局担当)石蔵携帯:090-8659-7516
参加費: お1人様 3500円
【プログラム・開催内容】
第一部:14時-15時 藤井厳喜基調講演
『民主党政権で日本はこうなる:民主党政権下の経済・政治・外交とポスト民主党の日本』
第二部:15時-15時半 特別ゲスト講演: 山村明義氏講演
『日本に新たな経済的保守思想は出現するのか?―民主党左翼リベラル政権の未来予測』
(途中休憩:約10-15分)
第三部:15時45分- 17時 特別ディスカッション(対談形式)
『民主党ブームは何故起きたか? ポスト民主党ブームは何か?』
質疑応答:17時- 17時半 17時半・終了予定。
当日は、その他行事やイベントとも重なるという方が大勢いらっしゃる為、特別に「遅れての途中参加」も受付可能といたします。
是非、第二部から、第三部からだけでも・・・という方もご検討ください。
今回の特別ゲストは、山村明義さんです。
今回のシンポジウムの目玉に、「無所属候補・城内実はどうやって民主党にうち勝ったのか ― ポスト民主党政治に残されるもの」というタイムリーな成功体験を特別にお聞かせ頂けます。
そこに我々は明日を築く可能性として、何を学ぶことが出来るか?
ジックリ検証し、学びたいと考えております。
山村氏は、8月の総選挙で全国の選挙区を幅広く取材された他、静岡7区の無所属候補・城内実さんのブレーンとしても知られています。
城内さんは民主党候補と自民党候補に大差をつけて勝たれました。
民主党ブームが全国を席巻した今回の総選挙で何故、第三の候補の城内氏だけが圧勝する事が出来たのか?選挙参謀としてその秘密を語ります。
尚、当日、現地会場での受付も、空きがあれば受付いたしますが、念の為、お早めにお申し込みくださいませ。
【申し込み先】 FAX: 03-3650-7873
【お問い合わせ先】 株式会社 ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ・オブ・ジャパン
〒133-0057 東京都江戸川区西小岩1-30-5
Tel:03‐3650‐1475 Fax:03-3650-7873
私の長年の友人で、政党を問わず、政界に幅広い人脈を持っているジャーナリストで、いつも彼の鋭い分析と見通しには私も驚かされています。
今回は、特に第三部での山村さんとの対談で、今までにない面白い話が出てくるのではないかと期待しています。
民主党政権とマニフェストの経済効果とは?
民主党政権の左翼リベラル体質は日本に何をもたらすのか?
民主党政権と霞が関・マスコミのトライアングル関係はどうなる?
等々、この機会ならではの、裏話、経済予測等、様々な発表をさせていただく予定です。
是非、ご期待下さい。
休憩時間も含め、質疑応答時間ももうけておりますので、この機会に皆様と直接お話、御逢いさせていただけます事を楽しみにしております。
ふるってご参加ください。
【特別ゲスト:山村明義氏・プロフィール】
昭和35年生まれ。早稲田大学卒業。金融業界誌、週刊誌記者を経て、フリージャーナリストに。政治・経済・外交をテーマに幅広く記事を執筆。
著書に『外務省 対中国、北朝鮮外交の歪められた真相
』など。神道に関する著作を現在、構想中。
一人でも多くの方々のご参加を期待したい。