アメリカの覇権に対抗し、やがてこれを凌駕しようとするシナ共産党政府は、通貨の面でも、世界の基軸通貨たるドルを衰退させ、自国通貨である人民元を国際化し、更には国際基軸通貨としようという明確な戦略を有している。
短期的にはIMFのSDR(特別引出権)をドルに変わる基軸通貨にすると訴えているが、これはあくまで短期的な戦術であり、長期的には人民元をもってドルに変えようとする意図は明白である。
ではそれをどのように実現するのか?
答えは単純明瞭。
人民元の金本位制をシナは狙っている。
そんなことが人民元の発行量と金価格の関係からして可能かどうか?という実現性はともかく、シナ共産党政府の最終目的は人民元の金本位制確立である。
このことに関して大変良い本が出版された。
『人民元がドルを駆逐する
』(宮崎正弘・著)KKベストセラーズ社
著者は、私の尊敬する評論家の先輩である宮崎正弘さん。
宮崎さんといえば、現代日本におけるリアリズムに徹したチャイナ・ウォッチャーの第一人者としてあまりに有名である。
シナの全省を踏破した現場志向の宮崎さんならではの生の情報に溢れたこの本の一読を薦めたい。
私自身としては、シナの思惑がそのままに実現するとは思われないが、シナ指導部が何を考えているかは把握しておいた方が良いと思う。
シナ大陸は、いわばこの3000年来、動乱に動乱を重ねてきた地域であり、その歴史からシナ人のゴールドへの愛着には寧ろ病的なものさえあるほどである。
彼らが信じる唯一の貴金属は金であり、彼らが愛好する唯一の宝石は翡翠である。
大部分のシナ人には、未だにダイヤモンドは全く魅力が無い宝石に過ぎない。
ダイヤモンド産業は、一生懸命にシナ人にダイヤを購入させようと努力しているが、果たしてこれに成功しつつあるのかどうか?
日本で名を成したユダヤ人財閥、故シャウル・アイゼンバーグ氏の最後の仕事は確か、北京にダイヤモンド市場を開くことだったと記憶している。
アイゼンバーク氏は北京で客死しているが、彼の事業がその後、どのように受け継がれたかについては残念ながら私は知らない。
宮崎正弘さんの本を裏付けるような記事が6月27日付、日本経済新聞朝刊(14版)P6に掲載されている。
タイトルは、『中国外貨準備で金買い増し案:ドル中心見直し 党幹部が構想 元の国際化推進』となっている。
この記事によれば、
共産党中央政策研究室の李連中経済局長は、6月25日『人民元を国際化し、国際準備通貨にする為にも、裏付けとなる金を買い増す必要がある』と述べたという。