1. 郵政選挙の国民の総意でもあるので、郵政民営化推進は当然の事である。
2. しかし、日本郵政の西川善文社長らの経営陣が決定した「かんぽの宿」の払い下げは、あまりに不透明であり、問題がある。
郵政民営化をより公明正大に推進するためにも、首脳人事の首の挿げ替えは当然である。
3. そもそも郵政民営化は、国民の共有財産である郵便貯金や簡易保険の資金を一部の官僚や政治家が自らの財布のように使い、不正な利得を貪ってきた事が原因である。その不正を正すためにこそ、民営化が断行されたのである。
今、西川体制は、まさに、国民の共有財産を利用し、一部の企業との癒着した関係を拡大している。これでは、旧悪を代えるに、新悪をもってするようなものである。
政府が民間に介入するのは望ましくない、という理由で西川社長の解任に反対する声が自民党内にある。
これは全く倒錯した論理である。
官と民間との腐敗した癒着を解消する為にこそ、郵政民営化は企てられたのである。
その目的をカンツイするためには、現体制執行部は一新されなければならないだろう。
4. 「かんぽの宿」の払い下げを受けるはずだったオリックスの宮内氏は、規制緩和を進めてきた財界人であり、私は嫌いな人物ではないし、決して悪の権化と思っているわけでもない。
しかし、もし不正なコネクションによって、「かんぽの宿」の払い下げを受けるとすれば、それは寧ろ規制緩和による民営化を推進してきた宮内氏の不名誉になることであるに違いない。
払い下げを受けるならば、公明正大な入札によってこそ、宮内氏の財界人としての名誉は守られるはずである。
5. 郵政民営化は総選挙の結果であり、動かしがたい政策であるのは事実であるが、ここでもう一度、日本国民は考え直してみる必要があるだろう。
というのは、郵便貯金や簡易保険の巨大な資金はまさに、国民の共有財産であり、この資金をもって日本経済を活性化する方策が積極的に考えられてよいはずである。
悪いのは、公的資金自体の存在ではなく、繰り返し言うが、一部の官僚と政治家がこの資金を私的に流用していたことなのである。
またこの官僚や政治家に群がる民間人も大いに不正な利益を貪ったわけである。
この腐敗した関係が改められなければならないのであって、公的資金の存在自体はなんら悪ではない。
今、世界にはSWF(国家投資ファウンド)というものがあり、大いに注目されている。
まして、現在進行形の世界同時代不況の深化のなかで、公的資金投入による景気浮揚は益々必要とされている。
民間には出来ない公共投資を政府が行う事により、右肩上がりの成長経済を再生させる事は可能なのである。
今、公的資金はあればあるほどよい。
その使い方さえ誤らなければ、日本経済繁栄の大きな起爆剤となる。
そのためにも、古い腐れ縁を切った上で、郵貯やかんぽの巨大資金を国民全体のために使うSWFに、発展的に解消させる事を考えてみてはどうだろうか?。
郵貯やかんぽを民営化しておきながら、一方で新たにSWFを創設するなどという愚かな矛盾した考えが横行しているのはまことに笑止千万である。