米オバマ政権が環境政策を推進し、所謂グリーン・ニューディール的な経済政策の方向に進んでいる事は周知の事実だが、この中で私が注目してきたのは、オバマ政権が原子力発電を推進するかどうかの一点である。
オバマは大統領候補としては原発推進なのかどうかを曖昧にしてきた。
私は、最終的にはオバマは原発推進派になるのではないか?と予測してきたが、この予測が危ういものとなってきた。
オバマ政権が計上しつつある新予算では、核廃棄物の処理予算が増額されるどころか何と38%も削減されていると言うのである。
原子力発電を増大させようと思えば、当然のことながら廃棄物予算も増額しなければいけないはずであり、アメリカのみならず日本の原発業界もこの予算措置に大きなショックを受けている。
オバマ大統領の財政上の支持者であるウォーレン・バフェット氏は原発推進であり、私はそれ故にオバマもまた原発推進派に転じるものと思ってきたが、事態は微妙な事になってきた。
今のところ可能性は二つある。
第一はオバマが愚かな選択をし、所謂グリーン・エネルギーだけに頼って原発を推進しないと言う可能性である。この場合、アメリカの経済は更に弱体化することになるだろう。
基本的に石油派だった前ブッシュ政権ですら原発の必要性を認めていたのにオバマがこれを否定するとすれば本当に愚かな事である。
第二の可能性は原発業界で日本企業があまりに優位なため、これを叩く為に一時的に原発に背を向けているという可能性である。
新規原発を造らず、日本の主要原発3社(日立・東芝・三菱重工)を徹底的にたたき、これを後でアメリカ企業に安くM&Aさせるという手法も考えられる。
あるいは、第3の方策としては、従来型の原発を廃止し、トリウム原子炉という新型の原子炉を全面的に採用するという奇策も考えられる。
ケンブリッジ・フォーキャスト・レポートでは、このトリウム原子炉の可能性について、専門家の方に3回にわたって連載をしてもらってきた。
その概要については明日以降のブログで紹介したい。