5月18日(月)は鉄道(JR)事故のため、中央線が遅れ、拓大(八王子キャンパス)の授業に丁度30分、遅刻してしまった。
不可抗力のアクシデントだったが、学生諸君には申し訳のない事をした。
さて、本日の講義の内容の1つは、
「 デモクラシー = 民主主義 」は誤訳だという事だ。
デモクラシーは「民主制」(民主政治制度)もしくは「民主国家」「民主政治」と訳すべきものであって、決してism、主義(思想・価値観)ではないのだ。
毎年、国際関係論の授業の初めに教えている事だ。
そしてデモクラシーとは国家統治の一形態である。
democracy は
theocracy セオクラシー 神権(聖職者)政治体制
timocracy ティモクラシー 金権政治体制
aristocracy アリストクラシー 貴族政治体制
autocracy オートクラシー 独裁政治体制
などと同じカテゴリーの言葉である。
cracyとは、支配体制、統治体制の意味である。
デモクラシーは、demo + cracy 。
つまり、民衆・大衆(demos)による支配体制という事であり、それ自体が善だとも悪だとかいう価値判断を含んでいないのである。
つまり「デモクラシー」は、democratism デモクラティズム ではないという事だ。
ismの類型で言えば、
socialism 社会主義
liberalism 自由主義
conservatism 保守主義
などが1つのカテゴリーに入るconceptである。
これらは思想・価値観を表す言葉(概念)である。
democracyとは複数のismが共存できるような国家の「仕組み(統治体制)」である。
民主国家内には、自由主義政党も、保守主義政党も、(穏健な)社会主義政党も共存できるのである。