私のブログをいつも見ていてくださっているらしい方で、『環境バブルで日本が変わる!』を読んでくれたという方からお手紙を頂きました。
手紙の質問の要旨は、「環境ビジネスが浮上する中で、原発ブームがやって来るのか?」という事でした。
この質問にお答えしたいと思います。
結論から言えば、今後、アメリカのみならず、世界的な原発建設ブームが起きると思います。
オバマ米大統領は、一方で、グリーン・ニューディールを唱えながら、未だ原子力発電を推進するかについては明言を避けています。
しかし私は、最終的にはオバマ大統領は原発推進派になると思います。
頂いたお手紙の疑問は最もで、原発には環境にプラスの側面とマイナスの側面の二つが存在します。
今までどちらかというと、マイナス面が強調され、環境派の多くの人々は「反原発派」であったといっても言い過ぎではないでしょう。
しかしまさにオバマ大統領のグリーン・ニューディール的政策と共に、事態は大きく変わろうとしています。
いや、私に言わせれば、例え、オバマさんのグリーン・ニューディール政策がなくとも、世界は原発推進の方向に向かっていくだろうと思っています。
原発のマイナス面は有害な放射線廃棄物を排出する事ですが、プラス面は、非常に少ない二酸化炭素の排出で発電を行える事です。
温暖化ガスの削減が主張される中で、さらに、化石燃料の価格が石油を中心に上昇していく中で、そして、低開発国を中心に膨大な電力需要が発生する中で、原子力発電の重要性は益々高まってきています。
「地球温暖化仮説」をあくまで仮説としてしか受け入れていない私の立場からは、例え、二酸化炭素排出量の削減が必要なかったとしても、原子力による発電量は今後増えざるを得ないと予測しています。
この話題となっている「別冊宝島」の中で、山本伸さんの発言の中に次のような一説があります。
『環境エコノミーとは、ごくごく単純に言うと、「原子力で自動車を走らせよう」という構想なんですね。(P52-53ページ)』
実はこの言葉は私が発言したと記憶しているのですが(笑)、時代はこの方向に動いていくのでしょう。
オバマさんのグリーン・ニューディールの思惑はともかく、低開発国の経済発展が軌道に乗ってくるにつれ、インドやシナを見れば分かるように、膨大な電力需要が発生してきています。
これを充足させる為には火力発電、水力発電、原子力発電そしてその他の新エネルギーこれら全てを総動員しなければならないはずです。
特に、温暖化ガスの観点から原子力のみを優遇するという事はなくても、原子力発電もまた重要な電力供給源として大きな役割を果たさざるを得ないと予測できます。
オバマさんの支持者として有名な投資家のウォーレン・バフェット氏は民主党内の強力な原発推進論者です。
また、オバマ政権の内外政策の総合的調整役を務めるジェームズ・ジョウンズ安全保障問題担当大統領補佐官も、アメリカはあらゆる種類のエネルギー源を総動員して経済発展に取り組むべきだとの新年の持ち主です。
謂わばエネルギー供給に関しては、総力戦体制なのです。
原子力発電の唯一の問題点は、放射線廃棄物の処理の問題です。
原発が拡がれば、核兵器が生産される可能性も広まります。
その点で原発推進は、核兵器の拡散防止と同時に平行して行われなければなりません。
逆に言えば、核不拡散体制さえシッカリしていれば、原発を非核保有国に増やしても問題がありません。
オバマ大統領の意志は、核不拡散体制を再構築しつつ、一方で原子力発電を推進するということに違いありません。
彼の言動を見ていると、その事は良く分かります。
日立・三菱・東芝の三大原発メーカーを有する日本原子力産業は、今後、大いに発展してゆく事が期待されます。
石油価格が高くなればなるほど、原子力の魅力は増大してきます。
日本の原子力産業にとっては黄金の時代がやってきつつあるのではないでしょうか?