民主党の小沢一郎代表が5月11日に辞任した。
小沢代表の辞任そのものについて今、云々するつもりはない。
私が指摘したいのは、今、自民党と民主党の間にある政策の捩れ(ねじれ)現象である。
5月12日付、読売新聞は、第一面に政治部長の署名入り記事を載せ、「政策本位の政治取り戻せ」と訴えていた。
その主張自体はまことに最もだが、良く考えると、その実現は甚だ難しいように思われる。
今、果たして政策本位の政治選択を国民が成す事が出来るのだろうか?
現在の政策分野ごとの自民党と民主党の捩れ現象を見る限り、「政策本位の政治」という主張はまことに空しく思える。
私の立場からすれば、民主党の年金政策や福祉政策や公務員法改革の方向性には賛成である。
しかし民主党の外国人参政権推進や人権法案推進の立場には、大反対である。
それが国家の骨格を崩壊させてしまう危険があるからだ。
また、民主党の外交・安全保障政策にも大きな疑問を持っている。
民主党の中には、前原前代表や友人の松原仁議員のように国防外交問題に立派な見識を持つ人々も存在している。
しかし、相対としては民主党の国防外交政策はあまりに脇が甘く、信頼するには値しない。
小沢前代表にしてからが、個人的にシナの指導者とあまりに近く、また、韓国の大統領に外国人参政権実現を約束するなど、国益重視の観点から疑問の行動も多かった。
比較的には自民党の安全保障政策の方がより堅実ではあるが、自民党は当然、長年の与党として官僚制度と癒着しており、年金改革や公務員改革の点では甚だ不十分な政策しか掲げていない。
つまり私の立場からすれば、ある政策分野では自民党を支持するが、他の政策分野では民主党を支持するといった立場になってしまう。
恐らくそう感じている国民は多くいるはずである。
そういった政策上の捩れ現象を放置したまま、「政策本位の政治を取り戻せ」と言ってみてもまことに空しいのではないだろうか?
過去数年来、頻繁に指摘されてきた事ではあるが、二大政党間の政策の捩れ現象が解消されなければ、選挙において国民が何を選択しているか?という結論がハッキリしない事になってしまう。
例えば次の選挙で民主党が与党となったとして、選挙民は民主党の政策の何を支持し、何を支持していないのか?はハッキリしないままであろう。
自民党=保守、民主党=革新という事でハッキリあらゆる政策分野で色分けが出来るならば、国民の選択の意志はハッキリするし、選挙の結果、勝利した党がどのような権限を国民から委譲されているかが政策分野ごとに明白になるはずだ。
民主党の中に自民党より保守的な人がいたり、自民党の中に民主党より進歩的な人がいたりする状態では、とても二大政党制とはいえない。
私は、自民党と民主党というのは謂わば、国会議員の2つの「同業者組合」のようなものであって、政党ではないと思っている。
政治家はどちらかに所属しなければ、営業が出来ないので、どちらかに所属しているだけである。
「二大政党制」にあらずして、「二大同業者組合制」にすぎない。