マスコミ報道の新型インフルエンザの感染者数、死亡者数が、激減している。
( ↑↑ ※ これはメキシコのお札のパロディーである)
NHKテレビ第一放送5月2日(土)正午のニュースによれば、メキシコにおける感染者数は397人、死亡者数は16人である。
世界中では、感染者数は639人であり、死者は17人である。
メキシコの16人に加え、アメリカで1人だけ死者が出ている。
日本経済新聞、5月1日朝刊によれば、メキシコの感染者数は99人、となっている。
ただし、日経の記事には以下のような注がついている。
(数字は、ロイター通信等による。発表基準変更などで、数字が減った国もある。メキシコは疑い例を含むと約2500人)
数日前まで、前回のブログを発表した4月30日当時は、メキシコにおける死亡者数は百数十人と日本のマスメディアは報道していた。
明らかに、ここ数日、報道される感染者数と死亡者数は激減しているが、その理由をマスコミ各社が理由を明確にしないのは、甚だ不可解でもあり、不適切でもあると思う。
理由はほぼ明らかで、特にインフルエンザ発生時のメキシコにおいて、より正確なウィルス検査が行われるようになり、より正確な統計が報道されるようになったからである。
これで、当初、感染者に比べてメキシコで極端に死亡者数が多いという謎もスッカリ解明された。
実は、4月30日に、メキシコ・シティにいる長男から、e-mailが入っており、その時点でのメキシコ政府の事態の把握は今から見れば極めて正確であった。
また、そのメキシコ政府の発表を伝える在メキシコ大使館の広報も極めて正確であったといえる。
メキシコ政府の報告を受けて、日本大使館は以下のようにメキシコにいる在留日本人に対して伝えていた。
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平成21年4月28日
メキシコ在住の皆様へ
在メキシコ日本国大使館
領事部
TEL: (55)5514-4507
FAX: (55)5207-7030
在メキシコ日本国大使館
現地対策本部
28日夜、コルドバ厚生大臣およびロサノ労働大臣が会見を実施したところ、概要以下のとおり。
1.28日までに、重症呼吸器疾患罹患者が2498名、うち入院患者が1311名、死者が159名である。
この159名には豚インフルエンザ感染の疑いがあるが、特殊重症呼吸器疾患(neumonia grave atipica)のケースもあり、全てがA型インフルエンザ、もしくは豚インフルエンザによるものというわけではない。豚インフルエンザと確認されたケースは26症例であり、そのうち7例については死亡(19例については生存中)である(注1:前日までの「豚インフルエンザによる20名の死亡例」のうち、7例の確認例を差し引いた13例については改めて検査中であると発言しており、これはWHOの見解である7名の豚インフルエンザ死亡例を受け、数合わせをしてきたものと推測される。注2:この会見の前日にWHOは豚インフルエンザ感染者数が26人でうち7名が死亡と発表している)。
2.死亡者の7つの症例はメキシコ市で確認されたものであり、6症例はトラルパン区、1症例はマグダレーナ・コントレーラス区(注:両区ともメキシコ市南部に位置し、前者は国家呼吸器疾患機関(INER)病院の所在地であり、後者も総合病院がいくつか存在する区であるため、この数値は、死亡者の出身区よりも、死亡した場所を示しているものと思われる)。
なお、インフルエンザの流行に関する邦人メイルは、当館ホームページ
(http://www.mx.emb-japan.go.jp)にも掲載されています。
また、日本語での豚インフルエンザに関する情報は、厚生労働省ホームページ
(http://www.mhlw.go.jp)をご参照ください。
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この日本大使館の広報によれば、4月28日現在の呼吸器系の重症患者が1311人おり、その内、159名が死亡していたということになる。
初期の日本の報道では、これらが全て新型インフルエンザの感染者であり、死亡者であるというように報道されていたのであろう。
ここに、マスコミ報道の誤謬が発生したのであろう。
そのことを、明確に解説、ならびに謝罪しないのではジャーナリズムの責任を十分に果たしているとはいえないと思う。
日本大使館の広報文は、4月28日おける確実なウィルス感染者26人内、7名死亡とのメキシコ政府の発表を正確に伝えており、現時点から見ればこのメキシコ政府の発表自体も極めて正確なものであったと言えよう。
メキシコ・シティは海抜2000メートル以上の高地にあり、なおかつ、自動車の排気ガスによる大気汚染が甚だしい大都市である。
それ故に、恐らく、呼吸器疾患の重症患者も多いのではないか?
と推測される。
メキシコの感染者数が、当初報道されたより、桁外れに少ないことが判明したのは、よいニュースではあるが、新型インフルエンザが世界的大流行の様相を示し始めていることに変わりは無い。
世界保健機構(WHO)も間もなく、警戒水準を5から6に引き上げると推測している。
↑↑↑ こちらは、つい先日、メキシコ・シティで地震があり、人々が屋外に避難した時の写真である。
出てきた人が皆、マスクをしているのが印象的だ。
↑↑↑ これは、メキシコ・シティの国際空港の待合室の様子。
いつもは勿論、多数の人で溢れかえる場所である。そこにたった1人しかいないというのも衝撃的である。